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土曜ワイド工場
 
テレビのセットを作っている工場見学


こういうのも作っている

いま、ニフティでは「Word of the Year '09」というキャンペーンを開催しています。
あなたが選ぶ2009年の“漢字”と“感字”というキャッチフレーズで、今年一年を漢字で振り返るという企画です(詳しくはこちら)。

その担当者から、今年の漢字を発表するイベントの演出で使うセットを製作する会社の工場を見学しないかという話がありました。
なんでもその会社は、テレビや舞台で使用する舞台美術、いわゆる「セット」を作っているということで、それはおもしろそうだと、喜び勇んで見学に行ってきました。

工藤 考浩




お茶畑の中にあった

テレビや舞台のセットを作っているというので、流行の最先端をいっているんだろうと思って指示された場所に向かったら、周囲は茶畑でした。
予想外にのんびりとしたところで、華やかなイメージとは違うんだな、というのが第一印象です。



株式会社タフゴングさん

いきなり全員集合みたいだ

テレビのセットということなので、きっと「大道具」とかいうジャンルのものなのだろう、だから広い作業スペースが必要で、大きな土地が確保できる郊外にあるんだろうな、と自分を納得させつつ、「こんにちは」と工場の中をうかがうと、さっそく目に飛び込んできたのは、8時だよ!全員集合のコントの合間に舞台が変わるときの、あのパネルです。


こういうの見たことある!(ドリフで)

広い工場の中は、学園祭の舞台裏の百倍くらいの密度でベニヤ板や発泡スチロールが置いてあり、その間を「職人さん」風の従業員の方が動き回っています。
僕もこれまでいろいろな職場を見る機会がありましたが、現場の空気が、ぷーんと楽しそうです。
こりゃいいところにきたぞ、と直感しました。


これがセットの基本ですと秋山さん

あの番組やこの番組のセットも

今日工場を案内してくれるのは、秋山さんという方です。
さっそく事務所に案内してもらったのですが、僕はもう工場の方を見せてもらいたくてたまりません。
職人さんがでかい発泡スチロールを切っているところを早く見たいのです。
秋山さんに当サイトの説明と、ニフティのイベントの告知を兼ねた取材である旨を、可能な限り手短に話し、工場の案内をしてもらいました。

普通にテレビを見ていても会社名を目にすることはあまりありませんが、タフゴングさんは業界では超有名な会社で、いろいろと大人の事情で番組名は明かせませんが、「ああ!見ました見ました!」というような番組のセットをたくさん手がけているのです。




いま準備中なのは、年末恒例の漫才番組のセット

謎の物体制作中

工場の真ん中で、今まさに製作中なのが、もうすぐ公演の舞台で使われるセットです。
こういう表現は失礼ですが、すごくきれいに組み立てられています。
直角は直角に、曲線はなめらかに仕上がっているんです。
多少なりとも工作のたぐいをしたことがあればわかってもらえるでしょうが、これがとても難しいんですよね。

当サイトでも、各ライターが知恵を絞ってこれまでいろんなものを作ってきましたが、やはりプロの仕事は違いますな。


当たり前だが細かいところまできしっとしている

ないものを生み出す

上の写真で製作中のセットの図面を見せてもらいました。
たとえば家なら、ここに窓サッシを入れて、キッチンはこのサイズでという具合で指示してあるところを、この図面では仕上がりの形があるばかりで、どの部分を何の素材でどう作るのか、というところからタフゴングさんが考えているというのです。

つまり、何にもないところから、素材や加工方法を選んで作り出しているということです。
なんだか魔法みたいな話ですよ。


「私が考えたんです」と秋山さん

現場を知らないと

秋山さんの名刺には「営業・製作センター長」という肩書きがあったので、いわゆる営業畑の人なのかと思っていました(印象もスマートだし)。
しかし図面を見せてもらいながら、
「たとえばこういう素材なんかを決めるのは、だれか一人の人がディレクションをして、作業を指示するのですか?」
と質問したところ
「そうですね。このセットは私が考えたんですよ。」
との答え。ばりばり現場肌の方でした。
「製作の現場を知らないと、受注するのに御用聞きにもなりません。」

デザインをする人のイメージをくみ取り、それを形にするには、はやり付け焼き刃の知識だけではだめなんですね。


それにしても楽しそうな作業だ

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