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ひらめきの月曜日
 
富士下山道の「砂走り」を体験してきた


砂の斜面を急降下する「砂走り」を体感してきました

最近、体力の衰えが顕著だ。駅の階段の昇り降りに息切れし、短い距離でもタクシーを使いたくなる。実年齢は20代であるが、いま体力テストをしたら50代と判定されるかもしれない。

そんな自分が富士山に登ることになった。あの日本最高峰の富士山である。友人から熱心に誘われたというのもあるが、富士山の登山ルートのなかで、歩いてみたい区間があったのだ。

それは下山道にある「砂走り」という区間である。

榎並 紀行



「砂走り」とは?

「砂走り」とはやわらかい砂礫の急斜面の名称で、富士登山道の名所として知られている。「砂走り」では一歩踏むごとに足がザザーっとすべって砂にもぐる。そのため一歩が3mくらいになり、歩いていても走り下るような感覚になるという。ちょっとしたアトラクションである。この砂走りを駈け下りたいがために日帰りで富士山に登ってきた。

まずは、実際に「砂走り」を下る人の姿をご覧いただきたい。



「敵城の石垣を疾走する忍者さながらの僕」。
駈け下りながらキャプションが頭に浮かんでいた。じっさいに撮れた映像は運動会ではりきるお父さんみたいだが。

しかし、この動画からは読み解くことのできないスピード感を本人的には感じている。砂走りは一度駈け出してしまうと、ぐんぐん加速が増して容易には止まれないのだ。スリルと楽しさが入り混じった興奮で、登山の疲労をひととき忘れた。


ただし、砂走りには岩石もあるので、転倒には十分注意したい

険しく苦しかった砂走りへの道程

前述の通り「砂走り」があるのは下山道。この動画に至るまでには当然ながら「山を登る」という苦労がある。今回の記事は砂走りがメインで登山はおまけに過ぎない。プロセス(苦労)はさらっと流して、メイン(結果)だけを示すのもかっこいいが、そんなこといわず苦労の部分もぜひ見てください。


五合目までは車で行ける。ここから登山スタート
早朝4時の薄暗い山道。ヘッドライトで照らしながら歩く

富士山には主に4つの登山口がある。「砂走り」があるのは「須走口」と「御殿場口」だ。今回は、御殿場口より距離が短い須走口をチョイスした。

標高約1970mに位置する新五合目駐車場に車を停め、出発したのが早朝4時。下山道での撮影に余裕をもたせるため正午までには登頂したい。

まだ山道は薄暗い。ヘッドライトの灯りを頼りに歩いた。


出発後間もなくして御来光が昇る

出発から15分ほど経ったころ、東の空から御来光が昇った。

怠惰な日々を重ね、体力的にはへなちょこになりつつある自分に日本最高峰を登りきれるのか一抹の不安があったが、大いに励まされた瞬間だ。


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