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ちしきの金曜日
 
体長2.5kmの馬の絵を描く


共に馬の絵を描いた仲間たち。体長2.5kmの馬を。

先月、東京は大田区の地面に馬の絵を描いてきた。体長2.5kmの。

あるいは「そういえば馬の絵があったなあ」と、お気づきになったご近所の方もいらっしゃるかもしれない。なかなかうまく描けたよ、馬の絵。

体長2.5kmの。

大山 顕



馬の前にブタを。体長2kmあまりの。

実はぼくは、4年前にも光が丘に体長2kmあまりのブタの絵を描いたことがある。

あるいは「そういえばブタの絵があるなあ」と、お気づきになったご近所の方もいらっしゃるかもしれない。

いやほんとに描いたんですよ。ほら。


団地マニアの聖地・光が丘の地に描かれたブタさん。浮かれたポーズが愛らしい。(Googleマップに表示したものを南北逆さまにして表示しています→もとはこちら

ね?確かに描かれてるでしょ?


外出する時は必ず持って出かけるぼくの伴侶(くわしくはこちら

…さて、そろそろとぼけるのはおしまいにしよう。これはなにかというと「GPSロガーを使って描いた絵」なのだ。GPSとはカーナビなどに使われているあれ。

衛星をつかって地上での位置を特定するシステムで、GPSロガーとはその位置を記録する装置。これを持って歩くと、その軌跡が記録されるというわけだ。

もとは登山をするひとやサイクリストが使っていたものだけど、いまやこうやって一介の団地マニアも持っている時代だ。


つまり、ブタの絵になるようにコースを設計し、GPSロガーを持ってそのとおりに移動した軌跡が上の絵というわけ。一筆描きでブタさんを描いた後、データをパソコンに移すと、そこに「地上絵」が浮かび上がるという寸法だ。


このブタさんを描いた時は、こうやって自転車にGPSロガーをつけて(これはかなりいいロガー)、

ブタさんが描かれるようにコースが記された地図を持ち、

その通りに移動する。この方は誰なのか?後ほどご説明しますよ。

ときにはこういうところも通るはめに。すべてはブタさんを描くために。

このGPS地上絵を描くっていうのは、ほんとうにエキサイティングな体験なのだ。なにが楽しいって、これ

  • 身体を移動して描くというふしぎな感じ
  • 散歩でもなければ目的地に行くわけでもない、他ではぜったいやらない移動をするふしぎさ
  • 地上に絵を描くために遥か上空の衛星の助けをかりるというふしぎさ
  • 確かに描いたのに街にはなにも残らずそれはデータ上にしか存在しないふしぎな感じ

というのがたまらない。「ふしぎ」ばっかりいってるが、ほんとうにこれはふしぎな感覚なのだ。他の身体運動では感じられない奇妙な感じ!

でも、いちばんふしぎなのは

  • 街がブタに見えてくる

という点だ。いやほんと!「この道のカーブは背中だよなー」とか「ここで曲がって蹄を…」って思いながら移動してると、だんだん街がブタに見えてくるのよ!まじで!視覚的には街の風景なんだけど、感覚的にはブタの輪郭を感じている、っていうすごく奇妙な感覚に陥る!

きわめつけは、ブタさんの目を描くために顔の輪郭の道から外れた時。「あ!いまブタの皮膚からめりめりって中に入って行ってる!うわー!」って感じた。ほんとに。目の前にあるのは普通の街並みなのに。

ああー、これいくら言っても伝わらないだろうな−!みなさんにもぜひ経験してもらいたい!

と思って、今回参加者を募ってみたわけです。で、描いたのが馬の絵。体長2.5kmの。

 

日本における「GPS地上絵」の第一人者


自ら「GPS地上絵師」と名乗る石川さん。馬の絵を描いているところ。

光が丘のブタの「地上絵」も今回の馬も、ぼくが設計したわけではない。日本における「GPS地上絵」の第一人者である石川初さんの手によるものだ。石川さんはこれまでいろいろな「地上絵」を描いてきた。


三鷹市と調布市にまたがるペンギンとか

目黒にタモリの似顔絵とか。

詳しくは石川さんのblogご覧いただきたい【→「身辺メモ」】石川さんは、この「GPS地上絵」でタモリ倶楽部に出演したことがある。

光が丘のブタさんは石川さんと知り合って、団地マニアの聖地になにか絵が描けないだろうか、とお願いしたものなのだ。知り合ってそうそうそのお願いはなによ、ってはなしですが。それが2006年のこと。以後カルチャーカルチャーでイベントを一緒にやったりしている。


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