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ロマンの木曜日
 
取り返しのつかないことをしたい


取り返しのつかないこと、その衝動

みなさんは取り返しのつかないことをやったことがあるだろうか。「不注意で…」とか「あのときああしていれば…」とか、不幸にも結果的に取り返しのつかないことをしてしまったことはあると思う。

そうではなく、「これやったら絶対取り返しつかないことになるだろうなぁ〜……」ということを、つい何故かその誘惑に負けて”意図的に”やってしまったことのある罪深き者たちがいたら名乗りでて欲しい。

はい!僕です!

あのカタルシスをもう一度味わいたい。

藤原 浩一



「取り返しつかないこと」の記憶

「これやったら取り返しつかないことになるなぁ〜」というゾクゾクする感じ、これに適切な名詞が与えられていたいのがおかしい。そう思われるほど、幼き頃はその感じによく襲われていた。


ボロい。現役小学生の時も、俺のランドセルだけボロいな…と思っていた。

このランドセル。見るからにボロボロだ。意味もなく蹴っ飛ばしたり乱暴に扱っていたから、そうなるのも当然なのだが、一箇所不自然に切れている部分がある。

これ、自分でハサミで切った。



ちょうど口を塞ぐ部分が2cm程切れている
切れているというか、切った

小学生2年生の頃、帰りの会か何か忘れたが机の上にランドセルが乗った状態で、僕は手にハサミを持っていた。すると何故だか

「ランドセルをハサミで切ったら大変なことになるぞぉ。だってあと5年は使うんだから……。ランドセルは何万円もするんだから……」

という不思議な気持ちになってきたのだ。だんだん分からなくなってきて、切った。


その後のことはあまり覚えていない。

欲望と行動の間にある「理性」という回路が短絡していた、といえばその通りである。いや、理性は完全に無かったのではなく、あったから2cmで抑えられたのだ。小2の理性は2cm。

これが僕の「取り返しの付かないこと」に関する思い出である。理解できる人がいて欲しいけど、全然わからない人がほとんどかもしれない。

こちらのほうが共感が得られるかもしれない。


きゃー


非常ベルのスイッチ。どうだろう、小学生のときの僕はドキドキしながらこの赤い円を眺めていた記憶がある。よく見れば「強く押す」というフレーズが命令のように見えてくるではないか。

「コレを押したら取り返しの付かない大変なことになる……。意味もなく消防車が来る……。だから押しちゃダメだ……(押せっ…押せっ…。)」


今はもう押さない。大人だから。

見つめれば見つめるほど変な気分になってくる。でも僕はなんとか押さずにこらえることが出来た。入学以前に、住んでいた団地のベルを意味もなく鳴らし済みだったから。そのときは大変なことになった。

ともあれこういう衝動が幼き頃の僕にはあって、この衝動をもう一度味わいたいというのが今回の企画だ。解説すればするほどワケが分からなくなりそうだが、そういうことだ。


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