喫茶系も充実の別業態店
これまで食事的なメニューを出す店を紹介してきたが、飲み物やデザートといったジャンルの店にも別業態店は存在する。大手コーヒーチェーンの別業態店は、同じ飲み物でも別ジャンルを扱う店だった。
コーヒーショップのチェーン店としてよく見かけるタリーズコーヒーだが、同じ会社が手がけるのが「クーツグリーンティー」。その名の通り、緑茶をメインで提供する店だ。
東京に2店舗、そして鹿児島に1店舗という展開。全国に3店舗しかないのでこちらも珍しい。
緑茶のお店ということで、メニューには抹茶もある。濃さによってストレートとアメリカーノとがあるのがおもしろい。そういう表現と抹茶が組み合わさったのは初めて聞いた気がする。
初めて聞くのは期間限定のアレンジメニューでも同様。「ほうじ茶マロンラテ」なんて、ここでしか飲めないんじゃないか。
抹茶は普段からあまり口にしないため、初心者向きと思われるアメリカーナタイプを注文してみた。確かに濃さがほどよくなっていて、ゴクゴクといけるくらいに飲みやすい。
そして気になるマロンラテもいってみよう。…これは、かなりおいしいぞ。
確かにベースはほうじ茶の味。それが一つの柱となりつつ、ちょうどよい甘さとマロン風味が包み込む。もっと個性的な味を予感していたのだが、しっかりとまとまっていておいしい。
この店はドリンクの他に丼物やおにぎりも提供。中でも気になった「エダムチーズおにぎり」を食べてみた。決して奇抜な味ではなく、チーズのコクがごはんとよくなじんでおいしい。そして食べ進むうちに中から黒いものが。ちょっとかじってみると、正体はオリーブの実と判明。
これもうまい。特にマロンラテはリピートしたくなるくらいに気に入ったが、店自体がレアなのが惜しい。
続いてやってきたのは銀座。休日ともなるとたくさんの人でにぎわうこの街にも、別業態店がある。
青いマークの「ニューヨーカーズカフェ」は、喫茶店のルノアールが展開するカフェ。特徴的なメニューがあるわけではなさそうだったが、店舗数としては5店舗しかないようなので珍しさはある。
マツモトキヨシの色も違う銀座だが、おなじみのコーヒーショップのグレードアップ版もあった。
ドトールの別業態「ル・カフェ・ドトール」。名前からしてちょっとかっこいい。ドトールの親しみやすい丸っこいロゴではないあたりにも、銀座だぞ、という感じが漂う。
コーヒーが380円というのは、ドトールにしては高いけど銀座にしては安い、というところだろうか。銀座に2店舗、仙台に1店舗という展開なので、ここもレアリティが高い。
そして最後に紹介するのが、同じく銀座にあるこの店だ。
構えからして銀座的。宝飾品やブランド服を扱っていそうな店にも見える。しかしそういうわけではなく、誰でも知っているあのアイスクリームの会社の店なのだ。
スーパーやコンビニでも買える、でも身近ながらも高級感が褪せることはないハーゲンダッツが店、「ハーゲンダッツ ラ・メゾン・ギンザ」なのだ。
そもそもハーゲンダッツのイートインタイプの店がそれほど多いわけではないが、その中でも特別な1店舗。建物全体にもそのスペシャル感は漂っている。
独特なデザインの4階建ての建物は、上階部分が顔の形にも見えて、全体としては古代の遺跡にある巨像のようでもある。ラグジュアリーな雰囲気と拮抗しているのか。
それでもトータルとして前面に立つのは高級感。訪問時には入口にドアマンがいたところからしてそうだ。
満員のためしばらく待っての入店。ハーゲンダッツの店なのでもちろんアイスクリームを出す店なのだが、メニューに載っているのは趣向が凝らされたものばかりだ。単なるデザートというより、ひとつの料理のようにも見える。
いろいろある中、最も不思議な感じがした「リッチミルクアイスクリーム、白桃のコンポートとフレッシュアボカド添え」を選んでオーダー。メニューの説明に「胡椒とゲランドの塩、オリーブオイルで仕上げました」とあるのが気になった。
見た目にもきれいなこのメニュー。上に乗っているのはバジルの葉を揚げたものだそうだ。
食べてみる。ミルクアイス、白桃、バジル、アボカド、塩と胡椒、オリーブオイル…説明に書いてあった材料の味はどれも確認できる。そしてそれらが渾然一体となって、相当わかんないことになっている。
わかんないというのはネガティブな意味ではない。独創的というか、新鮮というか。山田うどんの「かかしデザート」が「豆腐+ブルーベリー」と単純に言い切れたのに対し、こちらはかなり複雑なのだ。
うーん…とうなりたくなる味。新鮮な体験だった。
気軽にちょっと違った気分を味わえる、チェーン店の別業態店。隠し球的に覚えておいて、友達や恋人といっしょに行くと楽しいと思います。