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ロマンの木曜日
 
叔父の遺品を紹介します


遺品整理後の叔父の部屋。ここには何があったのか。

私事であるが、昨年秋に叔父が急逝した。63歳だった。
叔父は結婚せず、子供もいなかったので、おいである僕がその遺品を整理することになったのだが、この遺品が、わけが分からなかった。

なぜなら、叔父にはあるひとつの不思議な性癖があったからだ。
今日はその遺品の話をしてみたい。

加藤まさゆき



叔父には「買いだめ」の癖があった

叔父には「買いだめ」をする性癖があった。 とにかく何でもかんでも必要量を問わずに、安い、気に入ったとなると尋常じゃない量を買いだめしてしまうのだ。

ありとあらゆるものを、である。

例えばシャープペン。 うちの叔父が「シャープペンを買う」とすると、こういうことになる。


これであった量の3分の1くらい。

これであった量の3分の1くらい。

ちなみにボールペンは300本くらいある。
この調子なので全てを紹介すると、何ページあっても足らない。今回は何種類かに限定して紹介していきたいと思う。

 

全てのものが買いだめしてある

引き続き叔父の部屋を見てみよう。
とにかく、ありとあらゆる物品の買いだめ宝庫である。
ワイシャツ30枚、スラックス30本、靴20足、時計20本……。


ちょっとした雑貨屋よりも在庫は豊富だと思う。

叔父はパチンコで勝つと必要・不必要を問わず、時計を適当に交換してもらってくるので、「これなんか若者向けだろ」と、適当にくれることがよくあった。
僕はそれで当時流行していたG−SHOCKやプロトレックなんかを何個ももらい、おいしい思いをしたものである。


形見と言うほどありがたいわけでもない、昔もらった時計


そんな思い出の品がぞくぞくと掘り出される遺品整理だったが、中でもこれは特に懐かしかった。


何だかわかるだろうか? 全部同じものである。

これは「ロケットえんぴつ」と言うのだろうか、太い芯がにょーん、と出てくるアレだ。若い読者は知らないかもしれない。

叔父はこれを何十本と持っていて、いくらでも子供の僕にくれたものだった。僕は生まれてから18歳まで叔父と同居していたので、息子同様にかわいがってもらっていたのである。


これこれ。芯だけが「しゅばっ」て伸びる。
もちろん芯もダースで買いだめ。

 

叔父は映画好きだった

叔父は映画、特に黒澤明が好きで、よく黒澤作品の魅力を僕に語ってくれた。僕もその影響で、黒澤作品に少し詳しい青年に成長することになった。
これはその叔父が持っていた、黒澤明記念ポストカードセットである。


豪華16枚セット。かっこいい。

……を、8箱買っていたうちの叔父。

いくら黒澤明が好きでも、8箱買う必要があったのだろうか。 今となっては聞くことは出来ないが、できることなら聞いてみたい。ねえ叔父さん、なんで8箱も買わなきゃいけなかったんですか。

 

トイレ・キッチンに移ります

続いて買いだめの殿堂、トイレ・キッチン。
叔父が亡くなった後も家には祖母が暮らしており、むやみな公開は控えたいので、あまり写真を載せることはできない。

が、トイレ付近には練り歯磨き20本、歯ブラシ20本、整髪料各種合わせて25本、せっけん50個、トイレットペーパー100個ぐらいが備蓄。


カフェ・ド・クリエの紙マッチも大量に備蓄。

キッチンにはサランラップ50本、ゴミ袋500枚、ミネラルウォーター2Lを60本、そして各種缶詰乾物が人が生まれてから死ぬまでの一生分ぐらい備蓄してある。

このへん、祖母には見当のつかないものも多かったので、僕が整理した。 中でも気になったのはこの袋包み。


棚の上にぽつんとおいてあった。

何だろう、と中を開けてみると不思議なものが。


袋の中から出てきたのは……スプレー??

コバエバリア、買いだめ……。

コバエバリア以前に、こまめにごみを捨てないからコバエがあんなに出てくるんだろ! と、生前の叔父に力いっぱい説教してやりたいところである。
買いだめする整理下手の人間らしく、叔父は掃除が極めて苦手であった。そこへ対策としてのコバエバリア買いだめ。
全く対処を間違えている。

 

叔父の職業はPC技術者

叔父はPCを用いた仕事を本業としており、亡くなる日までデータ処理の仕事を続けていた。なのでPC関連品もたっぷりと買いだめてある。


USBメモリとSDカードで計100GB近く。何を企んでいたのか。

外付けハードディスクが安くなる前に買いだめてしまったのだろう。

 

最大の謎の段ボール箱

さて最後になるが、一番謎のだったのがこの段ボール箱である。叔父の部屋の押入れに入っていたものだ。


「すずめの恩返し」の大きいつづら、程度のサイズ。

サイズのわりには変に軽いので、何かと思って開けてみたら、さらに謎。正体の分からないビニール袋がいっぱい詰まっていた。


何だこれ?? と思って開けてみると……。

生茶パンダ先生……。

こんなにたくさん……。

叔父は僕らに何を伝えたかったのか

昔から、突然木に牛の脂身をぶら下げて小鳥を集めたり、目的もなく有限会社を設立して僕に「役員にならないか」と言ってきたり、謎の部分が多い叔父だったが、今回の遺品整理でさらに謎は深まるばかりだった。

ちなみに、僕が叔父の所有物で唯一興味のあった「世界の古銭コレクション」を懸命に探したのだが、どうしても見つけることはできなかった。あわよくばもらってしまおうと思っていたのに、見つけたのは生茶パンダ先生である。とんだ骨折り損だ。

僕らは叔父の遺した物たちから、何を学び取ったらいいのか。
放り出されっぱなしのまま、立ち尽くすのみである。

これはまともな方の遺品。ミノルタのすごく古いカメラ。

 
 

 

 
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