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とくべつ企画
 
勝手に食べ放題 ビッグボーイ編


 

デイリーポータルZ編集長の林さんから「勝手に食べ放題」への参加の打診をいただいた。すぐに頭の中でひらめいた、これまで暖めていた思い。即答でイエスだ。

カレーや焼肉の食べ放題というのはよく聞くが、私の大好きなハンバーグの食べ放題というのは聞いたことがない。待てよ、そうか、ならば自分で勝手に食べ放題にすればいいんだ!

盲点だった。そこに気付いていなかった。自ら見えない足枷をはめていただけだった。自分から自分に贈る、今年のクリスマスプレゼントはこれしかない。

小野法師丸



自由を手にした大人のたがが外れた行動

普通に好きなだけ注文して、ハンバーグを勝手に食べ放題。そういうルールだから、食べ放題をやっている店でなくてもハンバーグを出している店でさえあれば、どこでも食べ放題ができるわけだ。


名前からして頼もしい「ビッグボーイ」

いろいろなファミレスのメニューをネットで研究して、ここだと決めたのは「ビッグボーイ」というファミリーレストラン。ハンバーグをメインメニューに据えた展開の店だ。


やったるで!
メニューの表紙からしてこれでもかとハンバーグ

店頭のビッグボーイ人形と記念撮影をして、高まる気持ちを抑えながら案内された席へとスムーズにエントリー。すぐに注文したくなるのを我慢して、まずはじっくりメニューを吟味しよう。

ハンバーグを出すファミレスは数ある中、ビッグボーイを選んだのはメニューの豊富さだ。同じハンバーグレストランの雄である「びっくりドンキー」と最後まで競ってこちらを選んだ。なにせハンバーグのバリエーションが半端ではないのだ。


まずはファーストコンタクト
続いてセカンドインパクト

そしてサードシンフォニー
最後にフォースコンチェルト(キャプションは全部適当)

メニューを開いて8ページ目までが全てハンバーグのメニューなのだ。ハンバーグ、ハンバーグ、そしてハンバーグ。ハンバーグの波状攻撃。どれもホカホカテカテカと実においしそうではないか。

いつもならどれにしようか真剣に考えるところなのだが、何せ今日は食べ放題。カジュアルに選んでも好きな物を好きなだけ食べられるので、「あれにすればよかった」と後悔する心配がない。

そういうわけで、まずは第一陣として、最もベーシックな「手ごねハンバーグ」(200g、580円)、中にチーズが入った「ハム&ダブルチーズはさみ焼きハンバーグ」(150g、580円)、コロコロにんにくがトッピングされた「高山にんにくハンバーグ」(150g、680円)をオーダー。

店員に告げてみてわかったのは、ハンバーグをいっぺんに3個も注文するのは、ちょっと照れるということだ。


目つきも変になる

恥ずかしさに耐えて注文し終わったと思ったら、店員はオーダーの間違いがないか復唱し出すではないか。大丈夫、間違えてないから、ちゃんと考えて選んだから心配しないで、と言いたくなる。


信じれば夢は叶う
ドリーム第1弾「手ごねハンバーグ」

次鋒は「ハム&ダブルチーズはさみ焼きハンバーグ」
ダメを押すように「高山にんにくハンバーグ」

しばらくしてやってきた3つのハンバーグ。一緒に行った妻は別のメニューを一人前注文。それゆえ、3つのハンバーグをどこにどう置けばいいのか戸惑いを見せる店員。私も恥ずかしいので、「まん中当たりに並べてください」と、さも自分だけで食べるわけではないように返答をする。


ま、全部僕が食べるんですけどね
チーズハンバーグは中からもドワーッ

いざ食べ始めるハンバーグ。3つのハンバーグをつつきながら食べていると、小学生の給食の時に、「おかず→ごはん→汁物」を順番に食べるという「三角食べ」というのを習ったのを思い出した。

今日はハンバーグの三角食べ。「ハンバーグ→ハンバーグ→ハンバーグ」という永久にハンバーグが続く三角。ダイヤモンドのようなトライアングルだ。

どれもおいしい。1種類のハンバーグだけを食べ続けていると少々飽きを感じることもあるが、今回は三種類あるので飽きることもない。こっちはどうかな、どれどれ、これもいいねと、ハンバーグの喜びは無限に輪廻する。


夢が消えてもまた夢が続く

まあ普通に3つ食べ終わったところで、次のハンバーグを検討する。どれもおいしかったのだが、変化を求める意味でも、続いては珍しいハンバーグを食べてみたい。


第4弾「お好み焼風ハンバーグ」

「お好み焼風ハンバーグ」(200g、780円)である。

おかしいじゃないか。ハンバーグはお好み焼ではないし、お好み焼はハンバーグではない。両者が一致しないままメニューを見ているうちに気がついた。そう、両方とも鉄板焼き料理ではないか。2人は仲間なんだ。

ならば互いの違いに目を向けるより、一体化する方が建設的だ。そう、お好み焼もハンバーグの一種と言えるのではないだろうか。(あくまでハンバーグ優位)。


謎の融合物
周囲も豊富だが、メインはあくまでハンバーグ

そしてやってきた、お好み焼風ハンバーグ。キャベツや紅ショウガ、かつおぶしといったお好み焼的アイテムがずらっとハンバーグを取り囲む。まるでハンバーグという天守閣を守っているかのようにも見える。

ソースもお好み焼に使われるようなものがかかっているので、食べてもかなりのお好み焼感。


あつあつなのは鉄板料理の醍醐味
ハンバーグとは何かを考えながら

ハンバーグとお好み焼とがパラレルに存在するような味わい。これは結構不思議な食べ物だ。自分の中のハンバーグ感を揺るがせられたようにも思える。一体ハンバーグとは何なのか。

そんなこともチラッとは思ったが、まああまり深く考えず次に行こう。さすがにずいぶん食べたので、少しは体のことも考えた方がいいだろう。


トータルバランスを考えているのかいないのか

こんなに食べてて今さらヘルシーもなにもないのだが、せめてもの気遣いとして、野菜やキノコをたっぷり使った「エリンギと完熟トマトの煮込みハンバーグ」(150g、780円)をチョイス。

注文した店員の顔に「え、またハンバーグ?」という表情が見えた気がするのは気のせいだろうか。「そこはデザート注文するとこだろ」と言いたげのようにも見えた。まさかまさかのバーグリバイバルである。


みんな違ってみんないい
心に笑顔の花が咲く

念のために書き添えておくが、同行の妻が味見のためにちょこっと手を伸ばしてくるのを拒否することはしなかったが、それ以外全てのハンバーグを食べたのは自分である。

ハンバーグ食べ放題は、好きなだけハンバーグを食べていいということであって、大食い大会ではない。そういうことはわかって食べている。全く無理はしていない。

自分でも自分のポテンシャルに驚いている。ハンバーグ食べ放題というルールが、私の能力を拡張したのだと思う。

トマトの酸味が効いていて、これまでとはまた違った味わいの煮込みハンバーグ。完食したところで、ここまで5皿のハンバーグを食べてきたことになる。さて、そろそろにしようか。


原点回帰のハンバーグ

そう思って注文したのが、「手ごねハンバーグ」(200g、580円)。デジャブではない。

最初に注文したものと同じものをもう一度頼んだのだ。写真を使い回してもう一回食べたことにしていないかといぶかる方もいるかもしれないが、写真をよく見ていただきたい。はじめに注文したのとは焦げ目が違う。ハンバーグの焦げ目というのは、人間の指紋と同じようなものだ。別のハンバーグであることが確認できるだろう。

いろいろ食べて、やはり一番シンプルなハンバーグに戻ってきた。礼に始まり礼に終わる、と言ってもいい。「やっぱりアイスはバニラが一番おいしい」という話ともよく似ている。


写真を並べると、
一瞬で食べ終わっているように見える

とは言え、さすがにこのハンバーグを注文するときには若干の心配を感じたのも確か。それは、食べ切れるかどうかという心配ではなく、自分はバカなんじゃないかという心配だ。

腹具合に心配はなかったので、あっさりと完食。さすがに満足した。これでファイナルハンバーグだ。決して無理することなく、心も体も満たされた。

食べたもの(食べた順に) 金額(税込み)
手ごねハンバーグ 609円
ハム&ダブルチーズはさみ焼きハンバーグ 714円
高山にんにくハンバーグ 609円
お好み焼風ハンバーグ 819円
エリンギと完熟トマトの煮込みハンバーグ 819円
手ごねハンバーグ 609円

合計

4,179円

思った以上に食べることができて満足。店名に恥じることなく、ビッグボーイになることができたのではないだろうか。そして、自由の素晴らしさとやばさを同時に実感。

金額は4000円強。満喫したが、気軽に楽しめる金額ではない。どこか2000円くらいでハンバーグ食べ放題やってもらえないかな、と思う。


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