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はっけんの水曜日
 
熟練者と行く廃村体験〜大平宿リベンジ〜


念願だった「囲炉裏を囲んで温かいご飯」が実現しました

2007年の夏、私は長野県飯田市の山中にある、大平宿という廃村を訪れ、一泊した(過去記事「廃村に泊まる」参照)。

大平宿はかつての宿場町で、江戸時代末期から明治時代にかけて建てられた立派な家屋が軒を連ねている。廃村となった今でも建物は管理され、宿泊する事が可能なのだ。

その古民家には立派な囲炉裏もあり、薪も用意されているのだが、アウトドアスキルなど持ち合わせていない私には当然火など熾せるわけがなく、結局食事も缶詰という体たらく。

しかし、古い建物を借りて泊まるという行為は魅力的なものだ。また大平宿に行きたいなと思い始めていたその矢先、とある方から「一緒に大平宿へ行きませんか」とお誘いがあった。

木村 岳人



誘っていただいたのは、大平宿五度目の熟練者

今回、私に大平行きの声をかけて下さったのは、中山さんという奇特な方である。

中山さんは、私の記事を読んで大平宿に興味を持たれたそうで、それ以来、大平宿には仲間と共に度々訪れ、今回は五度目の訪問となるらしい(中山さんのブログ「どこかに行った」には、過去四度に渡る大平宿訪問の様子が綴られています)。

いやはや、五回目の訪問って。素晴らしいほどの大平宿フリークである。大平宿へご一緒するにあたり、これほど心強い方もそうはいまい。


というわけで、長野県飯田市に来ました

今回、集合場所に指定されたのは飯田駅。ここで他のメンバーたちと合流し、複数の車に分乗して、約20km西の山中にある大平宿を目指す、という段取りである。

ちなみに、今回ご一緒させていただくメンバーは、中山さんが大学時代に在籍していたサークル「美術部探検班」のOBを中心とする方々で、参加するのは全部で15人程だという。15人!かつて一人で行った時には想像できなかった大所帯だ。

程なくしてメンバーが集合した。まずは駅前のスーパーで、食材やらなんやらをそろえる事になったのだが、それにしても、皆さん行動が早い。スーパーに行くと言ったその次には、もう移動を始めている。いやぁ、慣れたもんですな。


あ、このスーパー、私も以前使ったところだ

旅行先でスーパーに入る度に思うが、地方のスーパーのラインナップというのは面白いものだ。普段見なれないものが普通に売られていたりして、なかなか心躍るものがある。特に飯田は山に囲まれたその土地柄、やはり山の幸が豊富なようだ。


山芋ではなく、山の芋
長野に来たなぁと感じる

さて、そうして買い物を終えたわけだが、しかし、さすがは15人分の食料ということもあって、その量は相当なものとなった。

「こんな大荷物で、大平宿まで大丈夫?」というセリフが一瞬脳裏を掠めたが、それはすぐさま頭の中から消え去った。今回はそんなことを心配する必要は無いのだ。なぜなら、人類が発明した偉大なる文明の利器、自動車があるのだから。

以前のように、リュックサックから長ネギをはみ出させて折り畳み自転車を漕ぐなんて事を、今回はしなくても良いのだ。


今回は……そう、車がある!

 

あっという間に大平

食料をトランクに詰め車に乗り込むと、車はすぐさま大平宿に向かって走り出した。あっという間に駅前から飛び出し、あっという間に市街地を抜け、あっという間に山間部へ。

あまりにスルスルと大平宿へ近づく車の凄さ。自転車を押しながら約四時間、山道を登ったあの苦労はどこへやら。


それでは、出発
あぁ、なんか凄く懐かしい風景


……と思ったら、次の瞬間には山の中
あ、このダム見覚えある!

そして、あっけなく大平宿に到着

飯田を出発して30分強、車はいとも簡単に大平宿へ到着した。う〜ん、早い。車はおろか、免許すら持っていない私にとって、一人では逆立ちしてもできない芸当である。

あまりに簡単に着きすぎて、本当にこれで良いのだろうかという、意味不明な自責の念を感じてしまう程だ。大平宿に行くのにこんなに楽をして、バチでも当たってしまうんじゃないか、などと思い始める始末である。



あぁ、これこれ、大平宿
再訪の第一印象は、前とあまり変わらない感じ

以前私が泊まった江戸時代末期建造の八丁屋もご健在
そして今回は、この明治時代中期建造のお宅に泊まります

室内では既に先発隊の面々が荷物を降ろしていた
あぁ、良いよなぁ、このたたずまい

いやぁ、やっぱり古民家は良いですな。今の建物には無い、風情というか、色気がある。

前回泊まった所も、今回泊まる所も、間取りは板張りの囲炉裏部屋に、畳部屋が二部屋と結構広い。なので一人だけだと空間的にかなり寒々しい感じだが、さすがにこれだけの人数だと、むしろ狭いくらいで非常に活気がある。

畳は踏むとへこんだり、一部反り上がってしまっていたりと、多少傷んでいる感じはするものの、囲炉裏の板張りはしっかり磨かれていて、一朝一夕じゃ出せないほどのツヤがあるし、土間もしっかり掃除されていて清潔感がある。良い感じだ。

 

熟練者は火を熾すのもあっという間

そうこうしているうちに、囲炉裏の方で動きがあった。どうやら、火を熾すらしい。到着して早々だが、やはり本来、火は何よりも早く確保するべきものなのだろう。

その行動には、きちんとした計画性を感じる。前回の私のように、行き当たりばったりで、とりあえ熾すか、というのとはわけが違う。そりゃダメだわな。


テキパキと火を付ける準備をする面々

なるほど、こういうのを火種に使うんだな
……って、もう火、付いちゃってるよ!

私がちょっと目を離していた隙に、火はもう付いていた。それこそ、何が起きたのかも分からない程の早業であった。

以前私が火を熾そうと苦労して、結局付けられずに終わったという苦い経験があっただけに、「そう易々火は付かんだろう」などと高を括っていた私が甘かった。

そう、この人たちは熟練者なのだ。私なんぞとはアウトドアの場数からして桁違い。ちょっくら火の付け方でも学んで帰ろうかな、などと思っていたりもしたのだが、これはちょっと無理かもしれないな。そんなレベルの隔たりを感じてしまった。


しかし、火って簡単に熾せるモンなんだなぁ

かまどにも、火の付いた薪がくべられた
風呂のボイラーからも、煙が立ち昇る

う〜ん、凄い。散々苦労してできなかった事を、テキパキと難なくこなしてしまう皆さんに、私はただ感嘆の声を上げるのみ。いやぁ、五度目の訪問というのは伊達じゃあない。

皆さんの仕事の様子を眺めながら、囲炉裏の脇で呆けていると、ふと、中山さんが私の隣に腰を掛け、小さい缶を取り出した。その中には緑色の粉末が。どうやらそれは、抹茶らしい。焚き火で沸かしたお湯で茶を立て、私に飲ませてくれた。



取り出したるは、抹茶
囲炉裏で抹茶、風情の二乗

いやはや、結構なお手前で

抹茶をいただき、一息付いた私はふと思った。そういえば、集落の様子はどうなっているのだろう。3年前と、何か変わりはあるのだろうか。

そうだ、ここらでちょっとばかり散歩にでも出掛け、集落を見て回ろうじゃないか。


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