女子高生らしかったり、らしくなかったり

さてこの女子高生お笑いイベント「ジャムくれよ」、月イチイベントで今回が第８回。高校生のお笑い、という時点で自分にとっては目新しかったのだけど、それ自体は吉本興業による高校生お笑いコンテスト『ハイスクールマンザイ』などの影響で全国的に広まってはいるそう。とはいえ、大阪はもともとお笑いが身近なだけに特に影響力デカそうだ。

大手事務所のイベント以外にも様々なインディーズ芸人イベントが大小行われる大阪。今回出演した子もこの「ジャムくれよ」以外の芸人イベントなどでも積極的に活動してるそう。一部の大都市以外は「インディーズ芸人イベント」ってイメージ沸きにくいかもしれませんが…。東京ですら自分からよほど探さないと気づかないもんなー。

さて、イベントのトップバッターはピン芸人の「I.S」。今回唯一の制服着たリアル女子高生による女子高生コントなので「らしさ」が際だちますな。シチュエーションも片手にケータイ、片手にピルクル持ってバスを待ちながらダベる姿からスタート。見るからにあるある！て感じ。

一発目のI.Sさんのネタに対する審査員からの反応は「設定がわかりづらい」「シュールに逃げすぎ」と厳しめながらも「松浦亜弥・上戸彩の流れから、女子高生ぽくない綾戸智絵というキーワードを持ってくるのはいい」というお褒めの言葉も。ギャップは笑いの基本ですし。

しかし審査員も30歳オーバーが多いだけに、アドバイスしててもなかなか両世代の共通言語が見つかりづらいのが妙に面白い。「（松浦亜弥〜の流れから）アヤ繋がりで『綾小路ひこまろ』、さらに『中日の彦野』に持って行くとか！」と言われても彦野はさすがにムリだ。そんな修正部分を多少強引に加えて（加えさせられて）I.Sさんは再演。その一部を聞いてみてください。

いろいろ加えすぎた上に、彼女がわけわからんままにやらされてるのが妙な面白さを醸し出してますね…これが本当の指導になったかはわかりませんが。なんかのプラスにはなってるでしょう、なんかの。

続いては漫才コンビの「ＯＬｉｖｅ」。高校生の漫才ってどうせ芸歴数ヶ月かそこらでしょ？とお思いでしょうが、彼女らは中学時代から始めててなんともう４年。しかも一度解散してまた復活というストーリーもあり。

そんな指導の中でも盛り上がったのが「（写真右の彼女に）顔誰かに似てるんだよなあ。よく言えばりょう、悪くいえば…蟹江敬三？」という指摘が客席含めてドハマリ。女子高生らは「え？誰？蟹江敬三て」と当惑気味も、とりあえず会場のハマった感じと語感の面白さで納得したよう。実際似てるかどうかは上の写真でご判断ください。

ふつう女子高生に「蟹江敬三似」つったらセクハラ物ですが、笑いとれたからＯＫ！この辺がキチンと芸人頭ですな。いくら審査員とはいえ「アゴの肉掴んで『グラム250円で売ったろか！』とかいいと思うよ」とか、考えてみると十代の子に向かってヒドいもんです。考えてみると「蟹江敬三がひどいもの」として進めてる自分もヒドい気がしますが、蟹江敬三に対して。（以上、敬称略でお伝えしました）

しかし蟹江もグラム250円も笑いのためなら！ということで演技指導が入ったものがこちら。

アドバイスで増えた要素は「蟹江敬三」「厳しいツッコミ」以外に「相撲をとる」「トイレに連れ込む」「合間に優しくする」など。審査自体も笑いとるのが目的になってきてるだけに強引な指導も入ってるけども、ポイントポイントはズレてない、気がする。「蟹江敬三は使います！」と言ってるし。

何より、半分くらいわけわからん指導ながらその場で応えていってる相当な女子高生たちの順応性が大したもんです。この歳のフツーの女子高生なら「腹立つ」「恥ずかしい」の方が先に立ってもおかしくないだろうに。この「面白い」の方が上位概念になる感じが大阪ならではなのか、今の高校生ならではなのか。たぶん前者だろな…。