果報者がやってきた
あっぷ、あっぷ、と興奮していると、喫煙所を利用する人が現れた。話を聞くと、普段からここを利用するようだ。おお、果報者。首都圏では味わえないぜいたく三昧。
ここってぎりぎり端なんですよ、すぐ向こうは禁煙なんですよ!とその時は大変なことのように聞いていたのだが、「たしかそうですよね」という返事のそっけなさも今となっては当然だ。この人は普通にたばこを吸ってただけなのだから。
しかしその時はここの貴重さをわかってほしい一心で、あっちはもう大変なことになっている、という旨を伝えた。
「そっち側のことはあんまり知らないんですけど…」と言っていたお兄さんを見て、戦争が始まって逃げてきた人のようになっていた自分に気づいた。 |