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フェティッシュの火曜日
 
日本一川幅が広いのは荒川


川の幅の広さで盛り上がってる街、鴻巣市

日本一幅の広い川は意外にも荒川。その距離じつに2563m。

先日旅行に行ったガンジス河も広かったが、その幅は500mくらいだった。とすると、荒川の広さすごいな。

そして日本一幅広い地点が所在するのは埼玉県鴻巣市。その鴻巣市が川の幅の広さを記念したうどんを作ったりして盛り上がっているらしい。

川の幅が広い、と街が盛り上がっているのだ。なんと"幅で"だ。"宮崎マンゴーで"とか"直江兼続で"じゃないんだ。

一体それはどういうことなんだと見に行った。事と次第によってはお灸をすえることも、やぶさかではない。

大北 栄人



なにも川幅で盛り上がらなくたったいいじゃないか

鴻巣といえば人形の街。ひな祭りの盛大さはデイリーポータルZでも記事になっていた。(記事『ほんとにびっくりしたひな祭り』)

それでいいじゃない、鴻巣。うちのひな人形は日本一!ってうどん作ればいいじゃない。川幅!と言われるよりも、ひな人形!って言われる方がかっこうもいいじゃない。


「ひな」の字の幟と人形屋が並ぶ
化粧品屋さんに五月人形飾ってしまうほど人形の街

ケーキにまでなってた川の幅

そして川の幅。ひな人形ファンや川ファンはいるだろうけど、川の幅ファンいるのか?そんな思いとは裏腹に、街はきっちり盛り上がっていた。

川幅うどんというのがあるのは知っていたが、ラーメンまであるそうだ。それ「川幅ラーメン」って売り出すよりも、「日本一幅広ラーメン」って売り出せるんじゃないか?という気もするが、残念、お店が定休日。

しょうがないので他の川幅商品を。川幅うどんの乾麺と、そして最近では川幅ケーキなるものまで出ていた。


これで家でも川の幅の広さを味わえる川幅うどん乾麺。

川幅って"幅"ですよ、いちごとかレモンとかじゃないんですよ、と心配が止まらない川幅ケーキ600円。


いよいよ川幅日本一を見に行く

製麺所やケーキ屋さんで実際の川幅について聞いてみたところ、鴻巣に来てくれてありがとう、というとても温かい歓迎ムードでありつつも、顔は困っていた。

そのわけは知っている。川の幅といっても、河川敷を含めた幅、土手から土手の幅だからだ。


ということで川幅日本一地点(鴻巣側)を車で通過
もう川の中だが田んぼが広がっている

見ない方がいい荒川本体

でも荒川本体も広いんでしょう?と聞くと「見ないほうがいいかもしれない、がっかりしちゃうかも」ということだった。


あった、荒川本体。その幅、数十mといったところか。
家につづき会社まで。そこまだ川の中ですよ。

家や田んぼまであるけど川の中

「でもこの前の台風のときはすごかった。ほんとに川が広くなって、見せてあげたいくらい。」ということなので、土手から土手が川の幅、と言ってもいいみたいだ。

でもそうなったら河川敷にある家とかはどうなるんだ?と思ったが「あの辺は高いから大丈夫みたいよ」なんだそうだ。

じゃあ川じゃない?川なのか、川じゃないのか、だんだんどうでもよくなってきた。


まさかここまで、という地点に対岸の標識が見えてきた

もう通りすぎたろう、と思うほど長い

2500mは徒歩でいくと35分くらいか。駅からも少しあるので、今回は車で横断することにしたが、それでも長かった。

もう過ぎたはずだけど引き返せる交差点がないな、とそわそわしてた頃に対岸の土手があった。


吉見町側の幅広地点に到着。まさかここまで広いとは。

いがまんじゅうを食べながら(赤飯にまんじゅうが入ってるこの辺りの名物。記事はこちら『包んだり包まれたりする赤飯と饅頭』)

川の定義はどうでもいい、広い

広い。困ったことに向こう岸が見えない。向こう岸といっても土手なので、辺りの風景に溶け込んでしまいどれがどれだかわからないのだ。

家や田んぼもあるけど、これほんとに川?という思いはもうどうでもよくなった。

なんだかわからんが広いな、という思いに圧倒されて、川の定義など見失ってしまうのだ。広い。ただただ広かった。

川の幅ファン、いた。川を渡ったあとの私だ。この幅の広さは一度体験してみるとファンにならざるを得ない。川幅ファンクラブの結成をここに宣言したい。


向こう岸が見えない、どうやって川幅を伝えればいいのか
荒川、と言われてもそこにない。荒川まで1.5kmくらいあるのだ。

しょうがないので川幅日本一地点付近を渡る動画でお伝えする。川幅日本一だと時速50kmくらいで行って3分半かかるのだ。

その後川幅ファンが集う店、元祖川幅うどんの久良一へ

大型テレビ、チェロ、鯉のぼり…川幅うどんのお店に置いてあるものはなぜか幅広いものが多かった
川の幅にちなみ2537円以上をお釣りなしのピッタリ会計で支払えばクーポンが150円つくという、細やかすぎるサービスも

川幅うどんにはナイフとフォークがついてくる。うどんなのに。
幅8cmと広い。もうこのうどんに住みたい。

ナイフとフォークとうどんを前にして

川の幅が広い。家とか信号まであるくらい広い。鴻巣にお灸をすえる、といいつつもきっちりファンになって帰ってきた。

この広さはうどんにケーキにラーメンに。とにかく広めていきたいものだ。


感想は「川の幅、広っ!」
(※申し訳ないので、このうどんかなりうまかったこともお伝えしておく)

川幅ケーキはチーズケーキ。容器の側面には仏語で。

川幅ケーキの紙容器の側面にはこんなフランス語が書いてあった。

Qui m'aime aime mon chien.
L'amour que je vous porte est pur comme le cristal.

「川の幅の広さは私たちの心。
おおらかで寛大な精神をいつまでも持ち続けたい。」

なんていい言葉なんだ。感動した、川の幅。川の幅で盛り上げるまちづくりもいいじゃないか。

ただひとつ残念なことに、この訳は今わたしがでっち上げたウソの訳なのだ。

それではなんなので仏語ができる友人に聞いたところ、一行目がへんな文法でわからないが、ということだったが以下に訳してくれた。

「私のことが好きな人は、私の犬が好きだ。
あなたの愛はクリスタルのようにピュアだ。 」

とすると、川幅を好きな私は川幅の犬も好きなのだ。
そしてその犬への思いは、純粋の結晶である。ワンッ!


 
 

 

 
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