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先日、事務所の引越しをした。会社を始めて丸10年、4回目の引越しだ。引っ越し過ぎだと我ながら思う。でも、引っ越すには色々と理由がある訳で、うちの場合は2年半に1回、その理由が発生するのだから仕方ない。そして、今回の引越しでは過去10年分の色々な物を捨てた。僕の概算だと約2トンからのゴミが出た。古いパソコンや机や書類。今まで会社にあったほとんどの物がいらなかった訳だ。なんだそれ。

新しい事務所に移ってから3週間ほど経つが、ここ最近の仕事に必要な物が見つからなかったりしている。いらない物は何年も大事に取っておいたのに、直近で必要とする大事な物はあっさりとなくす。神様は意地悪だ。いや、神様が意地悪のではなく、単に僕がだらしないだけである。大事な物に限ってどこかにやってしまうのだ。これは大切だからしまっておこう、と特別なことをするからいけないのだと思う。

ちょっと前までは、良く切符をなくしていた。降車駅で切符が見当たらずにオロオロするのだ。財布、鞄、Gパンのポケット。どこを探っても出て来ない。駅員さんに事情を説明して改札から出してもらい、ちょっと歩き出すとGパンのポケットから出てきたりするのだ。最近はスイカで乗り降り出来るのでそういうことはなくなった。しかし、肝心な時になくす物は他にもある。銀行や郵便局で順番待ちする時にもらう番号札だ。すぐに自分の番が来る時はさすがに大丈夫なのだが、しばらく待っていたりするといつの間にかなくなっている。

大事な物から先になくしていく。
そんな生活とはおさらばしたい。

(text by 住 正徳





大事な物をなくさない方法

切符と番号札はどちらも小さくてペラペラしている。特に番号札は静電気に弱い。気付くと他の書類やクリアファイルにくっついていたりしている。

あの大きさがいけない。
と思うのだ。

例えば区役所などでもらうような使い捨てタイプじゃない番号札だったらなくしたりしない。あれはそこそこ存在感があるからだと思う。郵便局や銀行の番号札にも存在感が必要である。

そこで、郵便局の番号札に存在感を持たせてみることにした。
名付けて「番号札巨大化作戦」である。


郵便局の

番号札を巨大化する

番号札巨大化作戦を実行するため、郵便局で番号札をゲットした。
番号札の番号は555番。「ゴー!ゴー!ゴー!」、もしくは「ゴー!ゴゴー!」である。今回の作戦にピッタリな番号だ。


ゴー!ゴー!ゴー!

番号札を受け取ってすぐ、僕は郵便局を飛び出した。自分の番が廻ってくるまでに、この番号札を巨大化させないといけない。

急いで走る。


走る

走る

俺たち

走って向かった先は、キンコーズである。渋谷の神南郵便局からキンコーズまではそれほど近くない。駅を抜け、歩道橋を越え、人波を越え。どんなに急いでも7、8分はかかってしまう。番号札を受け取った時点で、待ち人数はたったの1人。あまり時間をかけてしまうと僕の番が抜かされてしまう。

僕の前の1人が、窓口で面倒くさい注文をつけて20分ほどかかっていることを祈るしかない。


キンコーズ到着

キンコーズに着いてすぐ、先ほどゲットした番号札を財布から取り出した。この時点で番号札をなくしていたら元も子もない。今回ばかりはしっかりと財布に入れて、更にそのことを覚えておいた。

キンコーズの受付に郵便局の番号札を出し、拡大コピーをお願いする。最初、受付のお兄さんがこれはうちの番号札じゃない、という顔をしたのが印象的だった。「これを拡大してください」と丁寧に伝えたら分かってもらえた。

仕上がりサイズはB1でお願いした。B1サイズは、幅728mmで縦は1030mm。番号札の元サイズは幅57mmなので、ざっと12.77倍の拡大である。


番号札を拡大してくれているお兄さん

首を長くして待つ

待つこと10分弱。キンコーズのお兄さんは素早い対応で番号札を見事に拡大してくれた。


拡大コピーが出来上がった

12.77倍の拡大コピーで、料金は945円。
1000円札で料金を支払いお釣りをもらって、僕は愕然とした。


お釣りもゴー!ゴー!

お釣りは55円。そう、お釣りまでもが「ゴー!ゴー!」と言っているのだ。

この時、僕はこの作戦の成功を確信した。
と同時に、何としても自分の番が廻って来るまでに戻らないといけない。そんなプレッシャーがのしかかってきた。

次のページでは、巨大な番号札を持ってひたすら走ります。



 

 
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