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ひらめきの月曜日
 
「カロリーゼロ定食」を作る


 

ここ数年の間、スーパーなどで「カロリーゼロ」を謳う商品をよく見かけるようになった。飲み物やゼリーなどが多いだろうか。うっかりすると食べ過ぎて太ってしまいがちなこともあって、個人的にはしばしばお世話になっている。

カロリーゼロのドリンクを飲みながら考えた。もしも普通の食事でもカロリーゼロなら、太ることを気にせず食べられるんじゃないか。

しかし、そんなことは可能なのだろうか。いろいろ調べてみると、できないことはなさそうだ。そういうわけで、「カロリーゼロ定食」作りに挑戦してみた。

小野法師丸



そういうことならできるかも知れない

定食なのにカロリーゼロ。飲み物くらいならともかく、一回の食事の一揃いとしての「定食」で、カロリーゼロ化することなど可能なのだろうか。

調べてみると、なんとか工夫する方法はありそうだ。しかし、作るからにはちゃんとした「定食」を目指したい。いくつか自分でルールを設定してみた

  • 主食・おかず・汁物の揃った「定食」とすること。
  • 見た目がちゃんとおいしそうであること。
  • 食べても普通においしいこと。

という感じだ。話の流れとして、まずはできあがった「カロリーゼロ定食」を見てもらってから、作った過程を説明することにしよう。


これが「カロリーゼロ定食」だ

この写真が今回作った「カロリーゼロ定食」。見た目としては、まあ普通の定食に見えるのではないかと思う。では、どうしてこれが「カロリーゼロ定食」なのかを話していこう。

きっかけは、ある日飲んでいたカロリーゼロのジュースだ。パッケージを眺めていて、疑問に思ったことがあった。

 

食いしん坊には心強い「カロリーゼロ」の表記
パッケージには気になる表が

最近の食品には大抵パッケージのどこかに「栄養成分表示」なるものが書いてある。このジュースの場合、商品の正面に「カロリーゼロ」と書かれている通り、栄養成分表示の表にもエネルギーは「0kcal」と載っている。

気になったのはその下の「たんぱく質」の部分だ。100mlあたり0.27g含まれているとあるではないか。

確か昔、家庭科の時間に習ったぞと思って改めて調べてみる。…やっぱりそうだ、たんぱく質は1gあたり4kcalの熱量があるではないか。

とするとこの場合、計算すると100mlあたり約1kcalのエネルギーがあることになる。なのに「カロリーゼロ」と書いてあるのはどういうわけなのだろうか。


冷蔵庫にあったゼリーにもゼロの表示

調べてみたところ、食品の表示には公的な基準があることがわかった。厚生労働省が告示している「栄養表示基準」というもので、熱量(カロリー)については100g(または100ml)あたり5kcal未満である場合、ゼロと表記してもよいことになっているそうなのだ。

この基準をどう評価するかはともかく、ルールとしては100gあたり5kcal未満なら「カロリーゼロ」を名乗っていいわけだ。

ならば、こういうことも言える。


普通のソーセージですが
「ソーセージのクリアウォーター添え」でカロリーゼロに

例えば家にあったソーセージ。適当にとった一本の重さは16gで、カロリーは100g当たり321kcal。この一本分で計算すると51kcalとなる。まあ普通のものだろう。

これを950ccの水と一緒に食べるとする。水はカロリーがないから、全体のカロリーは51kcalのままで、重さは767gとなるわけだ。そうすると100g当たりの熱量は約4.98kcalとなる。カロリーゼロと名乗っていい基準を満たしたわけだ。

さすがにソーセージ一本で水を1リットル近く飲むのはきつい。でもなんとか工夫すれば、この基準を使って「カロリーゼロ」と称せる定食はできるのではないだろうか。

その結果が、先に載せたあの「ゼロカロリー定食」だ。ちゃんとごはんもおかずも揃っていたあの定食。まずはごはん部分についての謎を解こう。


すっかりごはん気取りですが
正体はこれ

定食の食材探しをしていて目に留まったのは、「ダイエットライス」なるもの。見つけたのはこんにゃく売場だ。

この商品、名前にライスとついてはいるものの、正体はこんにゃく。ちょうどごはん粒くらいの大きさで粒状になっているものなのだ。本来はダイエット目的で普通の米と混ぜて炊き、かさを増やして食べるようだが、今回はダイレクトに食べたい。


頼もしいエネルギーの低さ
あんまり深く考えなければ、まあごはん

パッケージによると、100g当たりのカロリーは5kcal。カロリーゼロの基準ちょうどだ。「よく水切りすれば、そのままでも…」とも書いてある。よし、主食としてのごはんはこれでいこう。ごはん茶碗に160gを盛りつける。

そしてこんにゃく売場の隣で見つけたのはこれだ。


頼りない食べ物だけど今回は頼れる
驚異の1kcal

ところてんである。栄養表示を見てみよう。結構カロリーがあるか…と思ったのだが、よく見るとそれはたれの部分だ。ところてん部分だけなら100g当たり、たったの1kcalではないか。

これは素晴らしい。ところてん部分だけを150g、定食のラインナップに加えたい。

さて、主食のごはんとサブおかずAは揃ったとしよう。もう少しおかずが欲しいところだ。ここで食品についての詳しいデータに当たってみよう。


今回のバイブル
やる気のない奴、発見!

手に取ったのは「食品成分表」である。様々な食品の栄養成分がかなり細かく載っているものだ。

パラパラと開きながら、熱量の少ない食材を探してみる。例えばカロリーの低そうなな小松菜あたりでも、14kcalもある。なかなか厳しいなと思いながら見つけたのは、じゅんさいだ。

100g当たり5kcal。これは低い。


初めて買った
謎のビジュアル

個人的にはこれまで買ったことのなかった食材である、じゅんさい。旅館に泊まったとき、夕食の小鉢に出てきたのを食べたことがあるくらいの記憶しかない。

探しに行ったら普通のスーパーで普通に売られていた。君もぜひ50g分、サブおかずBとして定食に入ってくれたまえ。


最強の調味料

おかずが2品揃ったのはいいのだが、問題は味付け。調味料にもわずかにカロリーがある中、塩だけはカロリーゼロ。いくら使っても今回のルール的には大丈夫なのだ。

ところてんやじゅんさいには塩を溶かし込んで味付け。ちょっと味見をしたところ、素材の風味がよくわかることもあり、全然まずくない。味付けはこれでクリアとしよう。


ルール的に海藻は欠かせない
あれ、もしかして結構カロリーある?

続いては汁物を作りたい。用意したのは乾燥タイプのカットわかめ。25g入りで、パッケージの表によると37kcalもあると書いてある。

思ったよりカロリーがあるような気がする。ラインナップに加えて大丈夫だろうか。


1g分の僕ですが…
こんなに成長しました!

しかし、この手のわかめは水で戻すと爆発的に量が増えるはず。乾燥状態で1g、水に入れてしばらく待つと、汁物の具として十分な量になった。カロリーを計算すると、これで約1.4kcal。やはりものすごく低い。

さすがに汁物の味付けが塩だけでは寂しい。「普通においしい」というルールを守るためにも、出汁くらいは取りたい。

「食品成分表」によると、出汁の中でも最もカロリーが低いのは煮干しだし。100g当たり1kcalだ。今回は出し汁200gに塩で味をつけて、わかめを具とした汁物とした。

さて、だんだん揃ってきたカロリーゼロ定食。しかし、見た目としてはいかんせん地味。「見た目がちゃんとおいしそう」というルールを満たすためにも、カラフルなものも取り入れたい。


手っ取り早くこれにしました

用意したのはサラダ用のカット野菜ミックス。ここからレタスを12gで約1.5kcal、カラーピーマンを2gで約0.5kcal使いたい。

これで緑・赤・黄色は取り入れることができた。なかなかカラフルになってきたではないか。しかし、パッケージの中には紫色をした野菜も見えるのがわかるだろう。


トレビスっていうのか?
これかー

パッケージによると、紫の野菜は「トレビス」というものであるらしい。個人的には知らなかった野菜。「食品成分表」に当たってみると、確かに載っている。

別名に「イタリアンレタス」とあるように、レタスの仲間であるらしい。見た目が似ている紫キャベツよりもカロリーは低く、100g当たり18kcal。こちらも2gで約0.36kcal、サラダとして投入したい。

続いては飲み物。カロリーゼロを謳うものがたくさんある中、今回はこちらを選んでみた。


「カロリーゼロ」ではなく「カロリーオフ」の表示
計算すると、カロリーゼロ基準になるのでは?

花王の「ヘルシアウォーター」である。しかしパッケージをよく見ると、「カロリーゼロ」ではなく「カロリーオフ」の表示が。成分表示には500ml当たり18kcal。100mlに換算すると3.6kcalとなる。これは「カロリーゼロ」を名乗ってよい基準を満たしているではないか。

ちなみに、「カロリーオフ」とは、100ml当たり20kcal未満のものに認められている表示。だから間違いではないのだが、商品としては「カロリーゼロ」の方が訴求力があるのではないか。

気になったのでメーカーに問い合わせてみた。返答は「表記のルールとしてはその通り。以前はカロリーゼロと表示していたが、具体的なカロリーを知りたいという要望が消費者から多数あったので、現在はカロリーの実数値を表示して、カロリーオフと表記している」というものだった。

健康管理上、厳密に栄養成分を知りたい人もいるかもしれない。そういうわけで、ヘルシアはこういうことになっているのだろう。

あえて実数値を載せているものを選んだのだが、できるだけカロリーを低くするという今回のルールからするとカロリーがあってしまうのは厳しい。というわけで、50ml(1.8kcal)分をグラスに注ぎ、残りの450mlは水と入れ替えて定食の一部とすることにした。ここは少々トリッキーだがお許しいただきたい。

今回の試みは、結構細かい計算が必要になってくる。そういうわけで、表計算ソフトを使ってカロリーや重量をまとめてみた。ここまでの結果はこういう具合になる。


真面目にやりました
「余裕熱量」に注目

ここまで揃えてきたものを計算する、100g当たり約1.8cal。結構いいペースで作れたのではないだろうか。「余裕熱量」というのは、現在の重さに対して、あとこれだけのカロリーがあっても「カロリーゼロ」を称する基準は満たすという数値だ。

つまり、あと約34kcal分は好きな食材を選んでいいということである。やった!

ここまでで欠けているのは、定食としてのメインのおかず。ここはオーソドックスだけど、ちゃんとしたおかずとしての主役を張れるものを選びたい。


使うのは1個だけ
肉を取り入れられる喜び

その視点で選んだのが、うずらの卵とハム。ハムエッグ定食にしたいという狙いだ。うずらの卵は一つ焼いて目玉焼きにしよう。8gで約14.3kcalだ。

ハムは見栄えがするように、売場で一番ペラペラに薄いものを選んできた。計算によると、2枚までは入れ込めるではないか。18gで約21.2kcalとなる。メインのおかずを入れる前の時点でも総カロリーは19.5kcalだったから、ここまで積み重ねてきた努力を一気に吹き飛ばす威力がある。

ともあれ、これで「カロリーゼロ定食」は完成。もう一度冒頭の写真に戻ろう。


55.1kcalですが、見た目は普通の定食に見えてるはず
ぎりぎりで基準にセーフ

100g当たりのカロリーは約4.99kcalと、本当にぎりぎりの数値となった。自分で定めたルールも、なんとか守れているのではないかと思う。

ハムの充実感が際立つ

味としても、特段まずいものはない。それぞれ普通においしく食べられた。一番気になっていたこんにゃくライスも、それほど違和感なく、少々思いを込めればごはん気分で食べられる。

全体的にさっぱりしたものが多い中、際立ったのはハムの存在感。普段何気なく食べているハムの再発見ともなった。

普段の食事でここまでがっちりカロリーを減らすのは難しいけれども、カロリーが少ない割に満たされ感のある食材を知っておくことは、日常の食事に活用できるかもしれない。


 
 

 

 
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