亀の子束子の作り方
濱田さんからたわしの話を聞いているだけでも知らないことだらけで十分おもしろいが、せっかくなので工場内を見学させていただいた。といっても、ここの本社工場は検品と包装だけでたわし自体はもう作っていない。しかし、一通りの道具はまだ残してあり、ここで見学用に作ることも可能だというので、製造工程を見せてもらった。
亀の子束子の形はだれでもイメージできるけれど、その作り方はなかなか想像できないと思う。これがおもしろかったのだ。
なるほど、たわし作りは本当に全部手作業だ。スリランカの職人さん、ありがとう。
針金に挟む繊維の量やバランス、針金を巻く力加減、丸くする曲げ具合など、簡単そうに見えるけれど、どれをとってもきちんとやるのは難しそうである。
でもだ。私でもやってやれないこともないような気もしないでもないこともない。というか、やりたい。
もちろんやってみた
けっこうやれちゃうんじゃないかなと思って挑ませていただいたのだが、読んでいる方の予想を大きく下回るクオリティとなりました。
あー、無理無理。
前掛けをかけた時は、海のむこうのスリランカに渡って、母国に送る亀の子束子を作り続ける生活もいいかなと妄想したのだが、私が社長だったらこんな不器用な人は雇わない。
たわしを握りながら考える
続けて検品と包装を見学させていただいた。「他品の三倍もつ」と広告するだけあって、ヤシの繊維のいい部分だけを使ってスリランカでつくられたたわしは、さらに本社で多くの検査項目をクリアして、初めて亀の子束子西尾商店の商品となる。
正直、100円ショップに慣れた金銭感覚の身には高く感じてしまう値段だが、本当に三倍もつなら三倍の値段でも計算はあっているなと思ったが、そういう話ではないですね。
105円のたわしと294円のたわし、どっちを選ぶかは買う側の使い道と考え方、懐具合によると思うけど、何も知らずに選ぶよりは、いろいろ知った上で選ぶほうが買い物は楽しい。
たわしは握ると気持ちいい
とりあえず私も浴用たわしのほかに、普通の亀の子束子を一つ買ってみたのだが、あの作業工程をみてしまうと、なんだか使うのがもったいなくて、とりあえず今は手に持ってニギニギしている。たぶん三倍気持ちいい。
こういう取材をすると、テレビの通販番組以上につい財布の紐が緩んでいろいろ買ってしまうので、取材先が高い壺をつくる陶芸家とか西陣織の職人とかじゃなくてよかったなと思った。