古い本は日に焼けたりして紙が茶色に変色したりしている。
この部分を紙やすりで白くすることができる。
本を擦るにはもう少し目の細かいほうが良いと感じたが、とにかくこんなふうに白くすることができる。 これを無精ひげでも試してみる。
そんな迷いを心に抱きながら本を磨きつづけた成果だが、
写真を見比べてみると、やっぱり白くなっている。 試しに別の面を指の腹で擦ってみたのだが、それで白くなったとは感じられなかったので、これはもうヒゲやすりの成果といって差し支えなさそうだ。 ブックオフの店員のみなさんは、本を磨く機械が故障してしまった際、是非ひげを活用していただきたい。
磨けないもの
ちなみに、まったくヒゲがたたない(歯がたたない)ものとして、アルミ缶があげられる。
以前、「ピカピカイエーイ!」という意味のわからないクライマックスで読者に衝撃を与えた、木村さんの『船で往復50時間』という記事を参考に、(あれはスチール缶だったが)アルミ缶の塗装を無精ひげで擦り落としてやろうとおもったのだが、これについては大方の予想どおりというか、まったくダメであった。
おろし金としての、ひげ
これまでの調査からすると、無精ひげが有効に使えるのはブックオフだけという結果であるが、では、おろし金の代わりにはならないだろうか。 擂りおろしたリンゴが食べたいけれど、おろし金が家にない。そんなとき無精ひげが使えたらたいへん便利だ。
というわけで早速試してみよう。
肌の弱い人は注意して!
ひんやりと肌に伝わるリンゴの冷たさ。これまで、口に入れようとおもったリンゴを間違えて顎につけた。という経験がないので、こういうのは初めての感触だ。
シャクシャクと、小さな音をたてるリンゴ。リンゴはなんにも言わないけれど、リンゴの気持ちはよくわかる。そうとう戸惑っているにちがいない(俺も戸惑っている)。
無精ひげの状態は刻一刻と変化している。いろんな場所を試し、今現在のベストな場所をさがしながら、リンゴを細かく動かしていく。
つい適当なキャプションをつけてしまった。 さて、お恥ずかしい話だが、小生顔半分をリンゴまみれにして10分以上が経った。ふつうのおろし金であればすっかり擂りおろせているだけの時間なのだが、
ではリンゴの状態はというと、
しかし、ヒゲおろしリンゴ(擂りおろしリンゴ)は容器にぜんぜん出来ていなかった。じゃあ擂られたリンゴはどこへいったというのか。
うん。まあ、そこだよね。
リンゴは擂れていた。しかもとっても食べやすい場所で。
正直もっと上手に擂れるとおもっていたのだが、世の中そんなに甘くないということか。
このあとぼくは、飽き足らずに山芋をヒゲおろそうと試みたのだが、ぜんぜん擂りおろせなかったうえに、びっくりするくらい痒くなった。危険なので是非やめていただきたい。
1年以上あたためたわりに情けない結果に終わった今回の試み。少しヒゲが伸びすぎていたのかもしれない。無精ひげにも旬というのがあるのだ。
山芋で酷い目にあったあと、台所にあったキュウリを、これは擂りおろしたりせず、スライスして顔にのせた。はじめてのキュウリパック。爽やかな清涼感が、無駄に酷使されたぼくの肌の火照りを、やがて冷ましていくのだった。