海外日本語放送の多くは、電波が遠くへ届く特性のある短波を使って放送していたが、日本に近い国は、AMの電波を使って放送もしていた。
僕はたまたまAMラジオのダイヤルを回していて日本語放送を受信したのがきっかけで、その不思議な感覚にすっかりハマってしまった。
たぶん初めて聞いたのは北朝鮮による日本語放送で、内容は北朝鮮政府のプロパガンダだった。
当時の韓国大統領を「逆徒」と呼び、激しい言葉で日本政府を批判していたのだが、そういう物を一切聞いたことがなかった少年工藤は、スパイにでもなった気分でそれを聞いていた。
もちろん内容に洗脳されることはなく、違う文化に触れることへの好奇心がむくむくとわき上がって、マンガ雑誌の通販広告に出ていた「世界のラジオが聴ける」というあやしげなBCLラジオを購入したのだ(買ったのはこれ。オレも持ってた! という人も多いでしょう)。
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