鍵盤ふやします
ひとつできてしまえば、後は同じことの繰り返しだから楽だ。あとは同じ仕組みで鍵盤をたくさん作って、空気袋につなげばいい。
しかし、この辺から暗雲が立ちこめ始めるのだ。
とりあえず1オクターブ鳴ればいいかな、と思っていたのだが、買ってきた木をそのままの幅で使ったら、ドレミファソラまでしか置けなかった。あまりの行き当たりばったりぶりに自分でも驚いた瞬間である。
あと買ってきた木が柔らかすぎて欠けた。下駄の鼻緒が切れた的な、不吉な予感が作業室に充満する。
ここまでできてくると、一度立ち込めた暗雲もきれいに吹き飛んだ。「整然と」というには少しガタガタしているが、不ぞろいながらも一列に並んだ機械っぽい構造が見えてきて、とたんに楽器らしさが急上昇。フェティッシュな感覚に訴えかけてくる。
いいぞ、いいぞ。完成間近。
空気袋を
ポンプから送り出した空気は全部のストローに送らなければいけないので、空気はいったん空気袋に集めることにした。そこから各ストローに分岐する。
できた…
おお、ガタガタ。歯医者に貼ってあるポスターの「歯周病で歯の根っこが緩んでしまった人」みたいな歯並びの悪さだ。でも歯学の素養のない自分としてはそこにこだわるつもりはない。むしろこの不ぞろいな感じが愛らしいくらいだ。
しかし大事なのは見た目より音。次は音のチューニングに入ります。