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フェティッシュの火曜日
 
突撃!ブログの晩ごはん


「こんばんはー、ブログの晩御飯でーす!」

個人のブログで、自分が作ったうまそうな料理を載せている人がいるが、ああいう他人の家庭料理を食べてみたいと思った。そのブログのレシピを再現したいという話ではなく、本人のつくったご飯を食べさせてほしいという話である。

プロの料理人によるブログだったら、その店にいって注文すればいいのだが、素人のブログだとそうはいかない。

そのブログをやっている方とどうにか友達になるというのが正攻法だとは思うのだがそれは面倒くさいので、真っ向から「ブログのご飯がおいしそうなので、食べさせてください!」とお願いしてみたら、結構食べられるのではないだろうか。

玉置 豊



このブログの晩ごはんが食べたい

おいしそうな料理ブログは多々あるが、まず私が狙っているのは、「あぶかも」というブログの晩ごはんである。

このブログは、私が自分のサイトのアクセスログを見ていて、サメの捌き方を書いたページにこのブログからリンクされていたことで知ったのだが、とにかく料理がおいしそうなのである。

文章を読む限りは普通の主婦っぽいのだが、盛り付けや写真の腕が只者ではないように思える。


ブログより写真を一部転載。きれい、そしてうまそう。

リンクをしていただいたときにちょこっとコメントをしたのだが、それもだいぶ前の話だから覚えていないかもしれない。メールアドレスもわからないし、さてどうやって連絡をしたらいいだろう。コメント欄があるけれど、他の人に見られちゃうのは恥ずかしい。

ブログを見ていると、ご主人との趣味も合いそうな気がする。どうやってこの思いを伝えたらいいだろうかという、通学途中に駅で見かけた他校の生徒に恋する高校生みたいな気分で数カ月悶々と過ごしたのだが、実際の高校時代は自転車通学でそういう体験がなかったので、とても新鮮な気分だった。

ようやくブログの「非公開コメント」という機能を使えばいいということに気がついて、ドキドキしながら文章を作成。

「あなたの作ったご飯が食べたい」という、熱い思いを込めて書いたまじめなネット婚活みたいなコメントは、「内容が多すぎます」という事務的なエラーではじかれた。就職活動で送った選考用書類が、重すぎて切手不足で帰ってきた友達を思い出した。はい、やりなおし。

 

ヨネスケの力を借りよう

どうにか短くしたコメントを送信後、すぐにメールで返事が返ってきた。ただご飯を食わせろというだけだと、めんどうくさいだけの人なので、デイリーポータルZというサイトの取材ですという話も書いておいたのだが、たまたま数日前にライターの小野法師丸さんがトップページにあるリンクのコーナーで、「あぶかも」ブログを紹介していたので、話はスムーズに進んだ。

さて実際に行く日が決まると、なんだか急に恥ずかしくなってきた。普段の生活で、だれかの紹介もなしに知らない人のところにご飯を食べに行くなんていうことはないじゃないですか。

そう考えると、テレビの仕事とはいえ、「突撃!隣の晩ごはん」というコーナーを、番組こそ変われどやり続けているヨネスケ(リスペクトの意味を込めて敬称略)はすごいよなということで、取材日当日、ヨネスケの髪型にすることにした。


人生で初めて芸能人の写真を持って床屋にきました。それがまさかヨネスケになるとは。

床屋に入り、真顔で「こういう髪型にしてください」といって、ネットで集めたヨネスケのプリントアウトを渡す。必要以上のことは話さない。

さすがはプロの理容師、写真を見ても笑ったりせず、「ええと、左のサイドバックですね」と、サッカー用語みたいなことを言われた。そうか、ヨネスケは左のサイドバックだったのか。でも私は分け目的な問題で、右サイドバックにしかならないらしい。


これは床屋にいく前。気分は日本テレビアナウンサー募集の履歴書に貼る写真。

特に会話もなくカットは進んでいったのだが、最後の最後で、耳元で「…なにかあるんですか?」と小さな声でささやかれて、こっちが吹き出してしまった。何もなくてヨネスケっていうことはさすがにないです。

ヘアスプレーで固められたサイドバック。手持ちの服の中から選んだそれっぽい衣装。マジックで書きこんだシャモジ。もう記号としては完ぺきヨネスケである。

しかし、鏡に映ったその姿は、ヨネスケというよりも、授業参観に行くお父さんにしかみえなかった。


あるいは会費8000円のお見合いパーティーに参加して、収穫なしだった人みたいな。

普段、ヨネスケに似ていなくて残念と思うことはまずないのだが、この時ばかりは本当に残念に思った。


テレビ風に加工しても、似ていないものは似ていない。

自分の中でどういう設定にするべきか落とし所がわからなくなってきたが、時間もないので、このままいくことにした。


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