アメリカ人のフライへの情熱を実践
フライドオレオと同じように屋台などで売られる揚げ菓子類にはいくつかあるようだが、その中でも私が聞いてそれはどうかと思ったのはこれだ。
スニッカーズである。ピーナッツとキャラメルとヌガーをチョコレートで包み込んだ、説明を聞いただけでも元気が出てこざるを得ないような食べ物だ。
ワールドワイドでかなりのロングセラー。調べてみたら2010年は発売80周年だ。だからもう完成してるってことでしょ。そのまま食べようじゃないか。
そのままちょびちょび食べるのが普段の自分なりのスニッカーズに対する流儀。しかし今回はアメリカンパワーフードの再現が目的。神妙な気持ちで衣をつけ、不安とともに油に入れる。
頑張ればちくわの天ぷらをしているようにも見えなくはない。ただ、じっくり火を通している余裕はない。実体はチョコバーだからだ。
できあがったのは串に刺さっていないアメリカンドッグのようなもの。中身を知らなければ、こういう形をしたドーナツのように見えるかもしれない。
でも現実は違う。この中にはあの爆発的な甘さとカロリーを誇るスニッカーズが入っているのだ。食べてみよう。
口にして湧いてきたのは、自分でも根拠不明の笑い。あー、スニッカーズに衣つけて揚げたんだね。それがこれかー、あははは、という感じだろうか。
とりあえず言えることは、チョコがとろとろになってておいしい。いや、やっぱりおいしいっていうのはちょっと保留。チョコとろとろはいいのだけれど、全体としてこれを肯定するような言葉を選んでいいのかどうか躊躇する。
外はサクッ、中身はネトーッ。暴力的な味と言えばいいのだろうか。アメリカすごい。
ここまで、既成の食品を主役としてそこに手を加えたアメリカのパワーフードを実践してきたが、ここでもう少し手作り感のある料理的なものも紹介しよう。
主な材料はサツマイモ。これをゆでて、熱いうちに卵とバターと合わせる。ここに砂糖を加えてもいいようだが、今回は甘い物が続いているのでこれだけにしておこう。
材料が全て一体化するように、サツマイモをマッシュする。今回はビニール袋に入れてもみこむように混ぜ合わせた。大体なめらかになったら、それをグラタン皿に敷こう。
これだけで焼いてもすでに簡単スイートポテト的なおいしさがあるようにも感じるが、かの国ではこの上にマシュマロを乗せて焼いたりするらしい。
これをしばらくオーブンで焼く。甘いにおいが漂ってくる。いい具合に焦げ目がついたところでできあがりだ。
マシュマロ乗せなくてもいいだろと思っていたが、焼き上がった甘いにおいが漂う中でこのビジュアルを見ると、これもありかと思えてきた。
では食べてみようと思い、スプーンを刺すところでまた意外性を感じた。
ふにゃっと入っていくと思ったスプーンが、「サクッ」と音を立てて入ったのだ。マシュマロを焼いて食べることは話には聞いていたが、こういう感じになるものなのか。
焼きたてなのであつあつのところを食べてみる。…マシュマロは表面こそサクッしているが、中はトロッとしていて新鮮な食感。そして 砂糖を加えなかったサツマイモの自然な甘さと混ざって、ちょうどいい感じの味わいになる。
オーケー、これなら素直にアメリカに歩み寄ることができる。意外性のあるお菓子として十分にあり得る。
この料理を通して見えてきたアメリカとの和解。しかし、この国にはさらに気になる食べ物がある。