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はっけんの水曜日
 
登山素人三人と富士山頂を目指した


富士山山頂で日が出る前の空を見る金子くん。

ここ数年、富士登山がブームだ。僕が登ったのも5年前なのであんまりエラそうな事は言えないが、ちょっと異常とも言えるブームで山道具屋に行けば富士山コーナーがあるし、テレビでも富士登山特集をよく見かける。

去年の春、友達の金子くんが「富士山に登りたいから連れて行ってよ」と言った。いつものノリで言ってるだけだろうと思ってその時はスルーしたのだけど、今年の春に聞いたら本当に行きたいというので、一緒に行くことにした。

ついでなので他の友達にも聞いてみると、登山未経験者が3人と経験者1人、僕を合わせて5人パーティーになった。今回はそんな富士山山頂までの顛末をお話しします。

松本 圭司



金子くん。ノリがよくて明るいけど酒と睡眠欲に弱い。凄い色のザックを背負っているが、お父さんの持ち物だったそう。

メンバーを紹介します

今回一緒に富士山に登るのは5人。まず、大学の美術部で一緒だった金子くん、斎藤さん、河合くん。斎藤さんは先輩で金子くんは後輩。3人とも登山経験はほぼゼロで、山登りの道具も経験もほとんどない。今回のメインはこの素人3人組。

それから、露崎くん。高校の電算部で一緒で、それ以来の長いつきあいだけどここ数年、実は登山が趣味という事を知ってちょくちょく一緒に山登りに行っている。富士山は学生時代に一度登り、去年は一合目から登ったという。今回で3回目の富士登山。ただし徹夜登山は初めて。毎回高山病になるのでちょっと心配だという。

そして僕。5年前に山登りに目覚め(妻が登山好きだったので)、2005年に富士山に登り、以降2006年と7年に登り今回で4回目。二度登るバカと呼ばれる富士山に何度も登ってるバカ。登りたいって言う人がいると連れて行く。高山病も眠気も平気で、富士登山をツライと思ったことはない。

このようなメンツで富士山山頂を目指します。ホントに大丈夫か?


斎藤さん。美術部の先輩でヘビースモーカー。「パワースポットと言われる富士山で俺に憑いてる(とある女性に言われた)女の子の霊をラオウよろしく天に還って頂こうとも目論んでいる。」とは本人の談。
河合くん。美術部の同期。釣りが大好きでよく斎藤さんと釣りに出かける。同じくタバコも好き。色んな仕事をしてるが、今は靴メーカーで修行中。

露崎くん。高校と大学で一緒だった友達。すご腕のSEです。
そしてわたくし、松本。なんでアイーンしてるんだ

一番大事なのは登山靴。それなりにしっかりした物を

今回の富士登山プラン

今回の富士登山では、山小屋を使わずに夜間登山をし、山頂での日の出鑑賞を目指す。今回の、っていうか僕は今まで3回ともそんなプランだけど。

富士山の山小屋はツアーで予約されちゃうのか、何ヶ月も前から予約なんて取れないし、予約がないと泊めてくれないし(他の山では余程混んでなければ予約なしでも泊めてくれる(でも予約は推奨))、どうせ数時間の仮眠しか取れないし、料金も高いのであんまり利用する価値が無いなと思って使わない事にしている(僕の独断と偏見なので、皆さんは使ってください)。

当然徹夜で富士山に登るのは日中登るのとはワケが違って過酷なので万人にはお勧めできないが、ちゃんと準備して経験者がガイドすれば割となんとかなる(※)。今まで一緒に行って山頂に立てなかった人はいない。

また、登山は事前に計画書を作る必要がある。計画なしに登山は出来ない。大事なのは時間を守ることだ。いい加減な行動をしていると思わぬところで時間をロスし、パーティーを危険にさらす事になる。そこで、今回も綿密な計画書を作った。

富士山登山計画2010

この計画書を元に富士山山頂を目指す。

※…初心者だけでの徹夜富士登山は危険なのでやらないように。


ザック(リュックサックの事)は20〜30リットル程度の物が良い。

富士登山に必要な道具など

計画も重要だが、装備も重要だ。高尾山程度ならスニーカーに手ぶらでも危険なく登れる。

だが、富士山は登山道が岩場だったりして危険な箇所もある。足を捻ったらそこでリタイアせざるを得ないし、そうなったら自力で下山するのも難しい。仲間にも迷惑が掛る。万が一にも足を痛めるワケにはいかないのでハイカットのトレッキングシューズが必要になる。価格は1万5千円ほど。

それからザック。防寒具や食べ物、水などを背負うとそれなりの重さになる。やはり腰と胸にベルトが付いた登山用のザックを背負った方が良い。山道具屋さんで自分の体型にあったザックを選ぼう。価格はやはり1万5千円ほど。


色々着込んで寒さに耐える。これは晩秋の赤岳(八ヶ岳の最高峰)だが、夏の富士山山頂はもっと寒いので防寒具が大事になる。

衣類も大事だ。まず、綿素材のシャツや下着はNG。綿は水分を吸うと乾かずにいつまでも冷たいので高山で着ると夏でも疲労凍死の原因になる。だからジーンズも良くない。

そして防寒具。富士山山頂は真夏でも明け方に氷点下になる。そこに、強風が加わると体感温度は-10度を下回るほどであり非常に寒い。しかも登山で疲れているので寒さが染みる。北海道にも何度か行っているが、富士山山頂ほど寒さに震えたことはない。

フリース、セーター、ダウン、カッパまで着込んで寒さに耐える必要がある。高山は急に天気が変わるし天気予報も当てにならない。天気と運が良ければ軽装でも登れるが、天気も運も悪くても生きて返ってこれる事が大事だ。だから僕は、どんな山でも「急に嵐に遭い身動きが取れなくなっても夜を生き残れる装備」で登っている。今回の富士登山もそういう前提で装備を整えた。

仲間に配った持ち物表をPDFにしたので、興味ある方は見てみてください。

富士登山持ち物チェック表


赤岳に登っている写真。岩場が急で楽しい山です。

さて、以上を踏まえてまずは練習登山です

何事も練習が必要だ。いきなり富士山に登ろうと言ってもそう簡単にはいかない。天気の良い昼間に登るのであれば、多少軽装で未経験でも登れてしまうが、今回はより過酷な登山となるので練習で何度か山に登ってもらう事にした。

必要な装備を連絡し、買い出しに付き合ったりしておおむね準備が出来た様なので、まずは手始めに青梅丘陵に出かけた。JR中央線、青梅駅から歩いて丘を登って軽く歩く、みたいな簡単なコースだ。

事前に計画を作り、乗る電車や行程の情報をメールで送った。果たしてみんなちゃんと登れるだろうか。


1人駅に降り立った。

全員遅れた。1人で駅に降りた

まず、河合くんは前日に風邪で寝込んでいると連絡があった。露崎くんはこの時点ではメンバーに入っていなかったのでいいとして、斎藤さんと金子くんはまんまと遅刻した。

登れるかどうか以前に、集合出来なかった。

途中で合流する電車に乗ったのだが金子くんは乗っていなくて、「やっちまったー!!」とメールが飛んできた。斎藤さんが合流する駅でも「乗り換え間に合わなかった−!」とメールが来た。

かくして、僕は一人で青梅駅に降り立った。二人とも遅刻しやがったので、説教してやろうと駅で待った。


遅れてきた2人。

ジーンズの斎藤さん。登山靴はちゃんとしてる。

服装がおかしい

10分ほど待つと、金子くんと斎藤さんが駅から出てきた。遅いよ!と言いながら服装を見ると、斎藤さんはジーンズを履いていたし、どう見てる普通のシャツを着ていた。

何度も口を酸っぱくしてジーンズは汗を吸ったら乾かないからダメって言いましたよね、と言ったら

「ちがうんだ、ちがうんだよまっちゃん(僕は大体こう呼ばれてます)、Tシャツはドライ素材なんだよ。」

という。金子くんは、半ズボンは虫に刺されたり草で切ったりするから長ズボンにしてね、って言ったのに半ズボンを履いている。

オマケに、「山に行くまでににコンビニとかあると思った。それに、山頂に店とかあるでしょ?」、なんて言って昼ご飯もなにも持ってきてないという。持ち物リストに書いたよね?

確かに駅前にはコンビニがあるが、コンビニがない駅なんて登山ではザラだし、高尾山の様に山頂に茶屋があって食事が出来る山なんてほとんどない(富士山は山頂になんでもあるが)。急いでコンビニで食料を買わせた。

「俺が言ったこと全然守ってないじゃないですか!時間に遅れるし!山舐めてると死にますよ!オモシロはいらないから!まじめにお願いします!」

と軽く説教した。この時点では記事にする事は伝えてなかったので、わざと記事用に失敗してくれたワケではない。そういえば美術部ってこんなノリだったわ、と思い出した。なんにしてもおちゃらけた部活だったんだった。忘れてた。美術部的には間違ってるのはむしろ今の僕かも知れない。

いやいやいや、そんな事あるわけない。

ちなみに、次回の練習登山では今回こなかった河合くんに同じ説教をする羽目になった。大丈夫か、このパーティ。


半ズボンの金子くん。
いきなりのフランクフルト。

ズボンを履き替える斎藤さん。途中の写真もあるけど自粛。

なんだ、ズボン持ってるんじゃないですか

しばらく歩くと汗が噴き出した。登ったのは6月終わりで非常に蒸し暑い。すると斎藤さんが「ちょっと待って」という。なにかと思ったら、ザックからジャージを出して着替え始めた。なんだ、持ってるんじゃないですか!というと、

「いやー、普段こういうの履いてないから、なんか恥ずかしくてさー。」

と。恥ずかしさより優先すべき物があるでしょう(#^ω^)。


うまそうにタバコを吸う。

斎藤さんにニコ中ぶりがすごかった

斎藤さんはヘビースモーカーで、休憩のたびにタバコを吸っていた。タバコ吸うなら携帯灰皿持ってきてくださいね、と言ってあったので灰皿は持ってきていたけど、あまりに吸うので「富士山でタバコ吸うと高山病になりますよ」とおどした。

どうも、運動したときにタバコを吸うと大変に美味しいらしい。まぁ、タバコ吸う元気があるなら大丈夫だろう、と思っていたら後で「青梅丘陵が一番辛かった」と言われた。辛かったのにタバコ吸ってたんかい。

タバコを吸う元気とかはあまり関係なかったのらしい。どんなにしんどくてもタバコは吸うのだ。なんだそれは。病気か。


カモシカが草を食べてた。

最初の練習は「いちおう」無事に終わった

時間遅れたり服装に問題があったり、色々あったけど青梅丘陵は山という程の山ではないので無事に登って下山することが出来た。

標高差は254m、歩行距離も8.8kmしかない。でも地図に出ないような10m程度のアップダウンがやたらとたくさんあって地味に疲れる山ではあった。標高が低くて蒸し暑いのも疲れた原因だと思う。

そんなわけで、登山未経験の金子くんと斎藤さんは最後の方ぐったりしてたし、終わったときは本当に嬉しそうだった。


終わって嬉しそうな2人。まだ駅まで歩いて20分あるとは言いにくい。

次のページも練習登山様子をお伝えします

最初の練習登山は遅刻や認識の甘さなど、課題が残る内容だった。本当に練習で良かった。いきなり富士山でこんなに間違いばかり犯していたら、ちょっと天気が悪くなっただけで深刻な事態になる。

それ以前に、遅刻したら5合目にたどり着けない。

次回はちゃんとしてくださいね、と伝えてこの日は解散。2週間後、今度はもうちょっと山らしい「高水三山」に登る事にした。奥多摩にある初心者コースだ。

果たして、次はちゃんと登山出来るのだろうか。



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