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ひらめきの月曜日
 
だまし絵の壷を自分の顔で作った

花を生けようか

実際に使ってみようと思ったけれども、何だ壷って、壷って何に使うんだ。頭に乗っけるか、デカイ会社の入り口に置く位しか思いつかない壷。百歩譲ってナン焼くか。でもこれ発泡スチロール。

花でも生けるか。花瓶になっちゃうけど、壷のアイデンティティ真っ向否定しちゃうけど、見栄え良さそうだし。


壷を背負って。
近所の花屋へ。

せっかく花を生けるんだから、それ相応の花を生けたい。これに
ふさわしい、俺にふさわしい花を。

店員さん「いらっしゃいませ」

僕「すいません、花束欲しいんですけど、僕に似合う花束を作ってくれませんか!」

言った。かなり照れて店入るまで店の前を三往復位したし、なんて言おうか考えて、グッと息を吸い込んでから入って、入るなり言ったら息が続かなくて最後の方苦しかったけど、言えた。

でも、そもそもこういう注文って出来るんだろうか。

 

もうダメかもしれんね

店員さん「はい、どのくらいの大きさにしましょうか」

動じない。店員さんは動じない。こっちの戸惑いは受け止めきってすぐさま仕事に取りかかる。


あー、あんたってこのくらいのボリュームかな。

なんという懐の深さ。ならば、壷を出し、これに生けたいとお願いし、企画を説明する。

店員さん「へぇ」

うすっ!リアクション薄い!最後のページに来て、ほぼ完成のこの時に、この企画への自信を失う。


足下で完成を待つ、俺の顔。

それでも好きな色や生け方について話しながら花束を作ってもらう。最終的には写真撮ったら見せてね。と言われる位には打ち解けたが、壷に顔を合わせてぴったりさをアピールしたがやはりリアクションはいまいちだった。

 

そんなこんなで作って貰った花束がこれ


これが初対面の人の俺のイメージ。

ピンクが好きだと言ったが全体的に緑っぽい。鮮やかさより意外性を感じた。とのこと。あと、なんだかふわふわしたのが添えられてるのは俺が天パだからか。

さぁ、実際に壷に生けてみる。


おぉ!良いんじゃないか。

不慣れながらも水を入れて花を生ける。入れ替えた後再度見て、印象の違いに驚いた。さっきよりも鮮やかに、植物たちが活き活きとして見える。そして壷はよく見たら顔。


顔が目立たない所が良いと思います。

その「よく見たら」という所が気に入った。本当におしゃれな人は見えない所に気を遣うというが、この壷は気付かれない所で顔。花に隠れて俺がいる。


俺、花瓶。あ、花瓶って言っちゃった

雑然とした部屋でもこの壷と花があればどこか華やかに感じる。花があるだけで部屋がパッと明るくなる感じがする。更に自分だけの場所を手に入れたのが嬉しい。


定位置確保。

樹液っぽい。

部屋に花を飾ったのは初めてなんですが、良いもんですね。とても心が落ち着きます。良いなぁ、と眺めていたらなんと壷から水がしみ出していた!発泡スチロールなのに!

でも拭いたら、もう出なくなりました。と、いうことで今でも花瓶として使っています。


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