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ちしきの金曜日
 
うどんとそばが一つになった「そどん」を出す店


神奈川県の、なんの変哲もない住宅街の一角。一本の麺の片側はうどん、もう片側は、そばの「そどん」なる食べ物を出す店があるという。

斎藤 充博



外観はふつう

この「そどん」、麺の縦方向に「うどん」と「そば」がくっついているらしい。イメージとしては、歯磨き粉「アクアフレッシュ」のストライプだ。そんなものが本当においしいのだろうか。


JR東戸塚駅から約1.5キロ。訪問の際にはタクシー必須

「きぶね」の見た目は、いたってオールドスタイルだった。古い商店街とか住宅地の中に一つはこういうのあるよね、という感じだ。「そどん」とか妙なメニューで目立ってやろう!みたいな、そういう雰囲気は見つからない。

「イロモノメニューのお店」を取材する気分でいたこちらとしては、逆に肩すかしを食らったような気分になる。

これが「そどん」だ


一見「もりそば」にしか見えませんが

この状態だと、見た目ではそばとうどんの区別がつかない
一口食べたところ。つい笑ってしまう

「そどん」の味は「うどん」よりでも「そば」よりでもない。かといって、「そばとうどんの妥協の中間点」という味でもない。「そばが小麦粉で薄くなったような味」では、断じてない。


白がうどんで、黒がそば、みたいなイメージです

読者の方は、PCのディスプレイに顔をぐぐっと近づけて、右上の市松模様を何秒感か注視して欲しい。すると、白と黒のコントラストに目がチカチカしてくると思う。

この「そどん」の味わいが正にそれだ。今、僕の口の中が、うどんとそばでチカチカしている。

「そば」と「うどん」の味が口の中ではっきりそれぞれを区別できる。そして「そば」と「うどん」が互いに互いを引き立て合うという、奇妙な現象。

そして、恐るべきことに…


おいしくない、というのならまだ理解できるんですが。おいしい!ということに混乱する

僕が混乱していると「面白いやろ?」って嬉しそうに解説をするご主人。手品師みたいだ
ゆでる前の「そどん」。裏と表で、そばとうどんが、一本になっているのが良くわかる

 

「そどん」誕生の経緯

そもそも、どうしてこんな奇妙な食べ物を作ろうとしたのか。ご主人に聞いてみた。

「20年くらい前には、うどんとそばの相盛りが流行していてね…」


相盛りがそどんを生んだわけだ

「ウチでも出していたんだけれど、ものすごく作るのめんどくさかったのよ。ウチはそばとうどんのツユを別にしてあるし。なんとか一つにできないかと思ってね」

なんだそりゃ!その後、いろいろと試行錯誤して裏メニューから正規メニューに昇格したのが6年前、とのこと。10年以上苦心していたわけで、結果的に相盛りを作るよりも遥かに大変じゃないか。

「でもなー。その方がおもしろいやろ?いろいろ考えるのが好きやから…」


「でもなー。その方がおもしろいやろ?いろいろ考えるのが好きやから…」


 

「だって、毎日毎日、同じ物ばっかり作ってたら、自分でも飽きるじゃない」

話しているうちに、なんとなく見えてきた。「相盛りを作るのはめんどう」ってのは後付けで、ただ単に作ってみたかっただけだと思う。ご主人がやたら楽しそうに語ってくれるのが、その証拠だ。なんとなく当サイトの創作料理や実験工作の精神と、つながるところがないか。

そして、そのアイディアを年単位の長期に渡りブラッシュアップさせているのがすごい。当サイトの実験だったら、わりとすぐにあきらめる(僕はそうです)。このなんの変哲もない厨房が、なにやらマッドサイエンティストの研究所のように見えてきた。

そして、そんなご主人の研究は、「そどん」だけにはとどまらなかった。


うどん豆腐 >
 

 
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