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ひらめきの月曜日
 
積極的に煮崩そう


トロッとしてて、あったまりますなー。

先日、山梨土産にいただいた名物のほうとうを食べながら「煮崩れた野菜って、なぜこうもおいしいのか」と、しみじみ考えさせられた。

そうなのだ。ほうとうは、煮溶けたカボチャがスープに混じってトロトロになったところがバツグンにおいしく、数ある料理の中でも「野菜を崩してもオッケーですよ」とお許しの出ている貴重な存在なのである。

しかし、煮崩れた野菜がおいしいのは、なにもほうとうに限ったことではないと思う。ほとんどの煮物料理はレシピに「煮崩さないように」と注意事項があれこれ書かれたりするが、少しくらいなら、かえっておいしくなるのではないだろうか。

そう思って、いろいろと作ってみました。

高瀬 克子



つまりは和風ポタージュだ

ほうとうには、家にあった野菜をポンポン入れた。

鍋の中で煮込むうち、あっという間にその原型がなくなったのは、カボチャとジャガイモである。


生のままの麺を入れたことで、トロミも強力に。
珍しく大きな塊が残っていたジャガイモとカボチャ。溶け切ってない、こういう存在も嬉しい。

この2つは「煮崩れ界のドン」と呼んでも差し支えないほどに、全国的に今日もあっちこっちの鍋で崩壊し続けていることと思う。

世間では「また崩れやがって!」と罵られているのだろうが、私は崩れた彼らを見るたびに「おー、そうかそうか、我慢できなかったか」と嬉しくなってしまう。だって何だか必要以上に味が染みておいしそうじゃないか。

 

さっそく、わざと煮崩します

というわけで、今回はあえて「原型を留めないカボチャの煮物」を作ってみたい。実際にそういう状態のものを目の当たりにしたら、一体どう思うんだろうか。


まずはいつも通りの大きさに切ったら、
一方(左)は普通に煮てみました。そして残った分は、

グズグズになるまで煮込み続けて、と。
皮は今回あえて除去。もちろんこのまま食べておいしい。

出汁がほとんどなくなるまで煮続けたカボチャは、スプーンで簡単に潰せるくらいに柔らかい。

ちなみに「どうせ煮崩れてもいいんだ」という大らかな気持ちだったため、いつもなら少しは気にする火加減にも鷹揚になり、最初から最後までほぼ強火で通した。

おかげで、少しの時間で右下のこんもりした山が完成。


もちろん、どちらも全く同じ味付けです。

同じ味がすることが不思議だった。両方とも、もちろんおいしい。おいしいのだが、煮崩れたカボチャをちょっとだけ物足りなく感じてしまったのも確かだった。

ああ、少しでいいから歯応えが欲しい。これではまるで離乳食ではないか。いや、流動食か。こちとら歯はまだ頑丈なんだ。お願い、なんか噛ませて…。

そうか、これはいわば和風のマッシュカボチャなんだな。マッシュしたポテトやカボチャは単体で食べることなどほとんどなく、だいたい肉の付け合わせで登場することが多い。ということは、だ。


鶏ひき肉と片栗粉を練って、出汁で煮ただけの団子に、
崩れカボチャをドバーッと乗せて混ぜたら、

なにやら可愛らしい団子軍団が現れましたよ。

こういうことで間違ってはいないはずだ。では、さっそく味見といこうではないか。


とにかく色がキレイです。
中身とのコントラストも美しく、目に鮮やか。

ひとくち食べて思わずガッツポーズが出た。それほどまでにおいしい。鶏と一緒に食べることでカボチャの甘みが引き立ち、結果的に団子自体もおいしくなるという見事なまでの相乗効果。

「つまりは鶏をカボチャと一緒にグズグズになるまで煮れば同じことなのでは?」と今になってみれば思うが、まあいい。次からは是非そうしよう。

でもこの和風マッシュ南瓜、大量に作って冷凍しておけばかなり便利だと思う。オススメしたい。

よし、この調子でどんどん煮崩していこう。


お次はご存じ、ジャガイモを使ったコチラです。


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