ジャミラファミリー物語
ファイナルジャミラとしてやってきたのは実家。しかし、いきなり両親にジャミラがどうしたとか説明してもあんまりわかってもらえないだろう。とりあえずは「いいからいいから」と、持参したシャツを着てもらった。
不安とあきらめが入り混じった表情で服を着る父と母。頼んでいることはあくまで普通の服を着るというだけだから、あんまり抵抗もないはずだ。
着終わって揃った2人を撮ってみても、その表情にはクエスチョンマークが浮かんでいる。よし、今こそジャミラチェンジだ。「服を脱いで、途中で止めて…」と説明してやってもらう。
ジャミラ後の写真を先ほどの写真と比べると、その表情の違いがよくわかるだろう。ジャミラ化には、人を笑顔にする力があるのだ。
ジャミラという怪獣の説明抜きで、何がなんだかわからないままのジャミラ化。にも関わらず、この笑顔。人がジャミラになるのに、ジャミラという知識は別に必要ないのかもしれない。
父ジャミラは「ゲゲゲの鬼太郎」のネズミ男のようなとんがり具合。頭から肩にかけての角度がこれまでになくシャープなジャミラだ。「千と千尋の神隠し」にもこういうのが出てきた覚えがある。
母ジャミラはカメラを向けると「こんな感じかしら?」と、自分で考案したポーズをとる。なんとなくピンクレディーの影響が見えるようにも思える。
私も負けずにジャミラ化。広い部屋で記念写真を撮ろうと2階へ移動したところ、カメラのセッティングをしている間に父と母がジャミラのまま布団を干し始めた。ジャミラだってあったかい布団に寝たい。そういう気持ちはあっていい。
ここでも三者三様のジャミラたち。撮った写真を確認した父ジャミラが、「なんか俺たち、マヨネーズみたいだな」と言いだした。そっくりというわけではないのだが、言われてみればなんとなくマヨネーズの容器が3つ並んでいるようにも見える。
ここで次なる展開だ。まずは「じゃあ、今度は2人で撮ろう」と母ジャミラと並ぶ。
ここで唐突に繰り出したのがジャミラの得意技、バイオレンススマッシュだ。ファービー人形に繰り出したのはどうもしっくりこなかったが、体当たり式でやってみるといい具合にバイオレンスな感じが出てきた。
もちろん甘噛み程度の威力でやっているので、「何すんのよ〜」と言う母ジャミラの顔も笑顔。バイオレンスアタックも威力さえ調節すれば、コミュニケーションのひとつとなり得るのだ。
結局、両親にはジャミラについての説明はしないままで終わってしまった。何がなんだかわからなくても、とにかく楽しいということさえ伝わればそれでいいのだ。
安藤さんはお子さんとジャミラ化した写真を送ってくれた。よどんだ感じも漂う大人ジャミラに対し、子供ジャミラの輝かしいかわいさが光る。こうしてジャミラを知らない子供たちにも、ジャミラは継承されていくのだ。