スティックポテトを注文するのは茨の道

その店は駅構内にあり、出勤時いつもこのメニューが気に かかっていた。やっと今回出勤ついでではなく芋を水に つけるためにこの店にやってきた。

食事時を過ぎていたため店の中に人影はまばら、好きな所に座って良いと言われたので隅に陣取りメニューを開く。

表にはスティックポテトと表記されていたが中のメニューでは
サツマイモの飴だき。これは同じメニューなんだろうか。

お姉さん「ご注文はどうされますか？」

僕「表に出ていたスティックポテトっての有りますか？」

お姉さん「あぁ、サツマイモの飴だきですね。」

僕「じゃあ、それ下さい。」

お姉さん「分かりました、ではどっちにされますか？」

何が！？何をどっちだ！？

僕「あ、えーと、サツマイモの飴だきをお願いします」

お姉さん「あぁ、ストレートとプレーンがありますけど」

ストレートとプレーンって。なんだ、そのどっちも基本っぽい名前は！
そんな事はメニューに書いていないし名前で内容が分からない。

僕「えー、ストレートとプレーンってどう違うんですか？」

お姉さん「え？ストレート？」

なんだ、その初めて聞いたようなリアクションは。

お姉さん「社長！ストレートとプレーンは何が違うんですか。」

知らないのか。と、奥の方から社長の声がする。

社長「ストレートは熱いままで、プレーンは冷ましたやつ！」

社長、それホットとアイスじゃ無いですか！？なんでストレートとプレーンにしちゃったの！？

ともあれストレートとプレーンの謎は解けた。「熱々を水につけて召し上がれ！」と表にあったのでおそらくストレートが正解だろう。

僕「じゃあストレートをお願いします」

お姉さん「はい、サツマイモの飴だきストレートで」

何とか注文することが出来たが、本当に水につけるスティックポテトを食べられるんだろうか、不安がよぎる。

水、付いてきた

そうこうしているうちに店員さんが料理を持ってきてくれた。その手には平皿と大きな丼が。

テッカテカに輝く大学芋と一緒に持ってこられた丼にはなみなみと水が張られ、氷が一面に浮いている。おぉ、水ってこんなに大がかりに来るのか。分かっちゃいるけど使い方を聞いてみよう。

僕「えぇっ！？これはなんですか？」

お姉さん「これは水」

オーケー。オーケーそれは分かってる。分かってるけど予想外。もう一歩踏み込んでみようか。

僕「これは何に使うんですか？」

お姉さん「この芋をつけて食べるんですよ。私はそのまま食べる けどね」

あぁ水、全否定。このお姉さん強いなー。

僕「そうなんですね。本場ではこういう食べ方するのが普通なんですか？」

お姉さん「知りません。熱いからつけてます」

熱いから！？そんな理由で水につけて食べるのか。合理的というか短絡的というか、なかなか豪快な感じですな。

普通に食べて美味い

まずは水につけずに普通に食べてみる。

飴が溶けるほどの熱さの芋を口に運び、熱さを我慢しながら噛みしめる。すると芋のホクホクとした食感と共に周りの飴が口の中でグニョっと伸びてスッと溶ける。

芋と飴の二つの甘さが口の中で混ざり合いながら広がっていく それに芋の風味が加わり凄く旨い。多少熱いがそれも良い。これで良いじゃないかと思うも、次は水につけて食べてみる。

水につけたら大変身

芋を箸で取り、水につける。すでに出来上がった料理を水に つける。そういうシステムだと分かっていても妙な気分だ。 それをそのまま食べる。

パリッ。一口目の食感から全然違う。芋の周りの飴が冷やされて、完全に固まった。そのためパリパリとした食感となり心地良い。更に飴の甘みが弱く感じられ逆に芋の甘み、風味を強く感じる。

水につけた事によって味が薄まるといったことはなく、食感や味が劇的に変わった。水なのに。

今まで完全に外していた水につけるという選択肢。これは案外見落としていただけで良い組み合わせがあるんじゃないか。 他にも色々と試してみた。

試したのはこの六種類

家にあったものやら水をつけるのに適しているだろうと思って買ってきた物やら6種類。もう言っちゃうが特にめざましい結果が出たものはなかった。

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※相性の☆は五段階評価です。