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はっけんの水曜日
 
「コンパ」ってどんなお店?

日本最後の「コンパ」

「コンパ」というのが、飲み屋の業態の一種だということは分かりましたが、要はどんなお店のことを「コンパ」というのでしょうか。

ママ それなら原さん(マスター)の方が詳しいから聞いてみたら。

ということでマスターを呼んでくれました。


ワッショイワッショイでノリ&勢い重視といった感じのママと、見るからに理論派といった感じの渋いマスター。好対照でいいバランスのふたりです

マスターは、この「江古田コンパ」を開店する前、新宿を中心に様々な「コンパ」のお店でバーテンダーをやっていたそうです。

--どういうお店のことを「コンパ」っていうんですか?

マスター ドイツ語で「仲間」という意味の「kompanie」や、英語の「company」が語源とされていて、それが日本に入ってきて「カンパ」とか「コンパ」と呼ばれるようになりました。もともとは「みんなで集まってお金を出し合って飲む」というような意味合いだったんですけど、それが転じてみんなでワイワイ盛り上がって飲むお店のことを「コンパ」というようになったようです。

ママ 昔は新宿コンパや池袋コンパ、上野コンパ……って、盛り場にはたいてい「コンパ」があったのよー。アタシもよく通っててねー。ジンライムなんか飲んで酔っぱらっちゃってねー。アッハッハハハハーッ!

「コンパ」という業態のお店は昭和40年頃に全盛だったそうで、この江古田コンパも創業が昭和43年! そんな「コンパ」の特徴をまとめると。 

・ボックス席はなくカウンターのみ。
・若い子たちが飲みやすいように安価な価格設定。
・カウンターの中には若い男のバーテンダー。
・そのバーテンダーを目当てに女の子が集まる。
・その女の子を目当てに男性客も集まる……。

という要は、若い女の子が来やすいお店にして女の子客を集め、それ目当ての男性客も集めてしまおうという、一石二鳥的なシステムのお店だったようです。

当時は若い男女の出会いの場として大流行していて、特に

マスター バーテンダーはすごくモテましたよ! でもそれでお店に通ってもらわなきゃならないから絶対に手を出しちゃダメなんです。

ということなんですが、残念ながら現在、都内で残っている「コンパ」のお店はこの江古田コンパだけ。おそらく全国的にみても残っているお店はないんじゃないかとのこと。

こういうコンセプトでお店をやったら、今でも流行りそうですけどね。

--しかし……女の子を集めるのにしては入口がアヤシ過ぎませんか?

マスター あの当時は、キャバレーもコンパもパブも一緒くたになっていたんで、飲み屋の入口といえばあんな感じだったんですよね。でも確かに入りづらいですよね(笑)。

ママ それでも女の子はわりと平気で入ってくるのよ。むしろ男の子の方がビビッちゃって下でウロウロしてたりして……。なさけないわよねー!

 

オリジナルカクテル「デイリーポータルZ」!?

「コンパ」の謎も大体解けたということで満足していたら、マスターから「せっかくだからオリジナルカクテルを作ってみませんか?」とお誘いを受けた。

えっ、オリジナルカクテル? そんなの作れるの?


マスターお手製の表。これにそって作れば、それなりのものが簡単に作れるそうです

ここのマスター、バーテンダースクールの講師もやっているそうで、カクテルうんちくを語るのが大好きなんです。

で、一般の人たちにももっとカクテルを楽しんでもらいたいということで、一杯500円でオリジナルカクテル作り体験をやっているとのこと。

作ったオリジナルカクテルには名前をつけることが出来て、その年、一番優秀だったオリジナルカクテルはお店に貼り出してもらえます。

……うーん、こりゃあ本気で作らなきゃ!

ママがシェーカーの振り方を指導。

ママ あとで腰の振り方も教えてあげるからねー。アッハッハハハハハー!

……ちょいちょいそういうギャグをはさんでくるんですよ、ここのママ。

ほい、ボクもシェーカー振り初体験!

……というわけで完成! 一応「デイリーポータルZ」のサイトカラーのオレンジを目指して作ったんですが……あんまりオレンジになってないですね。

ちなみにレシピは、ウォッカ30cc、ストロベリー20cc、レモン10cc。

なんと、今までお客さんが作ったオリジナルカクテルのレシピはすべて表にして残してあるそうなんで、江古田コンパに行って

「北村ヂンの作ったデイリーポータルZっていうカクテル!」

と言えば出してもらえると思います(たぶん)。

このカクテルも結構強めのお酒で作ってた上に、話を聞いている間にもちょいちょい飲んでいたので、この頃になるとボクも結構ほろよいに。

ママ もう40年もこういうお店をやってるから、いい女か悪い女かすぐに分かっちゃうのよ。今度は女の子を一緒に連れてきなさいよ。アタシが判定してあげるから。アーッハハハハハハ!

マスター やっぱりね、フリーで仕事をしていくなら、ちゃんと結婚していた方が信用が出来ますからね。はやく結婚した方がいいですよ。

ママ ……というか、アタシたちとしゃべってないで、隣に女の子が座ってるんだから話しかけなさいよ、ホラホラ!

など、なぜか最後の方は「ボクがどうやったら結婚出来るのか」の相談タイムと化していました。はじめて行ったお店でこんなに親身に相談に乗ってもらえるなんて(別にこっちから相談したわけではなかった気もしますが)嬉しいやら恥ずかしいやら……。

「コンパ」は時間が止まったかのようなお店でした

学生時代から気になりつづけて十数年、ようやく入った「江古田コンパ」は昭和から時代か止まってるかのような不思議な雰囲気のお店でした。

基本的には落ち着いた店内なのに、いきなりママのカラオケがはじまったり、それに合わせてお客さんがダンスを踊り出したり……かなりフリーダム。

それを尻目に黙々とカクテルを作っているマスターも渋くていい感じ。もちろん会計もボッタくられることなく、楽しく取材(飲み)を終えられました。

楽しすぎて、携帯電話とカバンを忘れて帰っちゃったくらいです。あとで取りに行かなきゃ……でも、そしたらまた飲んじゃうだろうなー。


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