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土曜ワイド工場
 
糸通しになった私


全体的に好きなものの話ばかりで恐縮です。

四国と淡路島を結ぶ大鳴門橋には、「渦潮を見るため」という名目で 橋の裏側を450メートルも歩くことができる『渦の道』という県立の施設がある。

先日ひょんなきっかけで訪れることになったのだが、とても楽しかったので、ぜひ紹介したい。

田村 美葉



きっかけはエスカレーター

きっかけは、『エスカヒル鳴門』という日本で2番目に長いエスカレーター。
これまた「渦潮を見るため」という名目で作られた、丘の上の展望台まで一直線に伸びるエスカレーターである。
全国の素敵なエスカレーターを追い求めることをライフワークとする私、休暇を利用して、これを観に行ってきたというわけだ。

しかし、鳴門の実力はエスカレーターだけではなかった。
鳴門公園に向かうバスの窓から、まず見えてきたのがこの風景。


エスカレーター!橋脚!

個人的な話が続いて恐縮だが、「エスカレーター」と並ぶ私のいま最大の好物が「橋脚」である。
全然違うジャンルなのに好物が同時に眺められるという幸せ。
いわばギョウザとタイ焼きが同時に出てくる定食があった、とでも思っていただけたらいい。
ちなみにギョウザとタイ焼き、というのも私の2大好物である。


そして予想通り、そこそこ長いエスカレーター

エスカヒル鳴門は予想通り、そこそこ長いまぁまぁ普通のエスカレーターであった。

本題ではないのでさらりと紹介するが、渦潮をフィーチャーするあまり、とりあえず作った展望台のエスカレーターが日本で2番目に(できた当初は東洋一) 長くなっちゃうなんて、なかなか鳴門はオチャメだ。


のぼったさきには大鳴門橋、どーん!

日本で2番目の長さをのぼりきって展望台にたてば、眼下には大鳴門橋をどどんと眺めることができる。
うむ、じつにいい吊橋だ。と見惚れていると、同行していた両親が鳴門公園のパンフレットをみながら談義している。どうやら、あの吊橋の下を歩くことができる『渦の道』という施設があるらしい。なにそれ、行きたい。


補修中の橋脚が素敵だった『渦の道』入口。
橋脚に夢中で入口、見えてないけど。

 

いよいよ、橋の裏側を歩く

そういうわけで、両親のナイスアシストもあってたどりついた『渦の道』。
ではいよいよ、その絶好ビューをご覧いただきたい。


大鳴門橋、真上ビュー!

大鳴門橋、真下ビュー!

どうだろう、この、業務用ビューともいうべき、橋梁全面推し出しの展望は!
ここ『渦の道』は、橋の裏側の独立した階層に作られている。

そしてレインボーブリッジで言うとゆりかもめが走る真ん中の部分にも何もなく、 橋の元々のトラス構造以外に装飾や余計な設備もなにも作られていないので、 このように橋の裏側まる見え状態というわけなのだ。

レインボーでもベイブリッジでもない『大鳴門橋(おおなるときょう)』の、かざらない強さがここにある。


通路はこのようにただ淡々と続くのだが

海、見える見える!

橋の構造、わかるわかる!!

どんどんいける!

まだまだいける!

通路の両側からは瀬戸内海が一望でき、フェンスから潮風も入ってくるので非常に心地よい。
吊橋だが、揺れて怖いというスケールではないので、大人も子どもも淡々と歩いて行く。
というより、どんどん私を追いぬいて行く。

日本に素敵なトラス構造は多かれど、内側ど真ん中から鑑賞できるポイントはなかなかない。
もっともここも、鑑賞ポイントとして設けられているのではなく、単なる左右の連絡路なのだが、一定間隔で出現し、橋のいろんな表情が楽しめるのでウキウキが止まらない。
いちいち写真を撮るのでどんどん抜かされる。
そして私はいま橋桁の内側を歩いている、という事実それ自体を噛みしめているうちに、すっかり遅れをとってしまった。

追いぬいていった皆が集まっていたのは450メートル地点。
渦潮発生地帯を真下にみることができる、ガラス張り展望台ゾーンである。

 

まだまだ歩いて行きたい気分だったが、450メートルの地点が目的地。
渦潮発生地帯を真下にみることができる、ガラス張り展望台ゾーンである。


お約束の足もとまる見えポイント

「…やっぱり、渦潮あんまり見えないねぇ。(父)」

うん、いま大潮の時間じゃないからねぇ。…。
はっ。そうだ、両親には「渦潮、観に行こう」とだけ言って鳴門につれてきたのを忘れていた。

 

大潮のときなら、きっと渦潮もばっちり見えます

こう書くと、すっかり単なる家族旅行の感想みたいになるが、 鳴門、そして四国はとても楽しかった。瀬戸内海って素晴らしい。

橋、いっぱいあるし。実は日本一長いエスカレーターも香川にあるし。 すっかり魅せられてしまったのでまた行こう、大鳴門橋を渡って。


本文と関係ないが、高松-徳島間を走る素敵な特急「うずしお」。どこまでも渦潮推し。

裏側かっこいい

帰ってきてからよく調べると、大鳴門橋では、レインボーブリッジにおけるゆりかもめ的ポジションで、新幹線の建設が計画されているとかいないとか、なのだそうだ。
業務用ビューだと思ったら本当に、元々は業務用だったというわけだ。そう思うとますますかっこいい。
渦潮は観られるときと観られないときがあるが、橋はいつでもそこにあるので裏側を思う存分堪能可能。
『渦の道』、オススメである。


 
 

 

 
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