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フェティッシュの火曜日
 
ウェットスーツの新しい使い道を模索する


今回、全体的にさまよっています

ぼくはウェットスーツを持っている。5年前に、会社の先輩にサーフィンをすすめられて購入したものだ。

ところが、サーフィンは2、3回行っただけで結局やらなくなってしまったのだ。そしてあとにはスーツだけが残る。

なにか有効に利用出来ないものか?

斎藤 充博



サーフィンはしません

「ウェットスーツを持っているのならサーフィンに行けば良いじゃないか」そんな声が聞こえるが、サーフィンは行わない。サーフィンというのは、一見華やかなように見えるが、実なかなかストイックなスポーツなのだ。


社会人1年目。当時の会社の寮の先輩にすすめられてサーフィン始めたものの…

サーフィンは超むずかしい。水の上に板を浮かべてその上に立つなんて、中国の仙人かなんかか


サーファーはすごい。ほんの数秒の波乗りのために、ありとあらゆるコストを惜しまない。早起き、車での遠乗り、パドリング(波に向かって、泳ぐこと。しんどい)、地元の人との友好関係、ボランティアの海岸清掃…ざっとぼくが思いつくだけでこれだけある。
その上、海は結構危険だ。サーファーの怪我や死亡事故は毎年どこかで必ずある。根性入っていないと出来ない、決して「チャラい」スポーツではないのである。

かくのごとくして、ぼくはサーフィンに挫折した。この記事は、「サーフィンに挫折した人間の意地」として読んで貰えれば、と思う。なんで意地を張らなくちゃいけないのだ、という気もするが、この夏、海岸で楽しげにマリンスポーツやバーベキューをしている男女を見てみると、なんとなく意地の一つも張ってみたくなるのが人情というものであると思う。

 

外に出ればなにかわかるかもしれない

こういうのは、考えるよりも勢いだと思う。何も考えずにウェットスーツを着て外に飛び出してみよう。



出る瞬間は勢いよく
でも,、ウエットスーツで歩くとガニ股になります

「住宅街にカッパあらわる!」とかつい言いたくなってしまう写真だ。夏らしい話題でなかなか良いんじゃないか。近所の小学生の間で話題になったりしたら、なんて思うと愉快だ。楽しい!やったー!どんどん行こう。

…いや、これは嘘だ。正直に言おう、飛び出したはいいものの、この格好で近所を回ることは中々辛いものがあった。自転車ですれ違った人にすごく見られているぞ。大家さんに見つかったらどうしよう?「あなたに部屋を貸しているのがやっぱり不安なってきたので、連帯保証人を一人付けてくれ」とか言われても言い返せない。


強気になれきれないぼく。いや、いま思えばどうして強気で行けるなんて思ったのだろう

所在なさげなカッパ

近所の公園まで来てみるも、どうしたらいいかわからない。なにかスーツの新しい使い方を発見出来ないか、と思うも周囲の視線が気になって、まったくアイディアどころではない。

焦燥感が、じりじりとぼくの心を焼いてゆく。小さい頃、日光とルーペでアリを焼くという遊びをやっていたことがフラッシュバックする。

むろん、日光は焦燥感で、ルーペはスーツで、アリはぼくである。あ、うまく例えがはまった、と一瞬思ったが、あまり感心する余裕がない。

ビーチは遠いぞ

もう、帰っていいよね?

もう限界だ。帰りたい。ここが海の近くの町なら、それほど奇異にも写らないのだが、埼玉県の川口市だ。海は遠い。せめて荒川まで行ってみればウェットスーツも自然に見えるのだろうか…。いや、とてもそこまで行く気分になれない。家に帰ろう。


雨ガッパとして使えないか

家に戻ったら、「雨の日にカッパとして用いる」という使い方を思いついた。さっきカッパみたいだって言っていたことから生まれたアイディアである。冷たい雨に打たれてもウェットスーツであれば問題ないだろう。さっき着て外に出たら、保温効果でめちゃくちゃ暑かったので、雨に濡れているくらいの方が快適のような気もする。

再度ウェットスーツを着て外出することになる。外出はトラウマだが、この際やむを得ない、そう決意した。ところが、なかなか雨が降らないのだ。決意したとたんこれだ。


雨の日をひたすら待つ。でも降って欲しいような欲しくないような複雑な気分

はやく雨が降って欲しい。じゃないと外出の決意がにぶる。
そして、数日が経ち、いい加減、決意がにぶりきってすり減りきった頃に、雨は降った。


あ、雨降った!(部屋の中から、外に向かって撮っています)

頭が冷たい

それほど強い雨ではないが、たしかに降っている。だって、ぼくの頭に雨粒があたって、冷たくなっているもの。

そう、たしかにスーツを着ている部分には雨に対する効果はあった。しかし、肝心の頭が濡れてしまうのだ。

なんとなくボディーボードを出して頭にかざしてみる。ダメだ、これは会社の帰り道で雨に降られたマスオさんみたいだ(よく鞄を頭にかざして走っている)。

いや、マスオさんがどうこう、という問題ではなくて全然雨具の体を成していない。何日も雨を待ってこのザマか。しかも明らかに事前に予測出来た結果であるというのがまた情けない。

2Fで不穏な空気が

その時、2階が騒がしくなってきた。大工さんが、部屋の改築を始めたのだ。そうだ、この物件は築30年だが、部屋を住人が退去したタイミングで、リフォームをかけて入居者を募っているのだ。そして作業している大工さんの社長が、この物件の大家さんである。まずい、大家さんサイドにウェットスーツでウロウロしている姿を見られてしまう。

サーフィンから逃げたのに、サーフィンするよりもずっと大変な目にあっているような気がする。なぜだろう。これが世に聞くカルマの法則というやつだろうか。幸いなことに、カッパとして役に立つかどうかはすぐにわかった。部屋に戻って次の実験を行おう。

 

水風呂でエコ生活だ

続いてやろうとしているのが、「水風呂」だ。ウェットスーツアの保温効果により、水風呂でもあまり冷たくないんじゃないかと思いついたのだ。ガス代の削減を狙った実験である。エコだ、エコ。

ところで、「上手く行ったとしても、お前はガス代削減とか言って毎日それで風呂に入る気なのか?」という意見があるかと思う。しかし、そういう問題ではないのだ。実際に使うか使わないかはこの際別にして、クローゼットのウェットスーツが「サーフィンに挫折した思い出」として残るか、「ガス代削減のエコグッズ」として残るか、というのは大きく違うところだと思う。

と、いうわけで、入ってみた。


水道水って結構冷たい。なんかちょっと止めておきたくなってきた
画像を見ての通り。ガス代削減とか言っているどころの話じゃない

 

冷たい!本当の海なら、泳いだりすれば少しは体が温まるのだが、狭いバスの中ではそれすらもままならない。

とくに背骨のところに冷水が入って来ると、ギャ!と一人で身をよじってしまう(小学生の頃、友達の背中に氷を入れたりするいたずらってあったよね、あれを一人でやっている感じ)。一人でぐねぐねやっていたら、なんかちょっとだけ楽しいような気もしてきた。しかし、それは奪われた体温が去り際にぼくに見せた幻である。

風邪をひきそうなので、このあとスーツを脱いでふつうにお湯を貯めて風呂に入った。改めて感じるのだけれど、ウェットスーツを着ていない状態と言うのは、すごく気持ちがいい。ウェットスーツはものすごく体を締め付けるのだ。本来の人間って、こんなにも解放されているのだなあ、という気になってくる。

お湯の気持ちよさに身を任せる一方で、ウェットスーツに関しては、なにやっても上手く行かないんじゃないか、という気がしてきた。もう、この企画は止めてしまおうか。そうしないとウェットスーツに「サーフィンに挫折した思い出」だけではなくて「実験を色々したが結局ひどい目にあった思い出」も加算されてしまうんじゃないのか。もう加算されている気もするが、傷は浅いうちに治療した方が良い、というのもある。

 

 

しかし、すべてを諦めたとき、意外な使い道が浮かんできたのであった。


それがこれです

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