32倍版「きのこの山」メイキング
前ページの動画をご覧いただけただろうか。うっかり話を飛躍させてしまった。
パッケージの中には、でかい「きのこの山」らしきものが一つ。それは確かに100%きのこの山なのだ。時間を元に戻して話をしよう。
まずは軸部分について解説しよう。クラッカーである軸部分はジップロックに入れて粉々に粉砕。しばらくの間、手で揉んだり木槌で叩いたりして、「軸パウダー」が完成。
そこにまとまりをよくするため、少量の水を加える。
この過程で驚いたのは、ものすごくいいにおいが漂ってくること。意外な形でクラッカー部分のおいしさの実力を改めて感じ取った次第だ。
さて、軸パウダーに少しだけ水を混ぜてよく練り、全てを一つの軸の形に成形。クラッカーのカリッとした感じはなくなったが、ごく少量ずつ加えて必要最低限におさえたので、カントリーマアム的な感触になったと言えば伝わるだろうか。
続いては傘の部分。チョコのみを集めたものは、ミニケーキ用のシリコン型に入れて湯煎する方法を採った。
ボウルで湯煎して溶かしたものを型に流し込む方法だと、どうしてもボウルにチョコが残ってしまってロスが出る。できるだけ完全な32倍体を作りたいというこだわり。どうでもいいところに知恵を絞るのはなぜだか楽しい。
熱が伝わりにくい中央部分にはドライヤーを当てたことで、全体がきれいに溶けきった。ここからは、ダイジェストで32倍版「きのこの山」の完成までを追ってみよう。
というわけで、32倍版の「きのこの山」が誕生したわけだ。1箱分がまとまるとどれくらいの大きさになるか読めなかったのだが、手にしてみるとさすがに大きい。
でかくなったきのこを見て「これは大きい!」と興奮していた妻。しかし、私の顔と並べた写真を撮ってもらったところ、「なんだか大きく見えなくなったわ…」とつぶやいた。
画面で確認してみる。確かにそうだ。私の顔が大きいばっかりに、32倍体の大きさが伝わらなくなっている。
それでも普通のものと比べると、大きさがわかっていただけると思う。1箱分の「きのこの山」をまとめると、こういうことになるわけだ。
食べてみたところ、材料は100%「きのこの山」なので、味は確かに「きのこの山」で間違いない。持ち味である軸のカリッとした食感こそないが、しっとりした軸もこれはこれでありの感じがした。
かわいらしい「きのこの山」だが、でかくしたら楽しさが増えた。「枕草子」に「ちいさきものはみなうつくし」とある対に、「でかきものはみなたのし」があってもいい。
買い物に出かけた妻に、「予備用も含めて『きのこの山』を買ってきて」と頼んだところ、上の写真のようなことに。いくらなんでも買い過ぎじゃないだろうか。