羽ばたけ小松菜、いろんな料理に
おひたしや炒め物といったあたりが定番料理である小松菜。そんな小松菜をさまざまにアレンジしていた江戸川区の勢いを得て、コマツナンランチを作ってみた。
予想通りというべきか、全体的に緑がかったメニューとなった。まずは主食となるうどんから紹介しよう。
薄緑がきれいなうどんは、江戸川区内で購入したもの。麺に小松菜が練り込んであるそうで、小松菜の風味こそそれほど感じられないものの、なんとなく体によさそうな雰囲気が漂う。
衝撃的な緑色になったつけ汁は、さも青くさそうに見えるだろうが、実際はそんなことはない。「青寄せ」という和食で用いられる技法を使ったものだ。
緑色の葉物野菜から色素だけを取り出す「青寄せ」。こんな手順で作る。
…という、結構な手間をかけて作った青寄せ。料亭などではこれを味噌などと混ぜ、料理の色づけに使うらしい。食材から色のみを抽出するというのはずいぶん風流な技法だと思う。
青寄せの写真では小松菜がペースト状になっただけのようにも見えそうだが、手に取るとそうではないことがわかる。指でつまんでこすると、絵の具のようにゆっくりと溶けていくのだ。
確かに「色素を抽出したもの」という感じ。これだけでなめてみてもそれほど青くささはない。
今回は白だしと水と合わせて、うどんの付け汁としてみた。いわゆる「青汁」を飲んだことのある方にはあの衝撃的な味を想起させるかもしれないが、決してそんなことはない。草っぽさはほのかに香る程度。緑の濃さと味とのギャップに、逆に拍子抜けするくらいだ。
もう一つ、この青寄せを使って作ったのが「青寄せ目玉焼き」。卵白に青寄せを混ぜてフライパンに流したところに、分けてあった卵黄を乗せて焼いたものだ。
結果、緑と黄色のコントラストがなんとも言えないものが完成。こう見えても味は普通の目玉焼きとほとんど変わらないから、食べたときには不思議な感覚になった。
目玉焼きの横に添えてあるのは、青寄せ作りで残った葉っぱの太い部分を使った漬物。こちらは定番のおいしさ。
考えどころだったのは、緑汁を搾った残りのもの。純粋に青寄せを作るときには捨ててしまうものかもしれないが、それはもったいないな…と見ていて思いついたのは餃子の具。
そう言えば餃子って、キャベツやニラをこんな感じにして作ったはず。というわけで、肉や薬味野菜と混ぜて餃子の餡としてみた。
小松菜をすり鉢でよくすったためか、具の舌触りがなめらかな餃子ができた。こちらは青寄せより青くささがやや感じられるものとなったが、それはそれで青菜を食べてるなという感じにつながって、納得できる範囲におさまるおいしさと言えた。
飲み物は小松菜発泡酒、おやつは小松菜玄米せんべいと、江戸川区巡りで買ってきた小松菜食品で揃えてみた。それぞれ主張のある小松菜の味がするわけではないが、そこがまた俺が俺がと前に出てこない、小松菜の奥ゆかしさだとも思う。
東京という都会的なイメージのある街とのギャップが意外だった小松菜。アレンジした食品が多々あるのは、地元の力の入れようの強さと、小松菜自身がもつ食材としての応用力の表れなのだと思う。
写真は青寄せ目玉焼きを食べたときの一枚。見た目の違和感と味の普通さに、なんだか笑ったというのが食べた自分の反応でした。