けんかさながらに御神輿をぶつけ合ったり、沿道にあるものをなぎ倒しながらゴーカイにだんじりを引き回すお祭りなど、お祭りの中にはかなりゴーカイかつ乱暴なものも少なくない。
福島の方には、山車(だし)をゴーカイにぶつけ合うのだけれど、なぜかその山車の上にはカワイイ人形が飾り付けられているという、ちょっと変わったお祭りがあるらしい。……これは見に行かなくちゃ!
(絵と文:北村ヂン)
スゴイお祭りを見つけたぞ
以前、記事にした「かっぱ村」を取材するために福島県を訪れた際、こんな気になるポスターを見かけました。
「あばれ山車(だし)」というお祭りの告知ポスターのようなんですが、
「400年の伝統」といううたい文句とまったくマッチしないファンタジックかつファンタジアな感じのネズミキャラが最前面にズドーンと……。後ろの方に見えているのはゲゲゲの鬼太郎でしょうか? なんだこのお祭り!?
インターネットで調べたところ、このお祭りはネズミやら鬼太郎やらといったキャラクターを乗せた山車を引き回して町中を練り歩き、さらにはそれぞれの山車をガッチンガッチンぶつけ合うというゴーカイなお祭りなんだとか。
……ということは、このにこやかな笑みを浮かべているネズミキャラと鬼太郎がガンガン激突したりするということ……。
……ということで、福島県の二本松駅からバスに乗りかえて、“あばれ山車”の会場である針道という町を目指します。
非常にローカル感あふれるのんびーりしたバスに揺られること約40分。お祭り会場を目指しているというのになぜか乗客はボクを含めてふたりだけ。
しかも、窓の外はどんどん山奥感を増してきます。
「こんな辺鄙な場所でやるんじゃ、お祭りっていっても人少ないんじゃないかな……」と思っていたら。
ウハッ、ものすごい人出!
なんと例年この“あばれ山車”の時には一万人以上の観客がやって来るんだとか。ここ針道は普段、過疎化、少子高齢化に悩んでいる地域らしいんですけど、この日だけは人口密度が激増するわけです。すごいぞ、あばれ山車のパワー!
さて、これだけの人たちを魅了する“あばれ山車”とはいかなるものなのか、はやく見たいところですが、お祭りがはじまるまでの間、過去に行われた“あばれ山車”の写真が展示されていたので、それを見て待つことにしましょう。
ユーモアあふれる山車の数々!
……とまあこんな感じで、その年その年に流行したキャラクターや人物が、山車の上に乗る人形のモチーフとなっているようです。
針道をいくつかの地区に分けて、それぞれの地区の“若連”と呼ばれるグループごとに山車を制作するのですが、それぞれどの辺の流行を切り取ってくるのか、というのも見所のひとつと言えるでしょう。
ほいっ! これは今年実写映画化もされた「ヤッターマン」のヤッターマン1号ですね。
しっかし、山車の想像以上のデカさに驚愕! 隣にある家と比べるとどれほどデカイかよく分かります。
こちらはスーパー戦隊シリーズの最新作「侍戦隊シンケンジャー」からシンケンレッド。
あばれ山車とは全然カンケーない話ですが、この間たまたまこの番組を見たら、侍をテーマにした戦隊だけに、刀を使った殺陣とかバリバリやってて結構面白かったですよ。
あ、お笑い芸人・オードリーの春日だ!
おそらくお笑い芸人枠で山車を作るなら、去年だったらエド・はるみ、一昨年だったら小島よしお、その前ならレイザーラモンHGとかなんだろうな……。
背中には「みんな見に来てくれてありがトゥース!」というメッセージが……。いやあ、地方のお祭りにまでギャグが浸透しているっていうのはすごいことですよね。
そして……
この後ろ姿は……。
出たッ、ザク! ガンダム30周年っていうことからのセレクトなんでしょうか?
このザクがまた、デッカくて迫力満点なんだ。お台場にあった実物大ガンダムも大迫力でしたが、このザクもなかなかのものですよ。
ちゃんとヒートホーク(ザクが使う斧っぽい武器)もありました。お祭りののぼりの横にヒートホークが立てかけられている光景……。戦争と平和って感じですかね。
そしてもちろん。
動きますよ、コイツは!
お台場ガンダムも首くらいはフルフル動いてましたが、こちらのザクは移動可能! この点に関しては完全にお台場ガンダムを凌駕しているといっていいでしょう。……まあ人力ではありますが。
お祭りのはじまりはこのように、山車たちが列をなしてゆっくりと町中を練り歩いていきます。
このくらいの大きさの人形がパレードをする、というだけのお祭りならよくありますが、