そう、ここは水力発電所だった。その名も蹴上発電所と言う。明治24年に運転が開始された、日本で始めての一般営業用発電所だ。ふぅ、また日本初が出たか。これで何度目だ。
琵琶湖疏水を流れてきた水は、ここで水力発電に使われ、また水路へ流れて行く。ちなみに蹴上発電所で作られた電気は、京都市電の動力に使われていたが、この京都市電もまた、日本で始めて営業運転が開始された電車だったりする。
そういえば最初に、琵琶湖疏水は舟運の利便を高めるために作られた、と述べたのを覚えておられるだろうか。それはつまり、琵琶湖疎水は舟で行き来することができねばならない、ということだ。
しかしながら、琵琶湖から流れてきた水はここで発電所へと入ってしまう。まさか水圧管路の中を舟が滑っていく訳にも行くまい。では、舟はどうやってここを越えていたのだろうか。 |