一瞬の隙間風
というわけで大門社長よろしく興奮しながら食べはじめたのだが、
あたりまえの話なのだが、横からみた際のペラペラ感がものすごい。
先ほどまで『シンデレラ』に近かったはずの気分が、今はやや『マッチ売りの少女』寄りである。向こうからやってくる物悲しさをふりはらうために、急ぎ、あらたな贅沢を食卓に投入する必要がある。
高級家電作戦
その一手がこれだ!
なんと食卓に、憧れの薄型ハイビジョンテレビ(47型)の出現である。大画面テレビを前にしての食事、これは否応なしにテンションがあがる。
夢の高級家電を手にしたうえ、そこに流れているのは自分の映像。セレブである。黒豆の輝きも増そうというものだ。一気にテンションがあがり、こうなったらもうひとつの夢だったアレも買ってしまおうと決心する。それが、
ハイビジョン薄型テレビを前に、最新型マッサージ機に座るぼく。横には巨大なクリスマスケーキが。やばい、嬉しい。アナログな力を駆使し、食卓の上でぼくの夢がひとつずつ叶っていく。
「小説を書くというのは、人生が一度しかないことへの抵抗だと思います」 そう言った作家がいた。ぼくの行為もまた、夢の世界というもうひとつの生への旅なのかもしれない。