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今は来て欲しくない、という時に限ってやって来るのが尿意だと思う。意識し始めたら最後、尿意を我慢することしか考えられなくなってしまう。

中学校の卒業式の時、寒い体育館で座っていたらじわじわと尿意が襲って来た。壇上に上がって卒業証書を受け取る頃にはピークを迎えてしまい、モジモジしながら受け取ってそのままトイレにダッシュした。

高校時代、体育の授業でグラウンドを走っていたら突然尿意がやって来た。どうにも我慢出来なくなって、グラウンドの端っこの木陰で小便をしていたら先生に殴られた。

大学時代、先輩の車に乗って高速道路を走っていたらやっぱり尿意がやって来た。先輩が怖いのでしばらく我慢していたが限界に。車を停めてもらい高速道路上で小便をした。

大人になった今も、映画館で映画を観ている時や劇場で演劇を見ている時、必ず尿意に悩まされる。始まる前にトイレに行ってるのに、絶対尿意がやって来る。

今来たらダメ! という時に、必ず奴は現れるのだ。

だから、街で立小便をしている人を見かけると、その切羽詰まった気持ちが良く分かる。もちろん、立小便はいけない。軽犯罪法違反だし、場合によっては刑法で罰せられることもあるという。自分の家の前で立小便なんてされたら、最悪である。どういう事情があるにせよ、立小便は決して許される行為ではないのだ。

でも、どうしても我慢出来ない時が男にはある。女性にだってあるだろうが、男の場合、いざとなったら路地の隅で放尿することが可能である。可能だから尿意に対して弱いのかもしれない。弱いというか、緩いのだ。特にお酒を飲んだ後なんて、ゆるゆるである。尿意に負けて路地裏で立小便。そんな弱い大人が沢山いる(僕も含めて)。

しかし、路地裏だったらどこでも出来る!という訳ではない。立小便に向いてる場所とそうでない場所があるはずだ。

どんな場所だと立小便されてしまうのだろう?

気になったので街に出て調べてみることにした。

(text by 住 正徳







街中で立小便されやすい場所、と言っても何を基準に探したらいいのだろう?

夜の街を歩いて周り、立小便している人を探せばいいのか?
ちょっとした夜回り先生のように。

いや、都合良く立小便してる人なんて見つからないだろうし、例え居たとしてもそこが本当にされやすい場所とは限らない。

そこで考えた。

立小便されやすい場所にはきっと、「立小便禁止」という張り紙が貼ってあるはずだ。何回も立小便されるから張り紙で警告せざるを得ない場所。よし、張り紙を探そう。

街は渋谷だ。渋谷で立小便されやすい場所をめぐる。




駅周辺の立小便されやすい場所

最初に訪れたのは井の頭線渋谷駅の周辺だ。大きなパチンコ屋さんがあって、その周りに飲み屋さんが沢山ある。飲み屋さんで一杯引っ掛けたお客さんが立小便をしてしまう可能性は高い。なるべく細い路地を選んで歩いていると、最初の張り紙を発見した。パチンコ屋さんの景品交換所の目の前である。


パチンコ景品交換所前

この写真の左側、コーンが並んでいる部分が「立小便されやすい場所」である。広めの路地で人目につきそうであるが、ここに張り紙があった。


コーンの奥に

「立ち小便禁止です」の張り紙

「この場所は立ち小便禁止です」と店主からの警告である。何の店の店主かは分からないが、とにかく店主は困っているのだ。街路上の小便が軽犯罪法違反であることも伝えている。

しかし小便小僧の写真はどうだろう? あまりにも小僧の様子が気持ち良さそうで、逆に小便をしたくなってしまう。この張り紙によって、更に立小便をする者が増えてやいないか?

別の写真の使用を検討した方が良いと思う。




小便小僧の場所からマークシティを挟んで反対側を歩いてみた。渋谷中央街と呼ばれる地域である。こちら側も飲食店の数は多く、路地も多い。

ちょっと歩くと、意外な場所で張り紙を見つけた。


三菱東京UFJ銀行の前に

「小便禁止」の張り紙発見

銀行の前で小便をする人が多いらしい。張り紙が渋谷警察署と銀行のダブルネームになっていることから、事の深刻さがうかがえる。

恐らく、利用者の少ない夜遅くに入口の奥まったスペースで用を足すのだろう。上の写真で男性2人が立っている場所である。

翌朝、利用客は小便を踏んでから店内に入りATMを操作することになるのだ。そんな気分の悪いことはない。


小便跡を踏んでから店内に入る利用客

なぜ銀行の前で? という疑問は残るが、いずれにしてもココが「立小便されやすい場所」であることは確かである。





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