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はっけんの水曜日
 
“地球てぶくろハンコ”で何でも地球にしてしまえ


これでもハンコである。

「地球」をテーマに手芸作品を作って発表し合いませんか、というお誘いをいただいた。天文好きの自分、喜んで参加表明をしました。

文具や雑貨でも、地球モチーフのものには心が躍る。だが自分で作品を作るとなると…手法は、素材は、“地球”の解釈の範囲は、などといろいろ悩ましい。

そういうときは、得意な分野から広げるといいのでは。そうだ、「ハンコ」で行こう。しかし、せっかくならこういう試みをしたい。

乙幡 啓子



半径が1ならその円周は 2π

その発表の場というのは、「おだいクラフト」。主幹のTokkyu2222さんによれば、「お題に沿って手工芸作品を作ったら面白いのでは」という、仲間とのTwitterでのやり取りから生まれたサイトだそうだ。その栄えある第1回目の募集に、私もお呼ばれしたのだった。

参考資料。これが今回のお題。

ハンコで行く、と決めたけれどもいったいどうハンコにするか。自転の様子をコマ送りにして…ローラーにとりつけて…とかいろいろ考えたが、せっかくなのでもうちょい変則的な方法で遊んでみたいと思う。人生には遊びが大事だ。といいつつ毎日遊んでばかり。

グランブルーな軍手を購入。海ってことですな。
ほら、地球。

そう、両手で包んで「地球」。

手自体で地球を表しつつ、手のひらに世界地図ハンコを仕込み、何かをくるめば、地図が映しとられたそれはもう「地球」なのだ。エブリシングズ ゴナ 地球なのだ。

上右のように隙間なく包みたく、紙をくしゃくしゃに丸めて型をとったところ、内側の球は直径約6.5cmと見積もられた。

問題は世界地図の下絵だ。この6.5cmの球に見合うよう、舟形地図を出力して、実際に球にしてみないとわからない。思いがけず「π」を使った計算がここで出てきた。高校数学で赤点とってた私に告ぐ、それ実生活で役に立ってるからちゃんと勉強しとけ。


こういう世界地図を出力するのに円周が知りたかったのだ。
こういう複雑な分割になる。

 

地図投影法の難しさを体感

そして、両手で包むため、両方の手のひらに世界を2分割するという面倒な作業がある。

ふつうに「なむー」みたいな手の合わせ方(左右対称ってことだな)ならまだいいが、すっぽりと包むにはそれぞれ手を縦と横に互い違いにする必要がある。この辺、説明も面倒だが、つまり片方の半球は横倒しに手袋に付ける、ということだ。


地図を2つに分けたら、平面にしてトレース。地図の裂け目を考慮しながら。
薄いゴム版に絵を移した。色も緑でちょうどいい。

せっかくいい色のゴム板が手に入って、気分よく彫り進めていた、が、しかし。

ゴム版を初めて彫ったのだが、薄いとはいえ彫ってもけっこうな硬さが残り、曲面にインクを載せるには都合が悪い、とわかったのは7大陸全部彫り終えたあとだった。

この辺、いろいろと刷りテストしてみたりなんだりしているのだが、試行錯誤にまぎれて写真を撮るのを忘れました。


とにかく、よくしならないしインクの載りも芳しくないのだ。全面変更…。
結局、消しゴムハンコの中でも厚みの少ないもので再度全部彫り。チーズ彫るみたいに楽。

うーん、本当にこれで大丈夫だろうか。おだいクラフトの出展期限も近づいてきているし、もう印面についてはこれでよしとして、星にお願いするしかない。

ならせめて、ガワも何とかしておこう。


内側のハンコと同様の図面を、外側に大きめにトレース。
フェルト原毛を植毛…植林か。

そしてついに完成。そこらじゅうを地球にしてみよう。といってもインク付いていい範囲のことだけど。条件付き惑星。

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