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とくべつ企画
 
おやつは3000円まで ほそい編

おやつ3000円分!おやつ3000円分!
大人なのでゼロ一個足してもいいだなんて・・・!粋なことを提案してくださってありがとうございます。
大人なので、もう駄菓子屋には行きません。デパートだ!地下だ!

ほそいあや



今食べたいものを買いに

ハイテンションで始めてしまってごめんなさい。私は心の奥底でこんな日を待っていたのかもしれない。

おやつといえば遠足だが、遠足に行かなくなった今はどういうシーンで「おやつ」を見繕えばよいのか。そこから考えなくてはいけない。少し冷静になろう。


まずデパ地下の海産物コーナーへ。

おつまみ系でいきます

自分の嗜好としては甘いものやスナック菓子よりは磯の香り系がいいので海産物を買いたい。
しかし、海産物といえば生ものもある。
おやつというのはどこででも手で食べられるもの。そんなイメージがある。あまりにおかずっぽくなっても飯の友となってしまい心躍らないのだ。瓶詰めの塩辛やイクラもよいがここはひとつ「おやつ」という言葉の躍動感を大切にしたい。


手で食べられる海産物といえばスルメですね。剣先と迷ったが、店員さんに旬ものとしてほたるいかをすすめられたのでこれにしよう。
「へしこ」の凶暴なしょっぱさに心ひかれる。これはどちらかというとおかずの部類だろうかと悩んだが、丸かじりスタイルでどうにかしよう。お腹が空いたらヘシッコー。
   
珍味をひとつひとつデパートの包装紙で包んでくれた。すごく贅沢している気分になる。
ほたるいか、へしこ、くさやを買って、合計1400円。

国際色ゆたかなチョイスをめざす

デパートでは手堅くベーシックなおつまみを手に入れた。あと半分は異国情緒も取り入れたい。
世界の珍しい食べ物が置いてあるアメ横センタービルに向かった。


中国語とびかうアメセン地下。

にせからすみ「唐千寿」

ここに来るといつも買う「唐千寿」というからすみに似せた珍味がある。魚卵好きにはたまらない味とコストパフォーマンスを兼ねそろえている。


にせからすみ。550円という手軽さ。
「ごめん、違うんだ」的な注意書きが愛おしい。おいしければサメでもタラでもかまいやしないさ。

自分なりのパラダイス

アメ横センタービルではにせからすみの他に、乾燥ドリアン、亀ゼリー、いかあしを購入。
残金と相談しつつ、できるだけ手でつまめて、飽きない味のバランスで…と考えてこうなった。
…と言われてもさっぱりわからないと思うのでこれから説明します。


本気で悩みながら描いた大人のおやつの理想図。

死にたくない。

お酒はいらない

はじめ3000円と聞いたとき、発泡酒1ケース+おつまみ一品にしようという考えが頭をよぎった。しかしそれではいつもの自分と何も変わらない。この企画は日常を逸脱するチャンスなのだから、珍味だけでコーディネートするのがよいだろう。

そう思うと、不思議と珍味だけに目が向けられる。お酒はまたの機会に、という気持ちになる。実際、今まで本当においしい珍味に出会った時にはお酒は欲しくなくなるのだ。心地よい塩分にのどが乾くと、水が一番おいしく感じる。
「うまい珍味は水でも酔える」これが私の座右の銘だ。

カッコつけて言ってみたが、実のところドリアンはお酒との食べ合わせが悪く、運が悪いと死ぬ。本当はお酒を一本くらい買いたかったが命には代えられず我慢した。


まずほたるいかの素干し。肝がすごくうまい。

いただきます

遠足っぽさのかけらもなく、普通に自宅ですみません。
まず、ベースとも言えるイカ系から攻めます。
ほたるいかは生や茹でよりも素干しが好きだ(捕れたては除く)。水分の飛んだ肝がじわじわとうまい。
これは日本酒かプーアール茶が合うと思う。


つづいてくさや。そのまま食べられるのでまさにおやつスタイル。
しょっぱい物で少し舌が麻痺してきたら、ほんのり甘いものを挟むと味覚に広がりが出る。よってこのタイミングでドリアン。

するとまたしょっぱい物がおいしい。

甘すぎてはだめ

この場合の甘いものは箸休めではなく、チェイサーに近い存在だ。あまり甘すぎる物だと余計に舌が疲れて遅れをとってしまう。


亀ゼリーは良い仕事しますよ。
ほんのり甘く、あとから来るほろ苦さ。うまい!

缶の中は井戸のように暗い。亀の怨念を思わせる。

亀ゼリーには亀の甲羅(お腹のほう)の粉末が入っている。りっぱな薬膳だ。
亀ゼリーで味覚をフラットにしたところで、にせからすみの時間がやってきたようだ。


幸せってこういう事を言うんだね。

こういう企画でよかったのか自信がない

大人のおやつ3000円というとっても魅力的な企画に参加させていただいたが、しょっぱいものの間にほんのり甘いものを挟め、というどうでもいい主張をして終えることとなってしまった。
3000円におさまるように計算しながら選んでいくのは、遠足の前日の駄菓子屋の空気を思い出させてくれた。限られた金額を渡されると、好きなものに優先順位をつけて端数をパズルのように調整していくという普段なら絶対しない事をすることとなり、それが意外に楽しい。
あと20年くらいしたら、ゼロをさらにもう一個足したおやつ選びができるといいなと思う。

3000円の内訳は以下。

商品名

値段

ほたるいかの素干し 400円

へしこ

500円

くさや

500円

唐千寿(にせからすみ)

550円

乾燥ドリアン

480円

いかあし

300円

亀ゼリー

260円

合計

2990円



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