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はっけんの水曜日
 
由緒ないお城をめぐる


 

最近、日本各地の城跡を巡るお城巡りが流行っているみたいですね。

確かに歴史的な由緒あるお城を見ると「すごいなー」と感じるのですが、全然由緒のない、最近作ったのになぜかお城の形をしている……という変な建物を見ても「すごいなー、どうしてこんなの作っちゃったんだろ」と思います。

そんな、由緒ないお城を探してみました。

(絵と文:北村ヂン



由緒ないお城との出会いは那須で


入口からして、インパクトあり過ぎですよね

2年くらい前、栃木県の那須にある「ワールドモンキーパーク」という、ひとことではちょっと表現しがたい感じな猿のテーマパークに行ったことがあります。

駅からもバス停からも遠いような場所にあったので、仕方なくこんな感じの田舎道をテクテク歩いて向っていたんですが、その途中でこんなものを見かけました。


え、お城!?

なんと、だだっ広い畑の中にドドーンとお城が建っていたのです。

しかしお城にしてはちょっと小さい感じがするし、壁も新しすぎるような気が……。そもそもこんな所にお城があったなんて聞いたことがありません。

なにより、よく見るとこのお城、ガラス窓が使われているんですよね。お城にガラス!?

「なんじゃこりゃ!?」ということで、お城に近づいてみると、赤い極太明朝体で「私有地につき何人も立ち入る事を禁ず」と書かれた、妙に威圧感のある看板がバンバン立てられていました。 これはアヤシイ……。

調べてみたところ、ここはかつてお城の形をしたゴージャスなレストランだったようです。はー、レストラン!

それ以来、お城の形はしているものの、歴史的背景も、由緒もないというイミテーションなお城が気になっています。

一応、ここで定義する“お城”とは、天守閣がある日本のお城のこと。 西洋風の「由緒ない城」もいっぱいありそうですが、それを探していくとラブホテルばっかりになっちゃいそうですからね……。

とにかく今回は、ボクが見つけた「由緒ない城」をいくつかご紹介しましょう。

 

コンクリート打ち放し城

秋葉原からさいたま市に移転されて話題となった鉄道博物館から埼玉新都市交通ニューシャトルで一駅、「加茂宮駅」の近くに由緒ないお城がありました。

いかにも郊外といった雰囲気漂う住宅街をしばらく歩いて行くと。

ちょっと違和感のある建物が見えますね。

お、お城だーっ! ……けど、ちょっと様子がおかしいですよ。

そもそも入口が格子戸って……、そんな無防備なお城ないでしょ。

ここは財団法人陶芸文化振興財団の「陶芸会館」という施設なんだそうで、中には陶芸教室や美術館、貸しスペースなどが入っているらしいです。

陶芸→伝統文化→お城だっ!

という連想からお城の形にしてしまったのかどうかは知りませんが、 「陶芸会館」なら戦になる心配もありませんね。……イヤ、他の陶芸団体との派閥闘争とかあったりして。

ちなみにこの建物が建てられたのは1997年のこと。あらま全然新しい。これは立派な「由緒ないお城」といえるでしょう。

しかも壁面をよく見てみると、コレ、コンクリート打ちっ放しですよね。

どうりで色味が灰色っぽいと思った。

でも鉄筋コンクリート製で、造型も直線中心のシンプルなもの。キュッとコンパクトにまとまっていて、ボク的には好きなタイプの建築物ですね。……お城として見たらどうかと思いますが。

いいぞー、いいぞー。別に歴史的背景なんてなくても、格好いいお城だったらそれでいいですよ。

屋根の上にはシャチホコもありました

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