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はっけんの水曜日
 
「駄菓子屋ゲーム博物館」で熱い勝負を

■10円ゲームを制覇せよ


そろそろ帰ろうかなー……と思っているところに声をかけて来たのは、ここの館長さん。


もちろんこんな邪悪な顔ではないし、黒服も着てません

期間限定で、指定された8つのゲームをいくらでクリアすることが出来るか、というイベントをやっているんだそうです。

うーん、正直もう疲れちゃったし、何だか心も折れちゃったし、帰って寝たい気分だったんですが、やっぱ企画的にはコレにチャレンジした方がいいですよね?

……ということで、とりあえずクリアしなければならない8つのゲームを見ていきましょう。


<新幹線ゲームII・宇宙>

駄菓子屋ゲームの王道、投入した10円玉をハズレ穴に落とさないように弾いていって、一番下にあるゴールを目指すというタイプのゲーム。お金自体を遊びの道具にしてしまうというシステムは、子供心になんだか背徳感があってドキドキしました。

10円玉を使うというアイデアは「新幹線ゲーム」が元祖なんだそうですが、コレはその続編。 なぜか新幹線が宇宙に行っちゃってます。

もう新幹線でも何でもないでしょ、コレは。

 

<ホップステップジャンプ>

「新幹線ゲーム」の人気を受けて登場した亜流。ゲーム性としては、若干コースが変わっているくらいでほぼ「新幹線ゲーム」と同じ。

こんな注意書きがされています。当時、コーフンし過ぎてガンガン機械を動かしまくる子供がいっぱいいたんでしょうねぇ。

<インターチェンジ>

これも10円玉を弾いてゴールを目指すというゲームなんですが、「新幹線ゲーム」が下へ下へと10円玉を転がしていくのに対して、コレは強力なバネで10円玉を下から上にビーン! と弾くので、縦方向へのダイナミックな動きも見せてくれます。10円玉があっちゃこっちゃへバンバン弾かれていく様はなかなか壮観ですよ。

ところで、右下のゴールではサンバイザーをした女の子が待っているんですが……

顔が真緑でものすごく気持ち悪いですね。どうしてこんなカラーリングになってしまったのか。

 

<グランプリ>

こちらも同じく10円玉弾きタイプのゲーム。コースが透明なアクリル板で出来ているため、どういうコースになっているのか判別しづらいんですよね。

 

<サーカス>

これは10円玉を入れるとパチンコ玉が出てきて、それを操ってゴールを目指すというゲーム。右下についているハンドルを回して

このレールの角度を変えていくことによってパチンコ玉を操作します。

 

<サバイバル>

これもパチンコ玉を使うゲームです。下に3個ついているハンドルで玉を打ち上げて当たりのチューリップを目指します。まあ、ほとんど昔のパチンコという感じのルールですね。

しかし「サバイバル」という、さいとう・たかを先生の漫画を思い起こさせるような勇ましいタイトルがついているのに

このにこやかなキャラクターは……。つーかコレ、版権取ってるのかなぁ? やっぱりみんなネズミキャラが好きなんですね。

 

<フットボール>

ちょっと大きめのボールを弾いて、当たりルートを通過させるというゲーム。この頃、他の10円ゲームがほとんど電気を使用していなかったのに対して、このゲームでは電気を使って

こういう風車をクルクル回転させています。多分、これは画期的なことだったんじゃないでしょうか。

 

<国盗り合戦>

全面的に電気を利用した、いわゆるエレメカ式のゲーム。下のルーレットを回して、すごろくの要領で沖縄から順に進んでいき、北海道を目指します。

コレは一時期駄菓子屋にやたらと置いてあったので、ボクも結構やってました。懐かしい!

余談ながら、コレを作っていたのは「レジャック」というメーカーなんですが、このメーカー、今の「コナミ」の前身なんだそうです。へーっ、へーっ。

 

……とまあ、ここまで紹介してきた8機種を全てクリアするまでにいくらかかるのかを競うイベントなんですが。

まあ、ある程度大変だろうなってことは予想出来てたんですけどね。だって、この手のゲームってひとつクリアするだけでも結構難しそうじゃないですか。それが8つって……・

手始めに、ゲーム資金として1000円分の10円玉を用意したのですが。

みるみるウチに

10円玉が減っていき……

ついにスッカラカンに……(中に入ってるのは、クリアしたゲームで獲得した景品)。

いやあ、10円ゲームで1000円もするって大変なことですよ。だって100ゲーム分ですからね、100ゲーム分……。小学生だったら寝込んで学校を休んじゃうくらいの散財ですよ。

まあ、途中からちょっと面倒くさくなっちゃって、10円玉をワシャッと掴んでバンバンぶち込んでいたので、もうちょっと慎重にやってればこんなスピードで10円玉が減ることもなかったでしょうけど……。

でも、ここで引き下がるワケにはいきません。……というわけでおかわり! さらに1000円を10円玉に両替して全制覇を目指します!


■両替機も超レトロ


ここでものすごく余談になってしまいますが、この駄菓子屋ゲーム博物館に置いてある両替機も非常にレトロで趣深いステキなマシーンだったので、ちょっと紹介させてください。

ほいっ、この両替機です!

「手動両替機のケンさん」だそうです。「自分、不器用ですから100円を入れた後、右にある黒いハンドルを回して下さい」とのこと。

このハンドルをグルグル回すと、10円玉がガションガショーン! と飛び出してくるって寸法ですな。

中身を特別に見せてもらったんですが、コレがまた無骨で格好いいんだ。

うおー、10円玉がギッシリと積み上げられてますね。

さらに下から見上げるとこんな感じ。

おそらくハンドルを回すことによってこの穴がスライドして、上手いこと10円玉が10枚転げ落ちてくるんでしょう。電気を一切使わずに、機械式のカラクリのみで両替をしちゃうなんてスゴイっすよ、先輩!

 

 

この10円玉が出てくるアクションがたまらなくカッコよかったので、是非動画でも見てください!

■感動のフィナーレ


……と、現実逃避していても仕方がないので、さっさと残ったゲームをクリアしちゃいましょう。

一応、1000円を使い切った段階で8つ中7つのゲームはすでにクリア出来ていたんです。そしてただひとつ残ってしまったのが「新幹線ゲーム」。

駄菓子屋10円ゲームとしてはものすごくオーソドックスなものだし、何よりここの「新幹線ゲーム」は改造して難易度を下げてあるらしいんですが、それでもなぜか全然クリア出来ないのです。

この一番下の段までは簡単に行けるんですが、最後の最後、右からビーンと弾いてゴールに入れるというこの場所がどうにもこうにも難しいんですよね。

ゴールの前後に罠的に穴が配置されていて、強く弾き過ぎても弱すぎてもアウトという、非常に微妙なコントロールを必要で、このハズレ穴に何十枚の10円玉が吸い込まれていったか分かりません。

……などとよからぬことを考えていると。館長から

「一番下に10円玉を何枚か溜めてから弾くといいですよ」

とのアドバイスが……。

はーっ、まとめて弾くことによってどれか一枚くらいはゴールに入るだろうということですね。確かにそれはよさそう! デジタルのゲームばっかりやっていたら思いつかない、アナログゲーム機ならではの攻略法です。

早速、一番下のバネのところに10円玉を集めて……。

……あっさりと。

や・っ・た!

見事完全制覇! 見よ、クリアした証の景品の数々!

この220円分の景品にプラスしてクリアボーナスの100円分を足してもらい、計320円分の駄菓子と交換してもらえました。嬉しい! 嬉しい! トクした!

……と言いつつ、今年一番嬉しかったくらいテンション上がっちゃいました。別に儲けようとしてやってたワケじゃないですからね。いーんですよ、ホントにいーんですよ。

駄菓子屋ゲームよ永遠に

結果的に「ギャンブル」という方向性からはかなりズレちゃいましたが、ドキドキハラハラ、相当コーフンすることは出来ました。

やっぱり、10円玉とはいえ、どんどんお金が減っていくのを見ていると「うおーっ、どうにかしなきゃ! ヤバイ!」と脳内麻薬がジュバジュバ分泌されてきちゃいますね。

今考えると信じられないくらい単純なゲーム性ゆえに、妙に熱くなってしまう駄菓子屋ゲームたちですが、ここの館長さんは、

「駄菓子屋ゲームって文化的価値も認められていないようなものなので、今のウチに自分が保存しておかなければ、なくなっちゃうかもしれない!」

という使命感に突き動かされて、ここまで集めてしまったんだそうです(さらに自宅にもまだまだコレクションがあるんだとか)。いやあその熱意、頭が下がります。

大量の10円玉をいじっていたので指がものすごく金属臭くなっちゃいました。ウワッ臭ぇ!

●駄菓子屋ゲーム博物館
東京都板橋区宮本町17-8
【営業時間】土日祝日10:00〜19:00、平日14:00〜18:00
【休館日】火曜日(祝日の場合は営業)
https://dgm.hmc6.net/


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