キノコで高ぶる祭りのテンション

門を通って境内に歩を進める。…あれ？門にしろ本殿にしろあくまで厳か。

お社が四角錐だったり、ピラミッドみくじを売っていたりとかいう様子はない。看板に続いてさあ来るぞ、とやや構えて来た気持ちも、しんとした境内に拍子抜ける。

唯一ピラミッド系を見つけられたのは、掲示板にあったピラミッド祭りの告知の張り紙だけ。そう、取材に訪れたのは５月５日の子供の日。確かにピラミッド祭りは行われるようだ。

「ピラミッド広場」というネーミングも微妙に気になるが、そちらの方に行ってみよう。

ピラミッド広場とおぼしき場所にはテントが張られ、神社とは打って変わって人がにぎやかに集まっている。これがピラミッド祭りか…。

と、どんな様子か探ろうとしていた私の目に、150円のニジマスが飛び込んできた。おっ、これは安い。しっかり炭火で焼いてあってうまそうだ。

一尾買ってかぶりつく。うん、アツアツでうまい！

同じテントで売られていたキノコも、都会のスーパーにあるのとは違う元気さが見える。両方欲しいけど、こんなに食べきれるかな…。よし、シメジの方を購入だ。

ニジマス安いし、キノコは新鮮。こんな感じでいいんだろうか、ピラミッド祭り。

まあどんな祭りでも食べ物などの出店はつきもの。まだ来たばっかりなのに荷物になるキノコをついつい買ってしまったのも、ピラミッドパワーに導かれてのことかもしれない。

他のテントにも販売コーナーはいろいろある。中でも目に留まったのは、このロケーションならではのローカルフードだ。

「ピラミッド丼」である。言われてみれば、これまで自分の中で「ピラミッド」と「丼」を結びつけたことなんてなかった。いよいよピラミッド祭りらしくなってきた感じだ。

これは食べたいと思って販売係のおばちゃんに言うと、「あっちで食券買ってきてね」との返事。言われた通りに食券販売所で「ピラミッド丼ください」と告げたところ、渡されたのが右の写真の食券だ。

「すいとん」って書いてある。あれ、ピラミッド丼が欲しいんだけど…と言うと、「いいのよいいのよ、それで」的なリアクション。え？そうなの？だってピラミッド丼が…。

釈然としないまま再びピラミッド丼コーナーに戻り、食券と交換でもらったのがこれだ。これがピラミッド丼なのだ。

おばちゃんに「どうしてこれ、ピラミッド丼って言うんですか？」聞くと、「まあ、すいとんよね」という返事。話がかみ合ってない。

もう一度「どうしてこれ、ピラミッド丼って言うんですか？」と食い下がると、「ここ、ピラミッド山ってことでね…」と語尾をぼかした感じの返答。

大体の感じはわかった。ギスギスしないでゆるくいこう。そのコンセプトには賛成だ。もういいと思う。

実体はすいとんだったピラミッド丼。特にどこにもピラミッドの意匠を施されてはおらず、ピラミッド感はあくまでネーミングの勢いだけのようだ。もちろんそんなことは関係なくおいしい。

いやー、ごはん物だと思ってたんだけどなー。でも確かに丼に入ってはいるよね。意表を突かれて必然的に祭りのボルテージも上がってくる。