このためにあるかのような高さ
それにしても自動販売機というのは実に絶妙な高さである。日本自動販売機工業会のサイトを見ると、一般的な自動販売機の高さは1830mmと2007mm、なかでも1830mmが主流である旨記載されていた。
これはよほど背の高い人でないと普段の生活で上をのぞくことはない高さだろう。そこがポイントなのだ。簡単に見られるようでは安心して小銭は置けない。
今回の調査は下の写真のような装置を使って行った。
この装置を手に町にある自動販売機の上をしらみつぶしに見て回りたい。
こういう調査は数こなした方が説得力があるだろう。そう思って上野、東京、秋葉原、そして事務所のある大森周辺で合計100台あまりの自動販売機の上をのぞいて歩いた。
今の時代、デジタルカメラがあるから便利である。一脚に取り付けて目線よりも上が撮れる仕様にしたカメラで撮影すると、その場で自動販売機の上に何があるのかをチェック出来るのだ。何があるのかわからない場所を素手で触って確かめる危険を免れられる。
このように、デイリーの取材をしていると技術革新を肌で感じることが多い(そしてそれは一般的にアピールされている部分ではないことがほとんどだ)。
たくさんの自動販売機の上を見て歩いた結果はこうだ。
結論:何もない
期待させておいて申し訳ないのだが、ほぼ何も乗っていませんでしたよ。
いやあびっくりした
小銭はおろかゴミすら乗っていない。やはりこの絶妙な高さが物を乗せるには高すぎるのだろうか。
それにしても、だ。
その高さを逆手に取ろうという人はいないものなのか。気付いていないのか、それとも気付きながら不安な気持ちに勝てないのか。とにかく企画自体は危機的状況です。
そんなしょっぱい状況の中でも、いくつかの自動販売機には上に物が乗せてあったので無理矢理紹介したい。
まずはこちら。
ライター+靴+傘=地味
上にライターが乗っかっていた自動販売機は5台ほどあった。自動販売機の100台に5台は上にライターが乗っている。5%だ。タバコ吸う人は覚えておいて損はない。
次、靴が乗っていた自動販売機が2台。
自動販売機の2%には上に靴が乗っているのだ。酔いつぶれて目が覚めたら路上。よくわかんないけど靴はいてない。そんな状況を体験したことのある人は覚えておいて損はない。
次、傘。
これは5本見つけた。ライターと同じく5%だ。急に雨が降り出したら自動販売機の上を手当たり次第探ると20台以内で傘を1本ゲットできるということだ。探す段階でびしょびしょになるのは別の問題。
町を歩き回りながら写真を撮っていて、僕は今日会社で他にやるべきことがあったんじゃないか、と何度も思った。はたして今日は半日かけて自動販売機の上を覗いてまわっている場合だったのだろうか。
不安にかられて無性に誰かと話がしたくなったが、暇そうな友人は残念ながら思いつかなかった。