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土曜ワイド工場
 
若者はヘッドフォンで何を聴いてるの?


「原宿とかで、ヘッドフォンして歩いてる、お洒落な女の子とか、いるじゃない。
あれ、何を聴いてるんだろうね? さっぱり想像がつかない」
てなことを、先日、某音楽関係者が話していた。
そう言われれば、気になる。あのお洒落なヤングたちは、一体何を聴いてるんだろ?
じゃあ直にきいてみよう、ということで、原宿ラフォーレ横の交差点、八千代銀行の前に立って、ヘッドフォン女子男子に突撃インタビューしてみることにした。
これが……想像以上に、大変だった。いやほんと(だって耳をふさいでる人に、話をきこうってんですよ?)。

大塚 幸代



昔、90年代までは、お洋服と「聴く音楽」というのが、結びついていた。
ロックの格好の人はロック。こざっぱりした人はお洒落音楽。コンサバな方は王道J-POP。
でも、いつのころからか、ファッションと聴く音楽というのは、あんまし関係がなくなった。
音楽ジャンルが多様化したというのもあるだろうし、音楽とライフスタイルをリンクする必要性がなくなった、というのもあるし…でも真相は不明。とにかく、カルチャー事情が変わってしまったのだ。
でもたくさんの人が、iPodをはじめとした、携帯プレーヤーを耳に突っ込んで歩いている。一体何を聴いているんだろう。エグザイル? グリーン? 嵐?
知るには、突撃インタビューしかない。
あー、街頭突撃インタビューとか、ものすごく苦手なんですけど…。

 

原宿の闘い

せっかくなので、いちおう「東京のトレンド発信の中心地」である、原宿のラフォーレ横交差点に、立ってみた。

1月某日、晴れてる日の、むっちゃ寒い昼の1時。
休日だと遠方からの観光客の皆さんが混ざってしまうと思ったので、「原宿を普段使いしてます」的な若者狙いで、平日にした。
平日でも、さすが原宿。人通りは多い。
とりあえず、八千代銀行の前に、ノートを持って、ぼやーっと立ってみた。


声かけポイント、八千代銀行前。雑誌のストリートスナップ取材には、皆、超にこやか…。

周囲にも立ってる人たちがいた。
カットモデルを探す美容師さん、ファッションチェックの取材をする雑誌社の人とカメラマン、夜の蝶、もしくはタレントさんをスカウトする兄ちゃんたち。
スカウトマンは渋谷と違って、原宿風のファッションで、いわゆる渋原MIX(渋谷と原宿のファッションを混ぜた服装)。なるほど、これなら表参道を歩くギャルも警戒しない。ギャル男くんだったら、浮いてしまうだろう。
スカウトくん達が、ばんばん「とりあえず若い子」「とりあえず可愛い子」に声をかけまくっている横で、私は硬直していた。ど、どっから訊けばいいんだ?
人の流れを見る。
目標は、「今時の原宿風なファッションで、ヘッドフォンしてて、若くてカワイイ男子女子」。
しかし、ヘッドフォンしてる子たちの、足のはやいこと、はやいこと。
信号待ちしている間に、声をかけてみる。


声かけチャンスは、表参道ヒルズ側に渡る前の、信号待ちの瞬間。

「あのう、いま、ネットの企画で…」
ヤングはチラリとこちらを見て、手をふって、目をふせた。
アッサリ断られた。がーん。
ノートに「ヘッドフォンで何を聴いてるのか調査やってます!」と大きく書いて、ヘッドフォンをはずさなくても、企画意図が伝わるように、見せながら、声をかけてみる。
1人、2人、3人、4人…。
誰も立ち止まってくれない。
ああ、そういえば…。確かに私も、10代からずーーーっとヘッドフォンして移動しているけども、そのお陰で、キャッチセールスにも何にも合わずに済んでいる。そもそも声をかけられないし、かけられたところで、「聴こえないしー」みたいな顔でさっと逃げてたし。
ごめんよ勧誘の人たち! 悪くない勧誘もあっただろうに、本当にごめんね勧誘の人たち! と、よくわからない反省をしながら、しつこく声をかけること5人目…。
「曲ですか? これっすよ」
B-BOY風味の、背の高い、イケメンの男の子が、iPodの表示を見せてくれた。
なんていい子なんだ! 

 

1人目(20歳・男子)

「I still love H.E.R.featuring KANYE WEST」TERIYAKI BOYZ

TERIYAKI BOYZは、RIP SLYMEのILMARI、m-floのVERBAL等から構成された5人組ヒップホップグループ。ファッションブランド「A BATHING APE」のプロデューサー、NIGOもDJとして参加している。「I still love H.E.R.」は米国の著名アーティスト、カニエ・ウェストを迎え作られた07年リリースのシングル。09年のアルバム「SERIOUS JAPANESE」「DELICIOUS JAPANESE」にも収録されている。

 

ということは、去年リリースのアルバムを聴いていたのだろうか、若人よ。ナウだね!
しかし原宿を歩く子が、本当に裏原宿系な音楽を聴いていたのでビックリした。
TERIYAKI BOYZのファンはたぶん全員いい人、と何となく思いながら、調査続行。
次に足を止めてくれたのは、ポニーテールの女子だった。

 

2人目(20歳・女子)

「後悔」plenty

昨年より音楽雑誌が大絶賛しているらしいニューカマー、プレンティ。男性、3ピースバンド。ナイーブ歌詞と透明な歌声、不思議な展開をみせる心地よいギターサウンドが特徴(試聴した感じでは)。

 

女の子は「友達のバンドなんです」と言った。「プレンティ」という綴りも、自ら書いてくれた。plenty、今年大ブレイクしたら嬉しいかもしれない。いや、きっと大ブレイクするに違いない。こんないい子の友達なんだもの。
調子づいて、断られても、断られても、どんどん声をかけていくことにした。

 

3人目(21歳・女子)

SIMPLE PLAN - Your Love Is A Lie

フランス系カナダ人5人による、メガヒット・ポップパンクバンド。 Your Love Is A Lieは08年2月12日に発売された3rdアルバム『シンプル・プラン3 (原題: Simple Plan)』からの2ndシングル曲。

 

すごく有名なバンドだけど、長く活動しているバンドなので、21歳女子が聴いてるとは意外であった。何だろう、ロックフェスとかに出ているバンドなので、それで知ったのか、それとも年上のボーイフレンドに教えてもらったのか…。女子が聴いてる意外な音楽って、つい深読みしてしまう。

3人きけたぞ、目指せ5人(目標低)と思いながら立っていたら、外人観光客(年配白人女性2人組)に、道をきかれた。ガイドブックを指してTakeshita-doriはどこだ、と。「タケシタドーリは、ティスストリート、ゴーストレート、アンド、ターンレフト」と、ざっくり説明。サンキューと笑顔で去って行った。果たしてたどり着けたんだろうか。

そのあとすぐ、旗持った中国人観光客の団体が通った。うーん、外人多い。

 

4人目(23歳・女子)

「HOME」2BACKKA+BENNIE K

シンガーのYUKIとラッパーのCICOの2人からなるユニット、ベニー・Kと、2BACKKA(ツーバッカ)というヒップホップユニットとのコラボ作品。07年にリリースされた曲。

 

お、やっとオリコン上位に入っている、比較的たくさんの方が知っているユニットが登場。いいですよね、ベニーK!

20代もいいけれど、いわゆるJK(女子高生)に声をかけたくて、周囲を見回した。でも、彼女らは単体ではなくコロニーで動いているので、誰もヘッドフォンをしていないのであった。そりゃそうか。原宿あたりでは、おしゃべりしながら歩きたいよね。


ラフォーレ前もヘッドフォンしてる人がいないか期待していたんだけど、待ち合わせ場所というより、喫煙スポットになっていた…。煙くさかった。

 

5人目(22歳・男子)

GOOD 4 NOTHINGLost Sometimes

欧米や韓国での評価も高い、関西出身の4人組ポップパンクバンド。Lost Sometimesは08年リリースのアルバム、Swallowing Aliensに収録されている。

 

またもやポップパンク!(ポップパンクって何なのか、良く分かっておりませんが)。そしてプレンティと同じく、インディーズバンド! やはり原宿の男子女子は、独自な感性をお持ちだ。

相変わらず立っていると、カメラの付いたノートパソコンを持って、ストリートコンピューティングしてる青年に出くわした。「世の中、こんなに個人情報個人情報言ってるけれど、こんな風に簡単に撮られて世界配信ちゃうんだな、ちょっとしたテロだな」と思った。あと単に「歩きながらパソコンするの、変じゃないのか? せめて座れば?」とも思った。

 

6人目(23歳・男子)

「その男、東京につき」般若

般若はお笑い芸人ではなく、ヒップホップMCで、日本のヒップホップシーンを支える一人。90年代半ばから活動し、鋭く攻撃的なリリック(歌詞)が特徴。「その男、東京につき」は06年リリースのアルバム「内部告発」に収録されている。

 

般若を聴くような男子が足を止めてくれるとは、嬉しい限り。ヒップホップを好きな人は、いい人ばっかりなんじゃないだろうか。わかんないけど。

ふと見ると、横断歩道で、バスケットボールをくるくる回して、スゴ技をみせるというパフォーマンスを、小さなカメラでゲリラ撮影していた。それを見た男子高生が「スゲースゲー」と騒いでた。
いろんなことが起こり過ぎ……原宿は自由だ。

 

7人目(29歳・女子)

HELLOユニコーン勤労ロードショー 〜LIVE IN JAPAN〜

昨年、突如復活した伝説のバンド、ユニコーン。HELLOはアルバム09年2月発売の『シャンブル』収録曲だが、彼女が聴いていたのは09年12月発売のライブアルバム「勤労ロードショー 〜LIVE IN JAPAN〜」の音源。

 

アラフォーの絶大な支持を受けているバンドだが、20代女性も聴いている。いいバンドですから。ファンもいい方ばっかりだと思います。

 

8人目(25歳・男子)

DJ KAORI'S JMIX III

美貌とスキルを兼ね備えるニューヨーク在住のDJ、DJ KAORI。洋邦アーティストのリミックス・コンピレーションアルバムを多数発表。聴きやすさが人気。このJMIX IIIは、昨年11月に発売された最新作で、「安室奈美恵 / WHAT A FEELING」「BIGBANG / ガラガラ GO!!」「TOKYO No.1 SOUL SET + HALCALI / 今夜はブギー・バック」等を含む全27トラック。


今時のDJMIX。これは聴いてる人が多そうなCDです。

日が傾いて、寒くなって来ると、人の足が速くなって、全然止まってくれなくなった。
結局、3時間で8人しかフック出来なかった…。

結論:いろいろ、だけど個性的…かな?

8人しか聴けなかったので、正直、方向性などは分析など出来ないのだが、
(しいて言えば、リリースが最近のものを聴く傾向があるってことと、
インディーズバンドに抵抗がないってこと位か)、
なんかこう、気が済んだ。
亀の甲羅をはぐように、めりめりめりって人のヘッドフォンをはがしてしまって、すみませんでした。

……読者様、あなたは街で、何を聴いて歩いてますか?

粗品として差し上げた、デイリーポータルZグッズ(初期型、レアもの)。お優しい8人のヤングよ、誰かここ見てくれてますかー!?

 
 

 

 
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