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フェティッシュの火曜日
 
岡山県の津山ホルモンうどんはうまかった


要するに牛ホルモンが入った焼うどんです。

ホルモンはうまい。この前、亀戸の某ホルモン屋に1時間並んで食べてきた。食べ物屋で並んだ時間の最長記録である。並んだ分だけうまかった。

焼うどんもうまい。中学生の頃に野外教室で作る料理をグループで話し合った際に、一人だけ焼うどんを主張して女子に反感を買ったくらい好きだ。

岡山県の内陸部、瀬戸内海と日本海のちょうど間に位置する津山市に、「ホルモンうどん」という名物料理があるらしい。あぁ、ホルモンと焼うどんの知られざるマリアージュ。お祝いにいってこよう。

玉置 豊



津山ホルモンうどんの背景と歴史

津山のホルモンうどんを取材するにあたって、津山ホルモンうどん研究会の代表である鈴木さんと、事務局長の明楽(あきら)さんという、津山ホルモンうどん界のツートップにご案内をお願いした。

この会ができたのは2005年。その前からホルモンうどんはここ津山にあったのだが、特に名物料理という扱いではなかったそうだ。


右が代表の鈴木さん。左が事務局長の明楽さん。見るからにホルモンが好きそうな肉食系な顔つきが頼もしい。

もともとこの地方は黒毛和牛の飼育が盛んな場所。食肉処理センターもあるので、昔から新鮮な牛ホルモンを鉄板焼き肉などで日常的に食べていた。そして30〜40年位前から、酒のつまみに食べていたホルモン焼きに、締めの一品としてうどんを一緒に焼いて食べるのが、ここ津山で流行りだしたらしい。似たような文化圏のおとなり兵庫県佐用町あたりでも、ホルモンうどんは食べられているそうだ。

ちなみに我が家では、アサリの酒蒸しを食べたあとの汁をご飯と炒めるのが流行っている。貧乏あさりチャーハン。

そのため、昔は「ホルモンうどん」という統一名称が存在せず、ほとんどの店でメニューにも載っていなかった。常連さん達は「ホルモンにうどん入れて!」という感じで注文していたらしい。それほどこの地に根付いた料理だったということだ。


研究会代表の鈴木さんがモデルとなっているハチノス大将というキャラクターがかわいい。この名前の由来は後述。

2005年、岡山で国体が開かれるのをきっかけに、津山の名物として売り出そうと、市の職員などの有志が中心となって発足したのが、津山ホルモンうどん研究会。

事務局長の明楽さんは市の観光課職員なのでわかるのだが、代表の鈴木さんは養蜂家。なぜ養蜂家が全く関係なさそうなホルモンうどんを研究しているのかと尋ねたら、「ほら、ホルモンにはハチノスが入っているから」との答えが返ってきた。あ、それでハチノス大将なのか!(膝をポンとたたく)
※牛の第二胃袋をハチノスという。

そんな訳で、津山のホルモンうどんは、ご当地グルメ日本一決定戦であるB-1グランプリに出展するほどの盛り上がりを見せているのだ。

以上、前置き終了。

 

ホルモンうどん屋という店は存在しない

多くの津山市民に愛されているホルモンうどんなのだが、その料理の誕生がホルモン焼のおまけ的な扱いだったため、現在でも専門店というものが存在しない。津山にある焼き肉屋、お好み焼屋、居酒屋、食堂、ドライブインなどが、あくまでメニューの一つとして出している。

津山市内に50軒以上もホルモンうどんをだす店がある中で、まず最初に訪れたのは、東津山駅近くにある「くいしん坊」というお好み焼屋さん。外観は名物料理を出すお店というよりも、地元の方が気軽に来るお店という感じである。


左ののぼり(かわばた恵美子ではない方)がホルモンうどんの目印です。市内を車で走っているといっぱい見かけます。

鉄板前の特等席に陣取り、さっそくホルモンうどんを注文。

熱せられた鉄板の上に、下処理なし、下味なしの生ホルモンがゴロゴロと広げられた。予想外の展開にテンションが上がる。


ホルモンをコテでカットしながら焼いていく。内臓肉好きにはたまらない光景。

ホルモンは腸、心臓、胃袋など様々な部位がミックスされているのがうれしい。これはもはやホルモン界の宝石箱といっていいだろう。



ホルモンはそのまんま生ホルモンを使う

ホルモンというと、どの部位でもある程度臭みがあるので、下茹でをするなり、濃い下味をつけるなりをしてあるイメージがあるのだが、ここのホルモンは、そのまんまホルモン(たけし軍団みたいですね)。もちろん冷凍もしていない生ホルモン。下処理をしていないということは、それだけ品質に自信があるということだろう。

研究会の情報によると、津山でホルモンうどんを出す店のほとんどは、生のホルモンをそのまま使っているらしい。

いい内臓肉独特の香りが鉄板から急激に立ち込めてきたところで、そこにお好み焼き屋らしく細切りのキャベツ、そしてうどんを加えて、ホルモンから出た脂で炒める。


この店では、玉ねぎは甘味が出すぎるので入れないそうです。

キャベツから水気が出てきたところで、たっぷりのたれでうどんを色づけていく。このたれがまたいい匂いなのだ。


このたれの匂いがたまらない。もし売っているならば、ぜひお土産に買いたいたれだ。

最後にもやしを加えて、さらにたれをかけて全体にからめる。こういうふうに目の前で自分が注文した料理を作ってくれるのっていいよね。


このホルモンとたれが焼ける香りだけでビール大ジョッキが飲める。

このようにホルモンうどんの作り方は、ホルモン、野菜、うどんを炒めて、たれで味付けするというシンプルなものだが、各店でたれや入れる野菜が違ってくる。

あくまでホルモンが主役の料理なので、野菜は何を入れても大差ないように思えるのだが、これは各店を食べ比べてみて、初めて味と方向性の違いに気づくことになる。



わかりやすくうまい味

お好み焼きっぽく仕上げに青海苔と紅ショウガを乗せたらホルモンうどんの完成だ。

こんな料理、うまいに決まっているじゃないか。


要するに豚バラ肉のかわりに牛ホルモンを使った焼うどんなのだが、こんなに焼うどんで興奮したのはもちろん人生初。

うまいに決まっていると思いながら、ホルモンとうどんが両方口に入るように気をつけながらまず一口食べてみたら、これが予想以上にうまかった。

野菜の水分を吸って程よく柔らかくなったうどんの周りを、新鮮なホルモンから溶け出した脂と特製ソースがコーティングをしている。もちろんホルモンに臭みは一切なし。


このフヨフヨしたやつがうまい。

歯ごたえのある心臓や胃袋などの箇所ももちろんうまいが、特にフニョフニョ、フワフワとした腸部分には、一目惚れに似た感情を覚えてしまった。



タレはまさかの市販品

このうどん、野菜、ホルモンという組み合わせをまとめあげているのが、醤油ベースのたれである。さぞや店主もたれにこだわっているのだろうと話を聞いてみたら、地元の石井食品という会社が、ホルモンを焼くためだけに開発したという市販のたれをそのまま使っているとのことだった。

「ズコッ」という効果音はこういう時のためにあるのだなと思った。

ズコッ。


「うちは一切隠し事なしです!」と、このたれを出された。

その味に感動を覚えた側としては、たれが市販品というのはいささか拍子抜けする話だが、店主も自分でいろいろなたれを作って研究した結果、このホルモン専用のたれをそのまま使うのが一番という結論になったそうだ。すごいぞ、石井食品。

これだけうまいホルモンうどんだが、ここはあくまでお好み焼き屋さん。この店は他の人たちが頼むどの料理も、すべてホルモンうどんと同じくらいうまそうなのだ。4人くらいで来て、じっくりと腰を据えて食べたい店でした。


オタフク・メニューコンテストの金賞・銀賞も受賞したメニューもお薦めだそうです。すごい気になるけど、今日はあと二軒まわる予定なので、残念ながら断念。

くいしん坊
電話番号:0868-26-1958
住所:津山市川崎138-2
営業時間:11時〜16時、17時〜25時
定休日:火曜日

 

津山観光情報 その1 石井食品株式会社

くいしん坊で使っている石井食品のたれは、津山市内のスーパーなどでも売っているところは売っていますが、せっかくなので工場がある津山の隣町、美咲町までいってきました。

石井食品久米工場。ホームページで通販もやっています。

事務所では社員さん達が普通に仕事をしているけれど、直売所にもなっていて、くいしん坊で使っているのと同じたれを買うことができます。お土産に、土産話に最適。

焼肉のたれとホルモンうどんのたれがありますが、中身は同じだそうです。

つづく

 



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