夏の空を見上げると、雲ってでかいなあと思う。
あまりにもでかすぎて、スケール感がなくなってしまう。具体的にどれくらいの大きさなのか、たとえば東京ドーム何個分なのかといった判断がぜんぜんできない。とにかくでかいんだろうとしか言えなくなってしまう。
よし、雲の大きさを調べてみよう。ちょうど夏休みだ。自由研究として、自由研究の体裁でやってみよう。
本文から、急に小学生の自由研究のポスターみたいに、「研究の動機」から始まります。いましばらくおつきあいください。
(三土たつお)
研究の動機
雲が不思議なのは、その大きさがよく分からないことです。
夏の入道雲を見ているとすごく大きそうだとは思うのですが、まわりに比較できるものがないので、その大きさがまったく想像できないのです。
たとえばこの雲。
写真1:自宅近くの雲
写真2: 写真を拡大したもの
写真3: スケール表示を変えたもの
同様にここが1kmと言われてもやっぱりそうかなと思ってしまいます。
つまり、まわりに比較対照できるものがないので、大きさの感覚がつかめないのです。あの雲はビルでいうと何階建てくらいなんでしょうか。それとも高尾山みたいにすごく大きいのか。中にラピュタはあるのでしょうか。
そういうことを知りたいと思いました。
実験の方法
遠くのものの大きさは、レーザーなどで測ることができることが分かりました。大きな工事現場などで使われて、とても正確に測ることができるそうです。
しかしそんな機械は持っていませんし、またそんなに精密に測りたいわけでもないのです。なにか、もっと身近な方法で、 雲の大きさを知る方法はないだろうかと考えました。
そこで、たとえば影はどうだろうと思いました。
写真4: 直接大きさを測れない赤い構造物
たとえば、上の赤いオブジェの大きさを直接測ることはできません。先端部分が空中に浮いているためです。
写真5:影なら直接測れる
しかし地面に映った影ならその大きさを直接測ることができます。その際は太陽が斜めに照らす分、影の大きさが変わることを考慮しないといけません。
高いところから周りを眺めていると、たまに地面に雲の影が映っていることがあります。地面に映った影なら、建物の大きさなどを頼りにしてその大きさを知ることができるはずです。
その際の天候は、よく晴れて、雲がぽつぽつと浮いているような状況がよいと思いました。空一面が曇っているような日では、地面にくっきりした雲の影が落ちないためです。