様々な工作記事が載っているデイリーポータルZですが、金属をガンガン加工する工作に手を出した人はまだいないハズ!
……ということで、デイリーにおいて金属工作王の座をゲットするため、手始めとして溶接にチャレンジすることにしました。よっしゃ、鉄をドロドロに溶かすぞ!
(絵と文:北村ヂン)
金属工作王に俺はなる!
毎日、様々な記事が掲載されている当サイト・デイリーポータルZですが、その中で人気なジャンルとして“工作”があります。
読んでいて楽しいので、ボクもやってみたいなぁ……と常々思ってはいるのですが、基本的に性格が大ざっぱな上に不器用なので、なかなか手を出せずにいるんですよね。
……イヤ、ホントは一回手を出したんですが、それがあまりにも酷かったので(「夏でも涼しいスーツが欲しい」)もうやらないでおこうかなと。
それに、工作セレブの乙幡さんをはじめとして、電子工作なら石川さん、イカ・しめじ工作なら尾張さん……とスゴイ工作を作ってる先人が沢山いるので今更後追いでやってもなあ、という気もしますしね。
ならば、まだ誰も扱っていない素材で工作すればいいのではないか。そこで思いついた素材が
素人が金属を使って工作するというのはものすごくハードルが高そうですが、それだけに金属加工をマスターしたらスゴイ記事が書けるのでは!?
……ということで今回は金属工作への第一歩として(?)溶接に挑戦したいと思います。
あの堅い鉄をドロドロに溶かしてくっつけてしまう溶接! うーん、楽しそう。
ハイ、こちらが溶接体験の会場、新日本製鐵株式会社さんの技術開発本部鉄鋼研究所・ウェルテックセンターです。
普段から溶接技術者を育成するための研修などを行っている場所なんだそうな。今回はココで溶接を学ばせて頂きますよ!
……と、意気込んだものの、まずは教室での講義から。
どのように鉄を溶かし、それをくっつけるのか……といった溶接の理論から、実際に溶接を行う際に気をつけるべき注意点などを勉強。
今回、体験するアーク溶接とは、高電圧の電流を放電させることによって鉄を溶かすんですが、強力な電気を使ってる上、アークの温度は数千度にも達するということで非常に危険をともなう作業なのです。
それだけに講義の中でも沢山の注意事項を説明されました。たとえば、溶接中は溶けた鉄が火花となってバチバチと飛び散るので……。
そしてもちろん、溶接する鉄には高圧電流が流れているから……。
まさかデイリーの取材で「即死」という言葉を聞くことになろうとは……。こ、怖ぇえー!
もちろん、しっかりと安全対策をしていれば大丈夫なわけなんですけどね。
どうでもいいですけど、溶接体験のしおりに「作業着を用意すること」と書かれていたので、ボクは朝から作業着を着込んでやる気満々で会場に行ったんですが、いざ会場に着いたらみんなスーツ着てるんですよ……。
確かに講義の時まで作業着を着てる必要はないですもんねぇ。……ひとりだけバカ丸出しで恥ずかしかったです。
溶接用の防具を装着!
さて、午前中の講義を終えて、いよいよ午後からは溶接の実習です。まずは安全対策のため、様々な防具を装着していきます。
ほい、これが素の状態。
なぜオレンジ色のつなぎなのかというと、……おそらく買う時に、電撃ネットワークの衣装が頭のどこかにあったのではないかと。
ここから溶接用の防具を装着していきますよ。
まずは腕カバー。分厚い革で作られた非常に無骨なルックスですが、そこが“業務用”って感じでワクワクしますな!
つづいてエプロン、これも同じく革製で結構ズッシリと重いです。
こちらは足をガードする脚絆(きゃはん)。
溶接時に火花となって飛び散ったアッツアツの金属が、靴の中などに入っちゃうとすさまじく熱くて危険なので、それを防ぎます。
靴の中に小石が入っちゃった……の超強力版みたいなもんですかねぇ。想像しただけでもすごい痛そう!
かなり大げさな防じんマスクを装着。
これくらいのことをしておかないと、高熱で蒸発した金属物質などを吸い込んでしまい危険なんだそうです。
ほい、コレが完成形!
うーん……。なんか、ものすごく格好悪いのはなぜなんでしょうか。他の人たちは結構それっぽく着こなしてるんですけどね。
溶接マスクをかぶるとこんな感じ。ますます不思議なルックスになっています。
ちなみにこのマスク、このように目を出すところが二重構造になっているのです。
溶接中にビカッと強力に光る「アーク光」を直視しちゃうと危険なので、溶接をする時は遮光ガラスを下げ、それ以外の作業をしている時は透明ガラスの方にしておきます。
この遮光ガラスを下ろすとホント、なにも見えないんですよね。もう完全に真っ暗。
逆にいうと、ここまで真っ暗なガラスを使用しなければ防げないくらい強力な光ってことなんでしょう。
準備が整ったので、いよいよ実習に入りたいと思います。
実習場はこのように個々の作業ブースに分かれています。
こちらがボクに割り当てられたブース。
コレコレ、こういうメカメカしいマシーンを使いたかったの! ウオーッ、テンション上がってきたぞ!