島の人たちにも話を聞ければ、と思っていたけれど、なにせ人がいない。同じようにカメラをぶら下げた観光客か、猫しかいないのだ。港のほうにいっても、漁の時間ではないらしく人っ子ひとりいない。
噂に違わず、縦横無尽に猫が行き来する島なのだった。さすが神。毛がちょっとボソボソしてるけど。
島では、観光客が猫にエサを与えることは禁止されている。 島民がちゃんと与えているのと、食べきれないエサにはカラスが来てしまうからだ。 カラスは子猫も狙う。島には片眼を損傷した猫が数匹いた。あれはカラスのしわざだそうだ。
田代島の猫はみんなフレンドリーなのだが、「こいつ、カメラ意識してないか?」と思わせる猫もいる。 それが下の子猫だった。
神様だし、従わないと祟りがあるような気がして、促されるままにシャッターを切ったのだった。まさに触らぬ神に祟りなしだ。