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土曜ワイド工場
 
橋脚!ポイント切替!幻のモノレール、1/80模型
在りし日のカラーで蘇るドリーム交通

わたしは、橋脚が三度の飯のつぎのつぎくらいに好きだ(三度の飯のつぎは、エスカレーター)。その三度の飯のつぎのつぎに好きな橋脚のなかでも、一番好きなのはモノレールの橋脚である。特に単線モノレールの橋脚はだいすき。かわいい。家に1本ほしい。

と思ってインターネットで検索していたら、自宅でモノレール模型をつくっている方のホームページを発見。しかも作っているのは、幻のドリーム交通大船線だという。これはぜひ、実際にみせていただいて、走らせていただきたい! 思いきってそうお願いしてみたら、夢が叶ってしまった。

田村 美葉


温厚なお人柄と、モノレール模型界パイオニアとしての眼光の鋭さをあわせもつ、和田さん。

私のモノレール師匠 和田亮二さん

「橋脚が見たい」なんていう理由でお呼びたてしてしまったのは、『ドリーム交通モノレールを作る)』というサイトを運営している、和田亮二さん。

和田さんは鉄道模型界でも名の知れた人物で、かれこれ20年くらい、鉄 道模型を作られている。モノレール模型を作り始めたのは最近で、その理由は「ナンバーワンよりオンリーワン」を目指した故だとか。おお、スマップの例のあの歌よりも説得力がある。

そう、モノレール模型って鉄道模型に比べて俄然パイが小さいのだ。実は私も、鉄道模型ならNゲージの橋脚を保有しているが、モノレールには既製品なんて全然ない。ルールが一切ないため苦労は絶えないが、そのぶんしがらみもなく、全て自分のルールで作れるのが楽しい、と和田さんは語る。

インターネットを駆使して集めた、貴重な資料。
これらをもとに、幻のモノレールを再現している。

和田さんとドリーム交通大船線

そして和田さんが作られているのはモノレールはモノレールでも、あのドリーム交通大船線なのだ。当時の子どもたちの憧れナンバーワンの遊園地、ドリームランドに行くための路線として作られた大船線。しかしまだ技術開発が進んでいなかったこと、そして急な工事ゆえの欠陥がみつかり、わずか1年数ヶ月で廃業になってしまった、幻のモノレールである。

「自分にとっても、ドリームランドに行くことは夢でした。その夢はついには叶わずモノレールにも乗れなかったのですが、叶わなかったからこそ、思い入れが残ったのかもしれません」

――その思いがきっかけでドリーム交通の模型を?

「いえ、それはたまたまGoogle Earthを見ていた時に、ドリー ム交通の廃線が残っているのを見つけまして。実際にはもう なくなっていたんですけど、調べてみたらインターネット上 にはいろんなひとが撮った写真があがっていて、それぞれの思いが伝わってくるんですよね。よしこれだ、と」

橋脚談義花咲く、組み立て作業

モノレール模型にスタンダードはない。サイズも決まっていなければ、素材も「モノレールならこれ」なんていうものはない。

「どうやって作っているかよく聞かれるんですけど、そこは自分で考えて作ることが大切だしそのほうが楽しいので、くわしくは教えてません」

あらゆるHOWTOがネット上にあふれる時代。ちょっと「はっ」とした。でも今日は特別に、私がわかった範囲囲で作り方を紹介しよう。さぁさぁいよいよ、かわいい橋脚たちをみせてください! と、おもっていたら…

え、プレゼント!?これは!もしかして、橋脚ですか!?
うおおお!! かわいい!!

なんと、レジン製の橋脚のひとつを頂いてしまった! 頂いたものは着色もされ、駐車場看板、街灯もついている。非常にかわいらしい。夢みたい。
ピンポイントでど真ん中なプレゼントをいただき、いきなりハイテンションの私を尻目に和田さんの組立作業はつづく。

出てきたのはレールの山。これは木製。きちんとカーブもついていて、どうやってまげたかというと、「茹でました」とのことだ。
そして、高架橋脚ファンにはおなじみ、支承がいっぱい!!

またもピンポイントで興奮。支承とはなにかというと、橋桁と橋脚をつなぐときの間のクッションの役割をするものだ。実際の橋脚にも、よくゴム製のものがついている。

まずはレールとレールをつなげて
支承でこうつなげるわけですな! わー本物みたい!!
立ち並ぶ橋脚たち。かわいい。かわいらしい。
組み立てに精を出す和田さんと、橋脚に夢中の私。少し手伝ってはどうか。

そしてもうひとつの目玉、ポイント切替!

ポイント切替、それはモノレール最大の謎。コンクリート製のールが、何度見てもぐにょーんと曲がっていく、あれである。

これは大阪モノレールのポイント切替。コンクリートが曲がる。
和田さん作、ドリーム交通モノレールのポイント切替!3回連続でどうぞ。

おお、なるほどこういうわけでしたか。
模型って、わかりやすい。

 

いよいよ車両を走らせる!

さて、レールもすべてつながり、いよいよ車両の登場だ。

トリコロールカラーのかわいい車両。でも中身は極秘。
これがひょいっと持ち上げられて・・・
乗りました!
走りました!

モノレール模型、予想をはるかに超えて楽しい。
リモコン操作なのだが、自分の力の入れ加減が電気を通して車両に伝わっている、手ごたえがある。運転手さん気分。音も素敵。撮影に立ち会ってくれているwebマスター林さん、そして会場を貸してくれた高架橋脚FC書記オオタさん(from Loop https://www.looploop.com/)にもかわるがわる走らせてもらうが、大人がすっかり時間を忘れてしまう楽しさだった。動画のなかでいちいち「おおー!」とか言っているのはやらせじゃないのだ。いやー、模型っていいですね! 和田さん!

「やっぱり動かしてもらうとね、楽しいですよ。自分では、形がで きたときがうれしいかな。にやにやしちゃいますね、あー、できちゃったなーって」

それぞれの心の、モノレール

取材後、場所が浜松町であったので、せっかくですからね、行きましょう行きましょう、ということで、モノレール師匠と東京モノレールで羽田空港までご一緒した。取材中も、道中も、ずっとつづくモノレール談義。

和田さんの知識の豊富さから、モノレールをずっと追い続けてきた方なのだろうと思っていたが、じつは調べたり実際現地に行かれているのはこの模型づくりを始められてからなのだそうだ。

「模型」視点でモノレールを見続ける和田さんと、ひたすら橋脚視点のわたし。知識が重なるところもあれば、「さすが模型視点!」とうなる部分もあり、非常にたのしかった。

『ドリーム交通モノレールを作る』
(https://dreamland-monorail.seesaa.net/)

いまは、暫定車両の作り直しを検討中。
そしてドリーム交通のつぎは、新たなモノレールづくりに向けて準備を進めているという。目が離せません。

羽田空港駅にあるモノレール模型を観察する和田さん。
こどもとは見るところがちがう。


 
 

 

 
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