デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ロマンの木曜日
 
夜中に働いてくれる小人がいたらいい

線を引いてくれる小さい自分の作り方

小さい自分自体の作り方はとても簡単。自分を小さく印刷した紙を切り抜いて自立するようにスチロールに貼り付けただけである。

まずは線を引く仕事を代わりにやってくれる小人を作りたいので(理由は後述)ペンを持ってる的なポーズで作った。


余計なトラブルを避けるために自分の写真を使いましょう。

難しいのは夜中に動き出す部分。なにかしらの呪いを込めれば簡単かもしれないが、あいにくそんな力はない。

そこで携帯電話のアラーム機能を使うことにした。アラーム機能は設定した時間に着信音を鳴らす機能であるが、マナーモードに設定しておけば音の代わりにバイブレーションが作動する。

その振動で小さい自分が動くような仕掛けを作れば、設定した時刻に勝手に動かすことが出来るはず。


アラーム+マナーモード=狙った時間に振動。

ただ振動させただけではランダムに動いてしまうので、携帯電話を傾斜のついた場所に置いておく。これによりバイブ発動により徐々に下がっていく。

そして小さい自分と携帯電話を糸でつないで、携帯電話が下がると共に引っ張られて、小さい自分も動くという仕掛けだ。


身近にあるもので作るとどうしてもこうなりますよね。
いま生命が吹き込まれた。

なぜ線を引く小人を作るのか、この時点で気づかれたかもしれない。

そう実はこの仕掛けを最初に考えて、あとからそれで小人になにが出来るかを 思案した結果「線なら引ける」と思いついからた。だから1ページ目でただ線を引くという 意味不明な仕事をでっち上げたのです。

つまりまるで役に立たない小人であることがバレてしまったが、 一輪車に乗るロボットやトランペットを吹くロボットと同じようなものだと思ってほしい。 なんのテクノロジーもないけど。

 

がんばれ小さい自分

後はペンを持たせれば線を引いてくれる小人の完成である。ただこのペン選びが難しく、持てる重さのものがほとんどなかった。サイズが変わっても非力なことに変わりなくてシュンとする。


これが小さい小柳(重複言葉っぽい)の限界点。

でも紙とスチロールが原料で数グラムしかないと考えれば、自分の何倍もの重さを耐えてるのだから小さい小柳はえらい。

 

線を引く小さい自分、始動

後はタイマーを夜中にセットして寝れば夜中に小さい自分が線を引いてくれるはず。 でもやっぱり不安なのでちゃんと動くかどうか試運転させたい。


応援しつつ見てください。

線を引いてくれた。しかもなんだかちょっと感動的だ。 休みつつも一生懸命描いていくその姿は人々の心に訴えかけるものがある。


とても愛らしい線。

描いた線も決してスマートとは言えない。幼児が初めて描いたみたいだ。しかし逆にそれが愛らしいとさえ思える。

 

我が家には夜中に線を引いてくれる小人がいます

この結果を持ってこの小さい自分は完全に信頼できると言っていいだろう。

これで線を引く作業、特にあと一本引けば終わりなのに超眠いという状況になったとしても、安心して眠りにつくことが出来る。


念のためビデオカメラで監視。
「ゴシュジンサマノタメニガンバルノダ」

 

翌日

残りの作業は小さい自分が全てやってくれるから大丈夫と床につき、翌朝目覚めたら小さい自分は落ちてた。



「すわ失敗か」と一瞬頭を抱えたが、紙を見ると線はなんとか引けている。


昨日とは明らかに違うタイプの線。

昨晩あんなに健気に線を引いてくれた彼の身になにがあったというのか。

途中で引っかかって落ちたとかだいたい想像はつくけど、ビデオカメラの映像を見てみよう。


夜中回しっぱなしにしてたビデオカメラの映像。

途中でペンが崩れて倒れて落ちたのか。でも「これ以上は描けん!」と投げ出したようにも見える。

無理もない。自分の何倍もあるものを何時間も持っていたのだから。


こんなになってまで描いてくれた小さい自分に感謝。

思えばあれはあれで頑張ったんだなと思える線。優秀なロボットには出せない温かみというか、 へぼい装置が死力を尽くして描いたありがたみで溢れてる。

紙で出来た小さい自分に変な情が出てきたところで 次は紙くずを捨ててくれる小人の作り方です。


< もどる ▽この記事のトップへ つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.