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ロマンの木曜日
 
アメリカでアニソンイベントを開催した男


 

最近オリコンチャートを見てもアニメの主題歌やエンディング曲、いわゆる「アニソン」がランキング入りすることも珍しくなくなりました。「日本のアニメやマンガは海外でも有名」なんて情報はすっかり当たり前になったけれど、これでアニソンも国内ではJ−POPやロックと肩を並べる音楽ジャンルと言えるわけで。では、海外では?

「24時間アニソンだけをかけて合唱し続ける」というエクストリームなイベントを毎年やっている友人がいる。この時点でも十分おかしいけれど、この前聞いたひとことが「この前アメリカでやってきたんですよ、アレ」。海外でのアニソンとは?24時間アニソン合唱inUSAはアメリカ人は受け入れてくれるのか?

大坪ケムタ



オタクの祭典からのオファーで渡米!

アメリカでアニソンを24時間歌い続けるイベント…そんな偉業を果たしてきた快男児が本業・映像作家、そして『24時間耐久アニソン1000曲メドレー』『今夜もおたく酒』などのイベントを主宰されているキムラケイサクさん


酒盛りとアニソンが似合う男。


まずアメリカ話に行く前に、その前提でありタイトルだけで皆気になるであろう『24時間耐久アニソン1000曲メドレー』というイベントについて説明しておきましょうか。

「発端は『日本SF大会』なんですよ。毎年に夏に行われてるSFファンのための歴史あるイベントなんですけど、そこに中学生の頃から行き始めて」

−−中学生からそんなコアな所に!

「夏は毎年行く感じでしたね。で、そのSF大会ってファンも自分で企画を立てて参加出来るんですよ。それで24歳の時、94年にアニメソングを歌い続ける部屋を作ろうって思ったんです。年齢関係なく合唱しながら飲めるイベントを」

−−ある意味合唱+DJ的な。

「アニソンって当時だとソノシートだったりするからDJは出来ないんですよ。でもカセットはいっぱいあるのでそれをMTRでミックスして7時間くらいのミックステープにして。それが最初に告知して始めたアニソンイベントですね」

−−それが16年前で…。

「SF大会でのイベントとしても好評だったんですけど、仕事も忙しくなってSF大会も行きづらくなって。それで東京のロフトプラスワン(トーク専門ライブハウス)に提案したら、『試しに12時間開催して、評判良ければ24時間やってもいいよ』と言われて、それが成功してからはだいたい年1でやらせてもらってます。一度だけ『接触編』『発動編』の2回やりましたけど」

*詳しくはキムラさんによるこのページを!


こちらは日本での様子。映像をバックに合唱したり
ゲストの歌を堪能+やっぱり合唱したり。


同イベントは何がすごいって、ただCDを順番にかけていくだけでなく、タイトルどおりノンストップの「メドレー」であること。しかも「忍者メドレー」「警察メドレー」などのテーマ縛りだったり、一部映像も絡んだりと飽きさせないエンタメかつハイテンションに仕込まれた内容はそりゃ年に一度しか出来ないというのも分かる。さらに串田アキラさんや山本正之さんらのゲストも来場したりするだけに、24時間歌い続ければ宗教的体験のイッパツも脳内に起きそうなイベントだ。

ま、それだけなら「極東ノ小国デオモシロイ事ヤッテルネー、HAHAHA!」で済む話だけども、それがなぜアメリカからお呼びがかかったのか。


「毎回僕らのイベントに来てくれる茨木に住んでるアメリカ人のお客さんがいて、その方が弟に話をしてくれたんです。その弟っていうのが『ALL−CON』というアメリカのダラスで行われてるファンコンベンションを主宰してるトッドって人だったんです」

−−そのALL−CONとはどんなイベントなんですか?

「SF・アニメ・マンガ・特撮からコンピュータやサバゲー、日本で珍しい所だとローラーゲームとか『オタク的』と言われるようなもの全てを統括したコンベンションですね。2000年からずっとやってるそうで。そこから『ダラスのホテルは取るからやってくれないか?』って話をもらったのが昨年の暮れで、開催が3月。えらい急な話なんですけど」

−−日本のアニメが海外で流行ってる、てのはよく聞きますけど「アニソン」はどうなんですか?

「アニソンってのは日本独自な所があって、まず昔だと海外に輸出した時点でオープニングの曲をだいたい変えちゃうんですよ。中には『宇宙戦艦ヤマト』みたいな、メロディはそのまんまで歌詞を変えたパターンもあるんですけどね。『スペースクルーザーヤ〜マ〜ト〜♪』っていう。でも最近では変えずに日本の曲そのまんまってことも増えましたね」

−−じゃあ新旧織り交ぜての日本のアニソンメドレーとなるとどういう反応が起きるのか…。

「予想つかないですよね。でも、最近はYoutubeなんかで、海外のオタクがローマ字字幕入れて日本語で歌ったりしてるんですよね。だから結構歌えるんじゃないの?って。だから日本でやってる奴をやってみようと」


そんな決意の元、イベントの相方である漫画家のひのき一志さん、そして物好き…いや熱狂的なファンと共に渡米。会場までの移動時間は約24時間!

さてその会場であるホテルを借り切って行われるALL−CON。その期間中は当たり前〜にコスプレした人たちがウロウロしていて、お借りした写真を見るだけでも


ゴーストバスターズがウロついてたり
帝国兵がラウンジっぽい所で休憩してたり。


またコレクターたちの出品ブースもあり
アメコミやらなんやらどっさり。


ケネディ大統領暗殺の地として日本でも有名であり、テキサス州の州都でもあるダラス。そう聞くとすごく都会のようだけど、実際は結構な田舎で、それこそ「日本人を見るのが始めて」という人も多かったのだとか。そんな街の一角が突然オタクだらけに。地元民からすると凄い光景なんだろうなあ。

会場となったのは大学にある視聴覚講義室のようなひな壇の部屋。24時間イベントだけに観客は出入り自由、食事はレストランで購入して持ってきて食べたりのフリースタイルな空間。


大スクリーン+スピーカーで全米初の爆音アニソン体験!

−−あちらでのアニソンに対する反応は?

「やっぱり『セーラームーン』とか知ってる曲が大音量でかかると、それだけで嬉しいみたいな。『トライガン』とか『カウボーイビバップ』、あと『攻殻機動隊』みたいなジャパニメーション的なものはノリノリですね。あとやっぱり萌え絵ですかねえ。少女物は単純に絵が可愛い、っていうんで受けがいいですね」

−−やっぱ萌えは世界共通ですか。

「『らき☆すた』とか完コピで踊ってる子もいましたしね。日本と変わらないですよ」

−−今なら放映されなくても動画サイトやDVDで見れるでしょうしねえ。

「ただ同じシリーズものでも『ガンダム』だと『Gガンダム』だけがやたらウケたり、『ドラゴンボール』も『Z』はウケるけど悟空が子どもの頃の『ドラゴンボール』はウケなかったりするんですよね。よく言われるんですけど、アッチの人って『NARUTO』とか『ブリーチ』とか、強くなると金色になるのが好きなんですよね」

−−アメリカ人は黄金パワーアップが好き(笑)。


立ち上がったり手叩いたり!注:右下の人は不審者ではありません。


当然お客さんもコスプレイヤー多数なのです。

「あと面白がられるのは『GIジョー』とか『Xメン』みたいな、海外から輸入されたアニメなんだけど日本だと曲や映像が変わってるもの。特撮物なんかは曲のノリがいいのと、あちらでは戦闘シーンはそのままでドラマ部分だけ差し替えられて放映されてるので面白がってくれましたね」

−−知ってるんだけどこの辺が違う!みたいな。

「そういう意味でいえば、映像でパンチラとか胸元が揺れたりすると反応いいですねえ(笑)。あっちは規制が厳しいもんだから、そんなシーンは放映されないんですよ」

−−あー、前に海外で『ポケモン』見た時にタバコにモザイクかかってるの見たことあります。

「見たことあるアニメなんだけど、その部分は知らない映像だったりするんですよね」


以前「世界のOTAKUのもてなし方」で取材した時も、エッチネタは結構強いみたいな話だったしなあ。普段着しか知らなかった近所のお姉さんの水着姿を見た!みたいな衝撃なのだろうか。ちょっとイイな、それ。

−−ちなみにお客さんの年代は?

「イベント全体だとSFオタクとかもいるから30代40代も多いんですけど、我々のところは意外と若い人が多かったですね。10代中心で30代後半くらいまで。ぜんぜん若いシーンですね。ただ見た感じじゃわかんなくて、コスプレイヤーとかでもスタイル良くって『20歳過ぎくらいかな〜』って思ったら14歳とかですからね」

−−会場のお客さんは何人くらいですか?

「最高で40人か50人くらいかな。日本の三分の一くらい。暗くて音楽かけてるだけなんで、遅い時間とかになると隅でイチャイチャするカップルもいたり(笑)。それも面白いんですけど」

−−曲の認知度以外に、曲に対する反応自体も結構違います?

「日本と一番違うのはテンションの高さ!知らない曲でもいいなって思ったらゴーゴー!って拳あげてきたり、手叩いたり。とにかくリアクションが大きいんだよね。あと踊り出したり。振り付けとかない曲でも自分で考えて、みたいな」

−−いかにも外国人だなあ。

「でも、かかった曲でいいなと思ったら必死にメモ取り出したり(笑)。あとでDVD借りて見るんじゃないかな」

−−その辺はある意味オタクらしい(笑)。

「あと『お〜!』って思ったのは、英語の曲ですよね。クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』とかデュランデュランの『グラビアの美少女』*とか、日本人だと絶対歌えないネイティブな発音で歌ってるんですもん」

−−あー、それは感動しそう。

「『巷説百物語』のオープニング曲も英詞なんですけど、それを好きな黒人の子がお客でいて、自ら積極的に歌い出したり。『天使にラブソングを』みたいな(笑)」

−−参加しようってノリが凄いんですねえ。

「何曲かローマ字で歌詞を入れていったら、皆歌うんですよ!カラオケはあっちにもあるけど、アニソンは少ないみたいで」

*『ボヘミアン・ラプソディ』は松本零士によるPVが制作されている。『グラビアの美少女』はアニメ『スピードグラファー』主題歌。


黒人の女の子が歌いだす!映画みたい!


そういえばKARAOKEも世界に通用する日本語なんだよねえ。アニメの魅力も世界共通なら、「歌いたい!」という願望もまた世界共通なのかもしれない。

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