デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ちしきの金曜日
 
隣の部屋のおばあちゃんと仲良くする方法

手みやげの失策

日付は変わって、日曜日。隣のおばあちゃんの部屋に挨拶をしに行くと決めた日だ。先日煎餅を買ってきて「これでいいのか?」って自問していたらあっさりと日曜日は来た。


こういう時の時間ってすぐ流れるんだ

そして、今この瞬間も悩んでいる。いや、明らかに「巣鴨で買ってきた煎餅を渡して仲良くなることは無理があるような気がするのだ。

玄関先で品を渡す際に、「なぜこれをおばあちゃんに渡すのか?」説明しなくてはいけない。その時にまさか「おばあちゃんと仲良くしてみたなくなって。それで、巣鴨の物ならおばあちゃんウケするかなーと思いまして買ってきました」とは言えないだろう。


お煎餅だと、あやしまれるのでは

いや、そこまで悩まなくても良いのかもしれないが、こういうのは初動を誤ると、その後の対応も総崩れになる(総崩れになるのは、自分が自分の失敗に動揺するからだ)。隣の人に「怪しい挙動不審な男だ」と思われるのはまずい。

 

リンゴならどうだ

もっと、「隣のおばあちゃんに渡す必然性のある物」でなくてはいけない。たとえば、煎餅じゃなくてリンゴならもっと簡単に渡せるのではないだろうか。

「実家から送られてきたリンゴが食べきれないので、よかったらどうですか」
おお、どうだ。この方が自然だ。実家がリンゴ農園だったりその縁者だったりしたら、こういうシュチュエーションはあり得る。受け取る方も負担なく受け取れるではないか。僕の実家はリンゴと縁もゆかりもないが、事実よりも説明のしやすさだ。


リンゴならスムーズに納得してもらえるのでは

そういうわけで、朝一番にスーパーに出かけてリンゴを買ってきた。


リンゴは一つ120円

リンゴと煎餅を並べてみる。そしたら巣鴨で買ってきた煎餅が、急に良い物に思えてしかたがなくなってきた。


30分ばっかり両者を見比べていた。おれはバカなんじゃないだろうか

しかし、これは悩んでいるのではなく、ただグズグズしているだけの気がする。リンゴだ!リンゴ!リンゴで行こう。


えいやっとドアを開けて

コンコンコンコン…と隣の部屋をノックする

< もどる ▽この記事のトップへ つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.