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フェティッシュの火曜日
 
人は赤べこをみるとつい揺らしてしまうのか


ちょっと意外なところで唐突に赤べこに出会ったとして、そんな素性の知れない赤べこの首でも、やっぱり人はついつい揺らしてしまうのだろうか。

櫻田 智也



松谷くんのこと

現代社会における無関心、果たしてそれは赤べこに対してもそうなのか。
会津の人には特に気になる命題だと思う。


赤べこ買った

以前からほしいと思っていた。それにしても全国のお土産がインターネットの通販で簡単に買えてしまうというのは、その意義を失うことにもなりかねないのでは。というぼくの懸念をよそに、赤べこは今日も、いつもと変わらぬひょうきんさを振りまいていた。


「ひょうきん」というイデオロギーの具現化

赤べこといえば福島県は会津の郷土品であるが、学生時代に福島県出身の松谷くんという友人がおり、彼は見た目こそ赤べこに似てはいないが、やはりなかなかひょうきんなところのある愛すべき人物といえた。 彼の話す日本語にはアクセントというものがなかった。イントネーションが異常に平坦なのだ。最初はそれが福島訛りなのかと思っていたのだが、どうやらそうではなかった。なにしろカラオケで唄う歌まで平坦なのだ。

ぼくは中島みゆきの曲の多くを彼とのカラオケから知ったので、彼女の歌はどれもだいたい2つくらいのコードで出来ているんだろうと思っていた。みゆきさんには気の毒なことである。


あ〜さ〜い〜ね〜む〜りに〜

赤べこ対決なるか

大いなる余談であった。
というわけで赤べこの松谷くんを連れて外にでかけてみた。


いくぞ、松谷くん

ところで岩手の県北にも、じつは『赤べこ』と呼ばれる牛がいる。短角牛という赤毛の肉牛で、夏のはじめから秋にかけて、山の斜面で放牧しているのを目にできる。


放牧される短角牛

山道を走っていて、いきなり頭上の斜面に赤毛の牛の群れがいるのには最初びっくりした。人なつっこいんだか威嚇なんだが知らないが、車を止めて見物していると斜面を駆け上がって近づいてくる。


なんだこのやろう

で、せっかくなので会津の松谷くんと岩手の赤べこを初対面させたいと思ったのだが、残念ながらこの日、放牧された赤べこをみつけることができなかった。
少し前の岩手日報に『短角牛肥ゆる秋』と載っていたので、もしかしたら順調にアレされてしまっているのかもしれない。
というわけで、写真の牛は昨年撮影したものである。ちょっとブレているので、やはり首を縦に揺らしていたのだろう。


壊れちゃうから壊れちゃうから

モニタリング開始

というわけで、タイトルの命題を検証すべく、松谷くんを街なかに置いてみることにした。
まずは、


緊張

押ボタン式信号機のボタンの上である。ここを渡りたい人であれば必ずや目に飛び込んでくる赤べこの姿。果たして人は、ボタンを押すついでに赤べこを揺らしてしまうのか。

松谷くんを設置し、興奮気味に観察をはじめたのだが、


横断する人がいない

なかなかに過疎である。
ぼくの見張りかたが不自然で人が近寄ってこないという可能性を考慮し、張り込みスタイルはよして自然にふるまうことにした。


ナチュラルであれ

そこに第一村人、じゃなかった、最初の横断人があらわれた。


犬の散歩

残念なことに。彼が立ち止まっているのは松谷くんがいる側とは反対側である。だが横断し終わったときに松谷くんに気づいて頭を揺らす可能性はある。
信号が青になり、現場に緊張がはしる。


最接近!

ついに松谷くんを射程圏内にとらえた散歩のおじさん。どうだ? 揺らすのか!?


スルー!

揺らさない! おじさん揺らさない! てか気づかない!!
おじさん赤べこには目もくれず愛犬を連れて遠ざかってしまった。

がっくりと肩を落とすぼく。だが、まだサンプルはたったひとりである。すぐに気持ちを改めて、場所を隣の横断歩道に移し様子をみることに。するとすぐにチャンスがやってきた。


学生接近!

中学生だろうか、ジャージ姿の女子3人組がやってきたのだ。なにしろ色んなことに過敏なお年頃。これは期待がもてる。 どうだ、揺らすのか!?


「あっ、赤べこだ!」

信号に近づくやいなや、すぐさま松谷くんを発見。そして……
ゆ、揺らしたっ! それはもう3人がかりで揺らしまくりである。さすが松谷くん、教育学部だっただけに学生人気は高いようだ。

3人組は「珍しい!」「なんで!?」などといいながら騒いでいる。相当な人気だ。
ぼくも一緒に喜んでいたら、3人組がいきなりジャンケンをはじめた。

耳を澄ましてみると、『この赤べこ誰が持って帰るかジャンケン』だったので、慌てて3人組に近づき、事情を説明して返してもらえるようお願いした。
「赤べこってこの辺であんまりみないから」と、3人組はコロコロ笑って返してくれた。


女子に大モテの松谷先生

そういえば実際の松谷くんも女性によくモテていた。ゲゲゲの鬼太郎みたいな髪型をしていたというのに、なぜだろう。


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